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所感 ”ポジショナルフットボール 実践論”

サッカーの戦術を一から学び直しているのですが、読んだ本の所感を自分の勉強がてら記載します。

今回は、現モンテディオ山形コーチ(元ベガルタ仙台監督)の渡邉晋氏の
ポジショナルフットボール 実践論 すべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる
です。

まず言葉の確認からですが、ポジショナルフットボール(ポジショナルプレー)とは、
選手のポジショニングで有利な状況を作り、試合を優位に進める戦術
と定義されています。

5レーンなどがその代表的な形状であり、おそらくJリーグではペトロビッチ監督(現コンサドーレ札幌)が導入したのではないかと認識しています。

このポジショナルフットボールを渡邉氏がベガルタ仙台で実践した際の記録がこの本に記載されています。


その中で個人的に気になった内容を何点か記載します。


■行きついた先がポジショナルプレーだった
この本ではポジショナルプレーに至った経緯が記載されているのですが、特徴的なのは、最初からポジショナルプレーをやろうとしていたのではなく、攻撃で主導権を握っていこうとしていく中で試行錯誤した結果がポジショナルプレーだったということです。

これを読んで個人的に思ったことが2つあります。

・思考錯誤の末に結果的に行きつき、成績という観点でも年間の順位としてその前後の年よりも良かったいうことは、ポジショナルプレーはサッカーの戦術の中でも優位性のある一つの形なのだということです。
戦術に正解はないとは思いますが、帰納法的に数年間積み重ねた結果としての一つの正解に近い形だったのだと感じました。

・もう一つが、ポジショナルプレーという概念が浸透していなかったことで、時間がムダになっていたということです。
おそらくスペインなどではこういった考えが当たり前のように浸透しており、練習方法が確立していたり、選手の理解度も元々高かったりするのだと思います。

そういった情報があれば、もっとすんなりと戦術が浸透していたのではないかと思います(演繹法的な観点があれば良かった)。
もちろん、情報があるだけではダメで、実際の練習や試合での経験や積み重ねも大切だとは理解していますが、渡邉氏ほどの人が数年間も試行錯誤する必要もなかったのではと感じました。


■相手を困らせる立ち位置を取る
本の副タイトルにもなっていますが、相手を困らせる立ち位置を取る、というのはサッカーの本質なのではと感じました。

それが複数人ならなお良く、本書にも書いてあるとおり2人以上、あるいは3人、4人を困らせる位置を取ることで、試合を有利に進められる可能性が高くなります。

個人的なレベルの低い話ではありますが、相手のプレッシャーがある中でボールを扱うのが苦手だったため、大学、社会人以降では相手のいないところでボールを受けようと心がけていました。
「相手のいないところ=相手選手の間」となる場合が多いのですが、ここでボールを受けるとそもそもプレッシャーがなく、かつ誰がプレスに来るのか曖昧にもなるため、比較的容易に前を向けたり次のプレーにつなげることができます。

これを個人レベルではなく、チームレベルに落とし込むのがポジショナルプレーなのだと読んでいて思いました。


■チームは生き物
主題のポジショナルフットボールとは観点が違いますが、改めてチームは生き物なのだと思いました。

ベガルタ仙台自体が中堅チームであるため、戦術が浸透しても選手が活躍すれば引き抜かれてしまい、ほぼ最初から戦術の浸透を図る必要がある。

そしてこれは推測ですが、新たに来た選手も必ずしも監督のやろうとしていた戦術に適した選手ではなかったと思います。そういった選手にやろうとしている戦術を植え付けるのはかなり大変だったのではないかと思います。
(Jリーグの上位にあるようなチームなら戦術に適した選手を取ってくることもできると思いますが、ベガルタ仙台では難しいはずです)

また、なんとしても残留しなければならないため、ポジショナルプレーよりも堅守速攻のカウンター型の戦術へと遷移していくといった姿が描かれており、読んでいてその雰囲気が鮮明に伝わってきました。


以上、思ったところを簡単に記載しました。
当時はベガルタ仙台のサッカーに全然注目していなかったですが、本を読むとその当時のサッカーを見てみたくなりました。

また、渡邉氏は今年からモンテディオ山形のコーチに就任しており、おそらくクラモフスキー監督の元で改めて何かを学ぶことも理由にあるのではと思います。
すぐに監督として指揮を取るということはないかもしれないですが、渡邉氏が今後どういったサッカーを見せてくれるのか注目していきたいです。


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