所感 ”科学で迫る勝敗の法則 スポーツデータ分析の最前線”
普段から色々な本を読んでいるのですが、その中で最近面白いと感じた本について、自分の勉強がてら所感を記載します。
今回の本は、名城大学准教授である小中英嗣氏の『科学で迫る勝敗の法則 スポーツデータ分析の最前線』です。
本書はその名のとおり、様々なスポーツのデータ分析に関して記載されている本ですが、その中でサッカーに関わる内容で特に印象に残った部分だけ記載します。
データ分析の難しさ
サッカーは他のスポーツと比較してデータ分析が難しいと言われてきたことは以前から知っていました。
その理由は、他のスポーツと比較してプレーの切れ間がないことや、何をデータとして取れば良いのか明確ではないことだと理解していました。
上記はそのとおりなのですが、その他の理由として、フィールドが広いこと等が本書ではあげられていました。
フィールドが広いためにカメラの設置台数を多くする必要があり、また人数も他の競技に比べて多いため、データ取得が難しいとのことです。
言われてみれば簡単な理由なのですが、こういったことからサッカーではデータ分析が難しくなっていることが分かりました。
企業活動でも、データ分析したいのにそもそもデータがないのでデータを作るところから始めないといけないケースがあったりします。
そのデータを作るために、どうやってデータを集めるのかとか、誰がやるのかとか問題になったりしますが、それを似ている気がします。
ゴール期待値
最近よく見かけるゴール期待値についても説明がありました。
普段からサッカーの試合を見ていても、ゴール期待値どおりのゴール数になっているのをあまり見かけない気がしていて、それでも平均すると期待値くらいの数値になるのか、とか思ったりはしていました。
提供している会社によって数値の作り方は違うようですが、4万くらいのシュートのデータを基に作成しているようで、
・シュートの打たれた位置や部位
・ゴールキーパーの位置
・守備側攻撃側それぞれの選手の位置
等がデータとして含まれています。
試合を見ていると、実際のチャンスシーンとゴール期待値が一致していない場合も多くある気がしますが、もちろんですが一応データに基づいた結果にはなっています。
また、ゴール期待値のエリアごとの分布を見ると、ペナルティエリア外からのシュートの成功確率が極めて低いことが分かります(位置のみを考慮したデータで5%前後かそれ未満)。
それもあってか、近年ではペナルティエリア内でのシュートの比率が増え、成功確率が高い位置でシュートが打てるまで攻撃を繰り返す傾向になっているようです。
「ミドルシュートを打って相手を前に引き出せ!」とか、昔言われたことをそのまま使っている解説者もよくいますが、それは間違っていることになります(おそらく)。
ゴール期待値から分かるようにペナルティエリア外からのシュートなんてほぼ入らないし、実感として守備側からしたら(ほぼ入りもしない)シュートで終わってくれた方が楽に感じる場面が多々ありました。
こういった根拠もなく昔から言われているようなことが明確になるのはデータ分析の良いところだと思いました。
その他にも、
・得点数は馬に蹴られて死亡する兵士の数の分布(ポアソン分布)と同じ
・将棋や囲碁のようにAIを使ってサッカーの戦術を考える試み
・FIFAランキングの作り方
等、興味深いことが多く書いてありました。
サッカー以外のスポーツに関する記載も多くあり、そちらも面白かったのですが今回はサッカーに関する部分のみ記載しました。
以上で、本書についての記載は終わりになります。
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