あなたなら、大丈夫
長らく息を潜めて生きていた。
一般論に馴染めない自分は人ではない気がして。
大袈裟に聞こえるかもしれないけど、人間になりたいと漠然と思ってきた。
必死に普通という曖昧なものさしにしがみ付いて、固執して。
でも出来ないことは出来ないと認めて放り出したら、肩の荷がおりた。
世間がじゃなくて、正しいのはでもなくて、私はと話すようになった。
そうして自分の内側から外へ目を向けた時、案外みんな自信なんてないのだと気付いた。
世の中には絶対的な正義が存在し、それ以外は糾弾して正されるべきだと思い込んでいた。
だから自分は間違っていないのだと、別の意見を否定したくなる。
いつかの私はそうだった。
それはたぶん、個というものを認められずに来たからで、とても窮屈で苦しいこと。
そしてそういう人は案外、この世の中にたくさんいる。
大丈夫と言って欲しい、そんな言葉が目につくようになった。
世間の目に怯え、不安に揺れている人がそれだけ多いということだと思う。
相手の価値観や考え方をなるべく尊重し、侵害しないように、それでも自分の意見は伝えられる人になりたいと切に思う。
あなたなら、大丈夫。
大好きな人たちにそう伝わるように。
背中を押せるように。
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