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腎臓専門医試験2024レビュー


試験レビュー

2024年度 腎臓専門医試験を2024/2/10に受験してきました。
試験の問題から何が役に立ったかレビューを書いていきます。
腎臓専門医試験の教材で使用候補となる教材は多く、主な教材候補は下記の通りです。

①腎臓専門医更新のためのセルフトレーニング問題、関連領域専門医レベルセルフトレーニング問題
②腎臓病セルフアセスメント
③専門医を目指すケースメソッドアプローチ
ここから教科書類
④腎生検病理アトラス
⑤関連ガイドライン(CKDガイドライン2023、血尿診断ガイドライン2023、がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022、高血圧ガイドライン2019)

結論を言いますと
優先順位①(must)>>>⑤>④>③=②と
考えます。

各々の教材

①について
受験前学会からの書類にはこのように記載されています。
以下から数題出題しますので下記は勉強しておいて下さい。
腎臓専門医更新のためのセルフトレーニング問題 2020〜2022(試験直前を除いた直近3年分)、関連領域専門医レベルセルフトレーニング問題63-1(2021年度)から最新号まで(直近3年分)
つまり直近3年分は学会公認ですが、本番での出題法に明確な違いがあります。
大きな特徴は関連領域専門医レベルセルフトレーニング問題(以下、領域別)はそのままの同一問題が10題弱出題されることです。先輩の先生方から80番台にそのまま出ると聞いていましたが、今年も84-90番の見開き1枚分は同一問題でした。
領域別は初見だとチンプンカンプンになるほど馴染みのないテーマもありますが実際の試験ではそのまま出題されるためこの傾向が続けば大きく掘り下げる必要性は少ないと考えられます。また、領域別は2018年度、60-1号から掲載が始まっていますが63-1より前の問題のプールや応用問題は見当たらなかったため、学会の指定範囲以前の問題も必要性は高くない印象でした。

続いて腎臓専門医更新のためのセルフトレーニング問題(以下、更新用)は関連する問題が出されますが、同一や類似問題でなく、解説を読み込んだり掘り下げないと正答できない印象でした。
また、範囲外ですが2023年度(試験直前)の更新用の内容の問題も2題みられ、
1月中旬(試験2週前ぐらい)に解説がきますが、1点でも逃したくない方は直前の更新用の問題も勉強されることをお勧めします。
加えて更新用は2006年から開始されており、「何年分やればいいか」は議論されますが、個人的には年25題⇨20題となる2016年度からがいいと考えます。詳しくは割愛しますが、古すぎて当たり前な問題は少なくメジャーな疾患を凡そカバーすることができるからです。

②、③について
この2つはどっこいどっこいです。それぞれ本番の問題数で言うと勉強することで3-4題ずつ拾えたかな、という印象です。①をしっかりこなせば合格最低ラインには十分届くと思います。
②は学会公認のものですが、2012年度と古く基礎から勉強したい方はお勧めです。また、2011年度までの更新用のセルフトレーニング問題を教材としているため、2011年度以前の更新用も勉強する場合は優先度は下がります。
かなり前の書籍であり、診断基準など新しくなったものはその都度最新のものを調べないといけません(実際私は腎臓内科レジデントマニュアル第9版を用い調べました)。
③は分量が多く、まず①をしっかりこなし一通りの疾患の内容を頭に入れてから開始するのが時間もかかりにくいためお勧めです。

④について
比較的メジャーな疾患の病理の知識を学ぶことができれば別の教材でも構いません。
病理に関連した問題は電顕の画像問題1題、染色の問題1題、標本の取り扱いの問題1題を含め10題程です。加えて、病理画像があっても臨床経過や検査所見から診断でき病理をあまり知らなくても解ける問題も含めると問題数は20弱でした。
前者の10題の内染色と標本の2題は難しいですが、それ以外の問題はメジャーな疾患の所見を問われています。
↑の10題の内8題(染色と標本の2題は捨て問)は細かすぎず、かと言ってセルフトレーニング問題だけでは心許ないレベルで難易度からは合否を分けるレベルと考えられました。
腎生検病理アトラスは学会公認なので最もお勧めの教材ですが、凡その病理の教材でカバーできるレベルと考えられ既に病理の教材をお持ちの方は自前の教材でメジャーな疾患の病理所見を一通り整理、暗記しておくことをお勧めします。

⑤について
これもかなり大事です。特にCKDガイドライン2023からは、つい最近出されたガイドラインであることと、高血圧ガイドライン2019の内容もほぼ網羅しているため出題数が多かったです。
ただしガイドラインに書いてある内容を全て把握するのは分量から困難なので、CQの内容を覚えておくのがいいかと思います。
上の4つの優先順は本番の問題数を踏まえると、CKDガイドライン2023>がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022>高血圧ガイドライン2019(凡そCKDガイドラインでカバーされており単独では1題)>血尿診断ガイドライン2023(関連の出題は1題)です。

100題の内訳、疾患やテーマ別

臨床35題
連問 2問×2(いずれも臨床)
MCNS 1題
IgA 1題
IgA血管炎 1題
FSGS 2題
膜性腎症 3題
SLE、ループス腎炎 4題
RPGN 抗GBM病以外 4題
抗GBM病 2題
腹膜 1題
アフェレシス 1題
SGLT2 3題
ARNI 1題

出そうで出なかったもの

セルフトレーニング問題で登場していますが本年度出題されなかった疾患です。
来年度受験される先生方は対策をお勧めします。
クリオグロブリン血症、MIDD、ADPKD、コレステロール塞栓症、肥満関連腎症
アミロイドーシス、横紋筋融解症、Bartter/Gitelman






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