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奇跡が起きた!そして、「私って施主なんだ」と自覚する の巻

建築家 石井さんは喫茶ランドリーさんがオープンしたあともグランドレベルさんとお仕事をされているそうで。
何かのついでなのか、まさかわざわざうちのためにじゃないとは思うけど、(ビビって確認できなかった)石井さんがグランドレベルのお二人と一緒に来てくれて。
大西さんと元子さんが、うちに!?
当日まで「夢か?」って思っていたけれど、車が着いて家から飛び出したら、お二人がうちの倉庫を見上げてる。
現実だった。
クラクラした。

お二人と石井さんと私の4人で、2階、1階、外観と…荷物に溢れてぐっちゃぐちゃな倉庫を見てまわる。
「ここはこんな風にできないかな?」「こんな風になってたらいいよね」って気づいたことを話してくれて。
やっぱり、通りから何気なく眺めて歩く目線の高さって重要だって改めて。
お二人がこんなとこまで足を運んでくれて、道路との関係や物件を見て、アドバイスしてくれる。
これがどんなすごいことか…「マジで!?」ってわかってくれる人と共有したい。

全国飛び回って、めちゃくちゃ忙しいはずのお二人。
再会ができただけでもとても嬉しい。
お二人とは、喫茶ランドリーさんができる10年くらい前にもお会いしていた縁もあったのだけれど、うちに来てくれる日が訪れるなんて!
私にとっては蔵波公園でbjörkがライブやるぐらいすごいことじゃ。
例える必要があるかわからないけれど、、
父には「長浦駅前で都はるみがリサイタルやるぐらいすごいことなんだよ」、おじいさんには「キラ橘(商店街)で嵐がライブやるぐらいすごいことなんだよ」って例えを変えながら、どうにかこの興奮を共有したくて説明してみたけれど…
求めてる反応が得られなかったから、最初にリノベのこと相談してみた創造系不動産で働く友達に「お二人が石井さんと一緒にうちに来てくれた」って伝えたら「すごい!!グランドレベルのお二人が!!お二人ともすごい忙しい方なので、超レアです!!」って返信くれた。
興奮を分かち合えて、少し気持ちが落ち着いた。

喫茶ランドリーさん、大好きな空間だ。
マーケットをやらせてもらってたからってわけじゃなく。
やらせてもらう前から好きだ。
喫茶ランドリーさんがオープンして、チャリで行ってみた。
最初の4回は満席で入れなかった。
入店できたのは5回目。
ランドリー(洗濯機)、2台まわってた。飾りじゃない。それがまたいい。
視察かな?建築系の打ち合わせ、奥のほうもオシャレな人々ミーティング利用っぽい。
それぞれが読書している知的そうなカップル、Macbook広げてる1人客チラホラ。
ベビーカーのママも。
バラつき感、居心地いい。
スタバはスタバの、個人のおしゃれカフェはその店の、ドトールはドトールの客層や雰囲気がある。
喫茶ランドリーさんは、行く度に違う風が吹いている。
そこに毎回発見や驚きがあって。

2人かけの席に1人でいたら、全然知らない5歳くらいの男の子が私のテーブルに。
「それ、美味しいでしょー」って。
「え、誰?」ってなる。
「美味しいよ」って返したら、持ってるおもちゃをテーブルに出して、名前とか紹介してくれる。
わかんないけど、うん、聞く。
読んでいた本は閉じた。
私は夕方のトークイベント前に寄ったので、お店を出なきゃいけない時間は決まってた。
全然飽きてくれない。
そして、ママらしき方がどなたか全然わからない。
そーっと荷物をしまい始めて、「そろそろ行かないといけないんだけど、ママは?」って聞いたら「いるよ」と言われた。
うん、そうだろうけど、どこに…。
「また来る?」って聞かれたので「うん、来るよ」って言ったら、出口まで見送ってくれて「またね」って言われた。
ママに繋げなくて心配だったので振り返ったら、軒下でタバコを吸ってる方に一生懸命話しかけてた。
5歳児の常連か…結局店内にママはいたのだろうか。
わからないけど、そんな小さな子とマンツーマンで30分近く話したのは初めてかもしれない。
なかなか新鮮な体験だった。

何度か行くうちにママもわかり。
子供同士で遊ぶより、大人と話す方が好きなのか、その子はわりとお客さんに話しかけていて、愛されていた。
居酒屋で知らないおじいちゃんと飲んだりするけれど。
カフェで子供と遊ぶって、普段使わない回路を使うというか、何が正解かわからなくてものすごく面白い。
子供がいるママは日常だろうけど、子供がいない私にとっては刺激的なんだ。

喫茶マーケットをさせてもらうようになって、喫茶ランドリーに行く機会も増え、そこで出会う人、そこで耳にする会話、目にする出来事、劇的ってわけじゃないんだけどゆるやかでハッピーなことが自然に起きる場で、どんどん好きになった。

目には見えない秩序があって、自由。
このゆるくて開放的な空間は、グランドレベルのお2人だから実現できるんだと思う。
培われてきた経験があるからこその考え方、センス、懐の深さ。
誰かが真似してもこんな風には仕上がらない。

例えば自分がカフェを開いて、定期的に作家さんの絵や雑貨などのギャラリースペースにするとして、自分の好みやお店の雰囲気からあまりにかけ離れていたらお断りするでしょ。
それが悪いことってわけじゃなくて。
店主のキャラクターや作り上げたい世界観とか理想があるわけで、その実現のための場なんだから、それで良いとも思う。
その個性に惹かれてファンができる。
なんでもかんでも受け入れていたら、それまでのファンが「あれ…なんか違う」って居心地悪くて離れちゃうことだってあるだろうし。

運営や経営する側の人が、がっちがちにルールを作らず回せるか。
お客さん側に「自由」を委ねるってなかなか勇気いる。
委ねた上で、どんな展示やイベントをしても“それが喫茶ランドリー”ってすごいことだと思う。

森下とか両国でカフェ開こうと思った時に、選択肢に入りづらいあの立地。
結果的に強みに変えたのは、グランドレベルさんだから。
あのお二人なら、別の場所でもいい感じの空気、町との混ざり具合できると思う。
今の店とは違う感じになるかもしれないけれど、その立地ならではの花の開き方。
だから、場所じゃない。

袖ケ浦駅前の開発の残念さに嘆いた時。
袖ケ浦に帰ってきて退屈すぎて死ぬ…って思った時に、1町会に1人の元子さんがいたら日本中の町が楽しくなるのになあって思った。
パッとその場が明るくなり、人の輪ができる。
だが、残念なことに元子さんは世界に1人しかいない。
憧れたとしても元子さんにはなれない。
真似をしてみても、経験やセンス、器も懐も全然違う。

元も子もないこと言うと、うちの倉庫は喫茶ランドリーにはなれない。
例え目指してみても、絶対違うところに着地する。
それはそれでいいとは思う。

墨田と違って車中心のこのエリア。
第一種住居地域の住宅街にブンブン車で乗り入れられたらご近所に迷惑かけてしまう。
同じ敷地に住まいもあること。
高齢の父が一緒に暮らしていること。
自分自身もこれからもここで暮らすこと。
バンバン人を呼びたい!とか、ない。
かといって、「会員限定」とかしばりたくもない。
「とがりたい」とか「目立ちたい」も、一切ない。
ちょっと窓から顔を出して声をかけたり、「お茶飲んでく?」みたいにできたらいい。
「何をやりたいか」「何ができるか」、ご近所としっかり対話しながら調和するちょうど良いところを見つけていきたい。
賛同してくれる人を見つけるのは時間がかかるかもしれない。
息切れしないように、開いたり閉じたりをいろいろ試して、その時々で形ややり方を変えながら。

いつもは通らないうちの前の道、「今日は何してるかな、誰かいるかな?」って覗くために1本道を変えてお散歩するとか。
人の気配は大事にしたい。
お二人が来てくれて、やろうとしている大枠とは違う部分でぷくぷくと細かく小さな妄想が膨らむ。

リノベに取り掛かる時、今回、外装は手を出さないこともあって、内装のデザインはどうしようか、この建物で何をしようか、ここにコレを置きたいからこういう作りにしたい、こういう動線にしたいとか「中から中」ばかりを見ていたが、お二人は「外(通りや町)から外(建物の顔)」の視点で、目線の高さ、しかもいろんな角度から「外と中の繋がり方」みたいなところを大事に見てくれて、「そっか!」ってなった。
1階の入り口や窓など外と中を繋ぐ部分、オーニングとか外にはみ出る部分も一度しっかり考えようと思った。
予算のこともあるので、理想の全部は叶わないかもしれないけれど。

そして、大西さんがうちのことを投稿してくれた文中に「御施主さん」とあり、「あ、私、施主なんだ」と自覚する。
考えなきゃ、決めなきゃいけないことの連続に頭がグルグルしてくることもあるけれど、しっかりしなくちゃ。

せっかく手をつけるのだから、今だからできることを見落とさないように。
気づいたけど予算とかの条件で納得して諦めること、ゆくゆくやろうって振り分けることは良いとしても、「なぜ気づかなかったかー!」って後からならぬように。
石井さんのおかげでグランドレベルのお二人に勇気をもらえた。
頑張ろー。

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