「そのギターフレーズが欲しい」と恥ずかしがらずに教えを請う大切さ
ギターフレーズを増やしていくには、たくさんのフレーズを聴き、そして実際にそのフレーズを何度も練習して身につけるしかない。
その過程でフレーズ音源とタブ譜などを活用して、指板の位置や指の動きを確認するのだけど、ひとりでやるのってかなり大変。まあ、その努力が長い目で見たら糧になるのかもしれないけど、やはり時間と労力はそれなりにかかる。
ギターを始めたころ、ひとりで先に書いた練習をしていたけど上達はかなり遅かった。おそらく、私の理解力と指の動作の問題で時間がかかっており、私以外の人は音源とタブ譜などで十分に早く上達できると思う。
ちなみに私が他の人よりも上達が遅いと思うことには理由があって、ギターを始めた当初にコードがまともに押さえられなかったことが原因だ。
まず、左手でコードの形を作るんだけど、左手が硬くて右手で左手の人差し指、中指、薬指、小指をそれぞれ所定のコードを押さえるポジションに移動するところから始まる。ようやく左手がコードの形になり、力を込めて弦を押して弾いてみると、
「プチプチプチプチプチプチ」
というミュート音の嵐。
どの弦からも音が綺麗に出ることはなく、何度も左手の力や押さえている指のポジションを調整してもミュート音しか出ない。こんなことが数ヶ月も続き、しかも改善されなかったため、他の人よりも成長速度が遅かったと思う。
話を元に戻して、要はひとりでの練習に最初から限界を感じていた状態だった。ギターが上手い友達に教えてもらいながら練習していたけど、当時高校生でやんちゃな年頃のためか、「こんなのも弾けないのか」とか「はやく弾けよ」とか言われ続けて、練習の空気ではなくなっていた。
そんな日が続いていたある日、ギターが上手い友人が何気なく弾いたギターフレーズに心を奪われてしまう。
「そのフレーズが欲しい」
心の底からそう思うのと同時に、そのフレーズを弾いている姿をイメージしている自分に気づく。
「教えて欲しいな。でもまた嫌なこと言われるのも嫌だな」
そんな葛藤と教えを請う恥ずかしさもあったけど、最終的には自分の欲する力が優った。
友人に「そのフレーズが欲しい。ほんの少しでもいいから教えて。ほんの少し、ね、お願い」とありったけの気持ちを乗せて頼み込んだ。私がいつもとは違う雰囲気で頼み込んだのもあってか、友人は「いいよ」と快諾してくれて、一小節にも満たないフレーズを教えてくれた。
「1弦のチョークダウンから2弦のチョークダウンが難しいけど、ここがこのフレーズのミソだよ」とか、「音も大事だけど、ギター弾きなら弾いてる指の動きもかっこよく見せないと」など、フレーズを弾くにあたっての大切なことやこだわりを教えてもらった。
この出来事がきっかけで友人の他のギターフレーズも教えてもらい、自分のギターフレーズを増やしていった。
自分が本当に欲しているフレーズがあれば、素直に熱意を持って教えて欲しいと言う。これは何もギターだけではなく、生きていく上で起こる様々なことにも当てはまると思う。