2019年に公開された鬱映画TOP5
ハウディホー、リネンです。
2019年の個人的映画ランキングラジオの台本を制作している過程でボツになった「鬱映画部門」の原稿(?)をここに公開しようと思います。
さて、楽しい映画あれば鬱映画あり。
昨年も沢山の良い鬱映画が公開されましたが、鬱映画ってあんまり話題に上がらないんですよね…
記憶に新しいところでいえば、「すみっコぐらし」がパステルカラーのジョーカーなどと揶揄され鬱呼ばわりされていましたが、ぶっちゃけあれはただの優良な児童向け映画です。(観に行きましたが普通に最高でした)
じゃあ、どんな映画が鬱なの?という個人的なランキングを作ったので、暗い気持ちになりたい人は参考にしてください。
※こちらのランキングは私が昨年映画館で観た映画の中から独断と偏見で選んで決めたものなので、「○○が入ってないじゃないか!」と憤慨された方は是非自分でランキングを作って公開して下さい。
※全体的に本筋に触れない程度ですがネタバレがあるので嫌な人は先に映画を見てから読んでね
5位 ワイルドライフ
メンタル崩壊男を演じさせたら右に出る者がいないでお馴染み、ジェイクジレンホールが主演。
「スイスアーミーマン」で無限にオナラが出る死体を操って海を渡った男、ポールダノが監督。
貧困に煽られ狂っていく夫婦の様子を息子目線で延々見せられるというひたすらに鬱な映画。
序盤では本当に幸せそうな家族の姿が描かれ、
少しの歯車のズレでその全てが崩壊していく様は見ていて恐ろしかったし、もうやめてくれ!と喉を掻きむしりたくなる場面がどんどん出てくる。
両親の行動に不信感を抱きつつも、家族を守るために秘密を抱えて人知れず苦しむ14歳の主人公ジョーに嫌でも感情移入してしまいメンブレ。
ただ、画面がひたすらに美しいところとギリギリ救いのあるラストのおかげでそこまでは引きずらずに済んだ。
4位 ジョーカー
戦争になるので私の解釈は書きたくないのだが、深読みせずフラットな視点で観たとしてもこれは流石に鬱だろうと思う。
(あれがアーサーの妄想にしろ現実にしろ)映画の展開上は
ゴッサムシティで苦しい生活を送り、病気に苦しんでいたアーサーという青年がジョーカーという貧困層のヒーローになる!
という普通のダークヒーロー誕生譚というか、サクセスストーリーみたいな構成で何となく爽やかな印象を残して終わるので観た後の高揚感は強いのだが、
冷静に考えると別に彼はヒーローになんてなりたく無かったのでは?というか、ヒーローになったからと言って彼の悲痛な過去が清算される訳では無いし、結局ウェインの被害者のままじゃん…となって鬱になってしまう。
考えれば考えるほど精神がすり減るのに、考察したくなる要素が多過ぎてついつい考えさせられてしまう恐ろしい映画。
もがけばもがくほど沈んでいく、蟻地獄のような…
3位 そして、生きる
主軸になるストーリーはめちゃくちゃ切なくて活き活きとして本当に泣けるし素晴らしいんだけど、結局幸せになるのはカースト上位の人間だと思い知らされて延々鬱になる。
※余談※リネンちゃんはこういう現実を突きつけられる映画のことを「現実パンチ」と呼んでいます
というか、有村架純が可愛すぎて『もしも有村架純級の美女が芸能界に入らず田舎にいたら』とのび太が叫んだ世界線の劇場版ドラえもんかな?というぐらい有村架純に都合の良い展開が続いてまた鬱になった(ドラマの再編集版なので展開が早すぎるのは仕方ないにしても)。
この映画で素直に感動出来るのは裕福な家庭に生まれて成績優秀でミスコンとか出ちゃうタイプの人間だけだと思う。私はハンちゃんに感情移入し過ぎて三日間立ち直れなかった。
2位 家族を想うとき
2019年、最後の最後にぶち込まれた鬱映画。
「私はダニエルブレイク」で引退したと思われていたケン・ローチがこの世の闇をほうっておくのに耐えきれなくなって引退撤回してまで作ったヤバい作品
ちなみに日本語版タイトルはかなり詐欺です。
オーディションで選ばれた映画初出演の俳優達による本当に「どこにでもいそうな家族」が、何も悪いことしてないのに、ただ貧困のせいで苦しみ、搾取され、傷付き、病み、荒れ果て、壊れていく様に胸が締め付けられ胃も痛んだ。
この映画の恐ろしいところは俗に言う「映画っぽい綺麗な結末」が残されていないところ。起承転結というより転転楽転(転は転落の転)って感じ。。
今終わるの!?というところでブツッと映画が終わり、今作のエンドロールは現実に帰るには短すぎた。
本当はこの映画を観たあと東京でフラフラしようと思っていたけれど、気付いたら茫然と電車に揺られ家に向かっていた…
家族を想わされたのは私の方だった。
番外編
さて、一位を発表する前に惜しくもランクイン入りを果たさなかった作品を二つ紹介しようと思う。
これらは別に鬱作品ではないが、個人的にメンタルをやられて映画館から出るのを躊躇した映画達である。
番外編その1 アベンジャーズ エンドゲーム
前作から間が空く事一年。この一年間で生まれたファンの数だけある解釈のせいで多くの解釈違いで苦しむファンを生み出した作品と言える。
この映画の恐ろしいポイントは、なんだかんだ言ってこの10年続いた20作品以上に及ぶシリーズがめちゃくちゃ綺麗にまとまってしまっている所だろう。
正直、これまでコツコツ築いてきた『アベンジャーズ』をこの一本で終わらせるためとはいえ、あまりに多くのキャラクターが帰らぬ人になってしまったのでショックを受けたオタクは多いだろう。私も推しの迎える結末に納得がいかず、「今回は違うパターンの上映会かもしれない」と信じて何度も観るという、無謀すぎる『エンドゲームリセマラ』をしに劇場に6回足を運んだ。
しかし、そんな辛い思いをしているファン達も作品としてはこの上なく完成度が高いせいで各々の推しキャラクターの展開に文句を言うのはワガママ、という雰囲気により発言が出来ず病んでファンを辞める人も少なくなかった。
ぱっと見の鬱度合いでは「お葬式」と名高い前作『インフィニティーウォー』の方が勝るが、アベンジャーズに入れ込んだ人間的にはかなり鬱だと思う。
番外編その2 メリーポピンズ リターンズ
私は、ミュージカル映画が好きだ。
歌もダンスも好きだし、起承転結を歌に乗せて描かれるとすごくスムーズに感情が入ってきて、笑って泣けて、最後は晴晴とした気分になるから。
ただ、この作品には他のミュージカル作品によくある失恋、失業、死、、などといったマイナスの出来事がほとんど起こらない。
いや、一応物語上はピンチがあるが、全然ヤバいピンチではない。
なんかもう、最初からずうーっと、楽しくて、笑顔に溢れてて、とにかくハッピーな作品にミュージカルというこれまた楽しい要素が追加され、本当に楽しい。
本当に楽しくて、泣いてしまった。
心が洗われたという表現じゃ足りない、幼児回帰のような…とにかくドロドロに甘やかされた感覚というか…
帰り道はさながら、大人数で遊んで私だけ家の方向が逆、とか、ホームパーティの片付けを1人でしてる時、とか、ディズニーランドの帰りの電車、とか…
そういう虚しさがしばらく消えなかった。多分、明るく生きてる人はこんなこと思わないと思うのでランク外。
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1位 エイスグレード
自己肯定感の低い人間が観るとアナフィラキシーショックで死ぬ。
控えめに言って私の人生の嫌なところだけを集めた走馬灯みたいな映画だった。
序盤から映画館で泣きすぎて椅子からずり落ちそうになって、必死で肘置きにすがりついて嗚咽をこらえた。シアターに二人しかいなくてよかった。
なんでもない電話をかける時に、やけに緊張しちゃう様子とか、友達に遊びに誘われたけどなんとなくお義理で誘ったんでしょ?みたいな探りを入れちゃうところとか…
斜め下を見て捲し立てる喋り方も、親にだけは強く当たれる感覚も、誰のせいでもない会話の間を自分の責任みたいに感じて帰りたくなる気持ちも、自分を襲おうとしてきた男に謝っちゃう自己肯定感の低さも……全部思い当たる節があって、それが本当にキツい…
SNS時代の陰キャ女子中学生の「リアル」をどうやってここまで鮮明に描いたのか、本当に不思議。
結局「ああ、それがいいよ、そうしとけ…」みたいな身の丈にあった幸せに落ち着くところも、納得はいくんだけど、映画なのにこんなに現実を観ることある…?って感じでしんどかった。現実パンチ。
結局容姿が良くない陰キャは容姿が良くない陰キャとくっつくんだよね…
スクリーンが、デカい鏡に見えた。
しばらく見たくないけど、映画としてすごく評価したい作品だった。
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以上、倉持リネンの2019年鬱映画まとめでした。
あー、明るい映画が観たい。ジム・キャリーとか、ライアン・レイノルズとかが出てるやつ。
オラに現金を分けてくれ〜!