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家具にまつわる話 捨てるのも楽じゃない!

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 家具については、処分したいがひとりで動かせないのでどうすればよいかというご相談を受けます。確かにひとり暮らしの人はたんすなどを動かすのに、人出が要りますし、家族や友人、知人に頼むのが難しい場合もあります。

 粗大ごみを出す場合、地域の環境事業所に事前申し込みをして手数料を払い、指定日に家の前に出しておけば持って行ってくれるのですが、一人では家の前に出せません。かといって家具を運び出してもらうということは、家の中に他人を入れることになります。またどこの業者に頼んでいいかわからないとも言われます。

 確かに信頼のおける業者かどうかを判断するのも難しいものです。見積もりの何倍もの金額を請求されたり、必要のないリフォームや商品を勧められたりしても困ります。

 そこで粗大ごみを出す手伝いをして欲しい人には、お住まいの地域の「シルバー人材センター」に問い合わせを勧めています。ここは掃除や除草、家事の援助サービスを中心に行い、高齢者事業団という公益法人で知事の指定による組織のうえに、市区町村を中心に設置されています。ですから万が一何かトラブルがあれば対処してもらえ、料金が比較的安いからです。

 次に家具を処分した五〇代の女性Aさんの話です。Aさんの家には古いたんすがありました。中身は旅行のパンフレットなどで、なくても困らないようなものばかりです。中身を出して仕分けをしようとしたのですが、決められない。そこでたんすを処分することにしました。逆転の発想です。入れるものがなくなれば決断できると思ったからです。たんすを処分し、中身を並べてみましたが、戻す場所もないので全部捨て、スッキリしたそうです。整理の仕方は人それぞれですね。

 家具にまつわる話でこんな話もありました。六〇代女性の相談です。
「嫁にいった娘が出戻って、嫁入り道具一式を実家に持って帰ってきました。どうすればよいでしょう」

 問題の嫁入り道具は、いわゆる婚礼たんすのセットだそうです。洋服だんす、和だんす、整理ダンスに鏡台も。その立派な家具が家の中で場所をとり狭くてかなわないとのこと。これは整理や片づけの問題ではなく、娘さんの今後の生き方の問題で他人が同行できることではありません。答えのないのが答えだと思われたのか「処分するか、娘が家を借りるしかありませんね」と一人で答えを出してさっさと帰って行かれました。

『転ばぬ先の「老前整理」』2016年 東京新聞より

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