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「当然こうあるべき」という思考と差別意識の類似性
業務改善のワークショップや、新しいコミュニティを考える中で「クリティカルシンキング」というのがあります。日本語では「批判的思考」とも言われ、考えるべき「目的」や「背景」を所与のものとせず、改めて客観的に考えてみることです。
今日はこのクリティカルシンキングをさらにつっこんで考えてみたいと思います。
クリティカルシンキングを体験するワーク
わたしがよくやるワークショップのアイスブレイクとして「ご飯の炊き方ワーク」があります。
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これは「ご飯の炊き方を3行レシピで書いてシェアする)と言う簡単なものなのですが、ほぼほぼ以下のような内容をみなさん書いてくださいます。
お米を計る
お米を洗う
炊飯器に入れてスイッチを押す
参加者が10名いると1人ぐらいは「鍋でご飯を炊く」方がいらっしゃるのですが、だいたいこんな感じです。
頭の中にある前提
このレシピを考えるときに、おそらく以下のような前提を頭の中で無意識に考えていると思います。
この人は、手軽なご飯の炊き方が知りたいんだろう
この人は、3合ぐらいの量の炊き方を知りたいんだろう
この人は、日本に住んでいて白米がすぐに手に入る状況だろう
この人は、炊飯器の使い方を知っているだろう
このように回答する相手の「求めている事(=目的)」や「置かれている状況(=背景)」と言ったら前提を頭の中で設定する事で、素早く効果的な回答をすることができます。
前提を疑ってみる
この時、頭の中で設定した「目的」や「背景」をずらしてみたらどうでしょうか?
小学校の給食用に20升のご飯を一度に炊きたい
自然の中でゆっくりご飯を炊いてみたい
タイ米しか手に入らない状況でご飯を炊きたい
停電した時にご飯を炊きたい
このように「目的」や「背景」が異なれば考えられる回答もずいぶんと異なります。
「前提を設定しない」のではなく、「前提は前提であると自覚する
前提を設定すること、すなわち「価値判断」をしていることに気づき、そのことに自覚的になることが、クリティカルシンキングの第一歩だと思います。
安全な場・安全な関係性の中で価値判断を保留してみる
前提を疑ってみるためにもう一つ大切なのが、自分の「前提や価値判断を共有することができる関係性」だと思います。
常に正しく効率的な回答を求められる環境で、新しい考え方や価値判断に対する違和感を発言できるのは難しいと思います。
日頃から、全然関係のないことを共有したり、突拍子もないことを言えるような関係性を持つことはすごく大切です。(そのためにオススメなのは本気のザツダンですが、それはまた別の機会に😅)
わたしが社内でやってるザツダン、本当に雑談なので、ほぼ食べ物の話か、藤井風さまの話か、コミュニティコインの話って感じで仕事の話はほとんどないのですが、今日久々に「仕事のこと話してもいいですか?」って言われましたw
— 倉林一範 (@kurabayashikobo) January 13, 2023
「どうぞー😆」
価値判断が画一的で、間違えの許されないものになると、それは「こうあるべき、こうでないものは間違っている、排除すべき」と言う差別の発端になりかねません。
この部分は本当に注意して自覚していかないといけないと思います。