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アカデミック・ライティングの本が良かった
12月の修論提出を前に混沌とした沼にハマっていたので、藁にも縋る思いで手に取った本「まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書」が予想以上に良かったので紹介したいと思います。
研究したいテーマや、研究のフィールドは決まっていた
大学院を目指しているときから、研究のテーマはざっくり「地域通貨」ということで決まっていました。現時点では「地域通貨」自体にフォーカスするのではなく、「地域通貨が目指していた相互扶助」や「地域通貨のメカニズム」を使って、学習コミュニティにおける学び合いを探索しようと思っています。
というわけで、論文のテーマ探しについてはそれほど迷わなかったのですが。。。
書き方が分からない
今回の論文テーマは「人文学」ですが、大学の学部時代は理系でしかも実験系だったため、人文学の論文の書き方が本当にわからなかったです。いろいろな論文を読んでみるも、書き出しも様々、文章も小難しかったり、詩的だったり、ちょっと気の利いた文章じゃないとダメなんだと思っていました。
そのため、これまでに書いた論文でもなんかちょっと斜に構えたような文章になってしまって、後から見返すと「イキってんなぁ〜w」と言う感じで恥ずかしいです。
論文の方向性が定まらない
もう一つの悩みが、「論文の方向性」がなかなか定まらなかったということです。修士論文ということで研究期間も限られますし、スコープとなる研究領域もかなり絞らなければ論文としての体をなしません。しかし同時に「社会への接続」「社会課題へのアプローチ」にも言及する必要があり、「自分の中では繋がっている気がするけど、論文というフォーマットにした時にどこを書けばよいのか?」と迷っていました。
「実施報告」になってしまわないか?と言う不安
さらに今回私は「アクションラーニング」という研究手法を採用しており、それは自分自身が当事者と一緒にプロジェクト活動をしながら、その組織のベターメントに携わりながら、同時にそこでどのようなことが起きていたかを観察していました。プロジェクトの実施記録は積み上がっているものの、これをアカデミックな領域に対してどのように出していけばよいのか?そのままでは単なる「実施報告書」になりそうで迷っていました。
『自分はこの研究をやっていて正解なのだ』と思える
こんな悩みだらけの私でしたが、この本を読んでほぼすべての悩みが解決するとともに、『自分はこの研究をやっていて正解なのだ』と思えるような背中を押してもらいました。
まず書き方については「パラグラフライティング」という手法を使います。もちろんこれ自体は以前からある手法ですが、この本ではパラグラフライティングの要件を厳しく設定し、初学者が迷いにくくなるような説明をしています。具体的には、パラグラフには1つのテーゼを設定し、それを事実と論理で正しく説明せよ(もちろん本ではもっと詳しい説明あります)、とありなんだか自分でも書けそうな気がしてきました。
次に論文の方向性については、どのようにアカデミックな価値を生み出し、それをアーギュメント(主張)として設定するか?が書かれていました。特にこの「アーギュメント」の説明が分かりやすくて、「アーギュメントとは、読者が『本当にそうなのか?じゃあ論証してみろ』という反応が来るもの」と説明されています。個人的にこの説明の仕方もむちゃくちゃ分かりやすくて、これまで聞いていた「問いを設定して、それにどう答えるか」というより格段に分かりやすかったです。しかもこの本では「論文に必要なのはアーギュメントであり、問いは必須ではない」とまで言い切っています。
最後に、そもそも研究とはどのように世界とつながり、どのように自分の人生と繋がっているのか?という章があります。これがまた良くて、まず「人文学というものの究極目的のひとつが社会変革であり、暴力の否定である。それによって世界をより良くすることだ」とあり、社会との接続をしっかり意識させてくれます。
さらに「論文を書くとは、世の中に何らかの新しい主張をもたらし、それを説得的に論証することで、人々の考えを変えようとする行為にほかならない。」と言っており、
「問いを立てるのは、バカヤローを言いたい相手がいるから
ここで上野千鶴子の著書を引き「研究や問い以前に、あなたへが抱いている感情のエネルギーだ。つまりあなたの内的なモチベーションと接続されたリサーチクエスチョンを作ることであり、なぜ他ならぬの自分がその特定のアーギュメントを提出し、人々の考えをそちらへ導こうとするのか?に応えることで、自分はこの研究やってて正解なのだと思える」と言っている。
そう考えると、私自身のモチベーションも怒りだなと気づきました。
学びの機会が奪われる、 ひとつの価値観に押し込めらる、搾取される、そういう理不尽にわたしは怒っているのだと。
単なる机上の空論ではなく、アクションリサーチと言う手法を通して・実践を通して少しでも貢献していければ良いなと思っています。