大学の学びは大人になって活きるの?【諏訪田製作所・斎藤さん】
みなさんこんにちは!編集室ネーム『アクティブ取締役』です!
今回私は株式会社諏訪田製作所に行ってきました!
諏訪田製作所といえばニッパー型『爪切り』が有名な会社です。私はこの会社で勤務している齋藤風汰さんにくらす・働くについてお話を伺いました。今回の記事を通して私のような将来像がはっきりと決まっていない学生に少しでも考え方や働くことの魅力を発信できたらいいなと思っています!かっこいいフレーズがたくさん出てくるのでぜひ楽しんで読んでみてください。
教員志望からものづくりの世界へ
ーなぜ風汰さんは諏訪田製作所で働くことを選んだのですか?
昔から漠然とものづくりに興味があって、高校が三条ということもあり三条といえば金物の町!と知っていたのでそこから調べていって諏訪田製作所に出会いました。
ー風汰さんが通っていた大学の専攻とは違いますよね?
はい、実は、もともと国語の先生になりたくて大学に入学しました。
大学に入ってしばらくすると、教員になることのモチベーションがなくなっていき「何をしたらいいのだろう」と悩んでいました。ただ、漠然とものづくりはかっこいいと思っていたので、やりたいことを仕事にできる諏訪田製作所に出会い、建物の外観や商品のすばらしさにも魅力を感じて入社しました。
ー今、風太さんは諏訪田製作所でどんな仕事をしているんですか?
展示会への出展やショップの店員といった営業活動から、広報、オンラインショップの運営などを行っています。総合職に近いですね!商品の製造以外の仕事をほぼ営業部で行っています。さまざまなことをするので、いろんなことに挑戦できる柔軟性が必要ですね。
ー働くにあたってのこだわりはありますか?
一番大切なのは自分が楽しめるかどうかですね。大変なことでもとらえ方ひとつで変わるので楽しんでやることです。あと自分を持っておくのも大切だと思っています。
風汰さんは、思い通りにいかなくてもよい方向にもっていって日々を楽しんでいるように見えました。
仕事の内容について
このニッパー型爪切りは見たことがある人もいるんじゃないでしょうか。見たことがないという人もいると思うので、少し紹介させていただきます。
こちらのニッパー型爪切りは一つ一つ職人さんが手作業で作っているもの。工程は60工程あり、1つ作るのに約2~3か月はかかるそうです。今では1年で約10万個製造しており、鍛造という工程を爪切りに用いているのは日本全国、世界を見てもかなり珍しいということもあり注目を浴びています。
ー諏訪田製作所といえばこのニッパー型爪切りですがなぜこのニッパー型にこだわっているのですか?
実はただニッパー型なのではなくちゃんと理由があるんです!主に二つの理由があります。一つ目は諏訪田製作所のある燕三条という地域が金物の町と言われているところにあります。沢山の企業が様々な金属製品を生み出していますが、企業毎に得意な工程があります。ここ諏訪田は左右の刃と刃をピッタリ合わせることがもともと得意な会社なのでこの形にこだわっています。
二つ目は一般的な爪切りの形に比べて利点が多いことです。ニッパー型は切るときに爪に負担がかからず、断面がなめらかになり、優しく切れるので使いやすいです。刃が大きく開くため高齢の方の厚い爪や、先がとがっているので巻き爪にも使用できるようになっています。
ーそんな背景があったなんて知りませんでした。なにより使える用途が広いんですね。
実は諏訪田製作所では爪切りの修理もやっているんです!
ーそうなんですね!
実は以前に50年前のものが修理に出されたことがありました。
ーお高い爪切りのイメージがありましたが、そう考えるとお得な気もしてきました。工場の現場は男性が多いイメージですけどここは女性が多いですね。なにか理由があるんですか?
諏訪田製作所は男女の比率は半分で年齢層は20代~30代の方が活躍されています。職人は女性のほうが多いです。この工場の上にはお洒落なカフェが併設されていて、社員は毎日日替わりランチが食べられるんです。また、工場見学が自由にできるようになり、見られることで安心して働きやすい環境にあるのだと思います。
ー諏訪田製作所の内装は黒を基調としていますが、なにか理由があるんですか?
昔、金属を加工する仕事を鍛冶屋といっていました。鍛冶屋では鍛造をやりますが、その際に火を扱うので煤で天井が黒くなることで腕のいい鍛冶屋さんは注文が多くきて、なおかつ製造の際に天井が黒くなります。つまり、腕のいい鍛冶屋さんの天井は黒い、というところから縁起が良いとされ黒になりました。ちなみに赤は火を表しています。
新潟が好き?
ー生まれてからずっと新潟にいるとのことですが県外に移住したいと思ったことはありますか?私はたまに飽きたと思ってしまうことが正直あります、、、(笑)
全くないです!生まれも育ちも新潟なので地元でできている人間関係やコミュニティを大切にしたいと思っているし、四季がはっきりしているのでそれぞれの季節の風物詩を楽しめるところなんてすごく魅力的じゃないですか!なにより食べ物がおいしいので新潟が大好きなんです!
今の自分が見る過去の自分
ー私のような将来なにになるか決まっていない学生にアドバイスをするなら何を伝えたいですか?
早いうちから将来を考えて勉強に熱心に取り組むことはもちろんいいことだと思います。ですが僕が大学時代で得たものは知識じゃなくて人間関係なんです。「知識はいつか忘れてしまうかもしれないけど、人間関係は忘れることはない」と思うんです。大学ではそれまでに関わったことのない人との接点がとても増えたのでそこで価値観が変わったことが自分にとっては大きな経験になったと思っています。社会人になってまず感じたことも、仕事をするにあたって人間関係がとても大切ということです。たとえもしやりたくない仕事があったとしても人間関係がよければ乗り越えられると思いません?なにをするかよりも誰とするかを大切にしています。つまり何が言いたいかというとよい人間関係を作ることが大学生活で一番大切にしてほしいと思っています。
ー大学で学んだ内容(座学)は今に生かせていますか?
正直活きていない部分のほうが多いですね、、、。ですが、やっぱり大学生ならではの人との関りだったり友達と遊ぶことや、アルバイトを経験したことは今になって生きていると感じます。勉強以外のそのような時間が僕の人間性をつくってきたのだと思います。
ー実際どのような場面でその人間性が生かせていますか?
アルバイトは接客をメインでやっていたのでこの営業部で働いていく中で生きていると感じています。たくさんの人と関わることが多いので(笑)
ーやっぱり関わることって大切なんですね。最後に、風汰さんは昔の自分が思い描いていた将来の理想像になれていますか?
当時の想像とは違いますが、なにになるかじゃなくて、どういう大人になるかを考えていたので、今の生活にはとても満足しているし後悔はありません。
今回の取材を通して
私は以前から職というものが自分の人生を有意義なものにするもの、楽しいと思えるものにしたいと思っていました。現在、大学一年生になってもその考えは変わらず今も曖昧な知識の中、自分にとって何が最善なのか日々模索しています。今回の取材を通して、自分以外の人の人生の見解に触れることができ、「とても楽しかった」が真っ先に思いつく言葉です。今回取材させていただいた風汰さんのお話で、自分の興味から職を選択するという手段もやはりありなのだと実感することができた気がしました。
また、思い通りにいかなくても人生をどうしたら楽しめるのか考えさせられました。学校で学ぶ座学は今に生きていないことがほとんどという言葉に、少しがっかりすると同時に人間関係の構築にとても意味が与えられた気がしました。職というよりも人生の生き方にとても刺激をもらえてよい機会になりました。大学生のうちに遊んでおくべき!と助言をいただいたので自分の生き方と見つめあいながら充実した生活を送りたいと思います!
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① 鍛造https://www.suwada.co.jp/news/20130410.pdf
② 部品加工(組み立て、穴あけ)https://www.suwada.co.jp/news/20130510.pdf
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https://www.suwada.co.jp/news/20130810.pdf
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