2024/04/14 迷宮キングダム「激突!古代ジャマ台国の謎」リプレイ #TRPGサークルRTS

※ 注意 ※
この物語はフィクションです。
実際の人物、団体、組織名とは関係ありません。

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『天に昇るドラゴンの目線からの景色をあなたに
 古代からの伝統と時代の最先端を融合させた最上級の住まい』
グランドゼロ高級タワーマンション、レジデンス・ジャマ

その広告を見て、この私"当たるも八卦、当たらぬも八卦の"ウィンターはそのマンションを訪れていた。

そのマンションは周囲を天然の要害に囲まれるとともに、入り口は2体のガーゴイルとハニワ達によって守護されており。
その外観は古代遺跡を思わせる伝統的なデザインと、光を反射する艶やかなガラスとコンクリートによる現代の様式美を見事に融合させながら天界へと届かんばかりに高くそびえ立っている。

その新しく建てられたマンションは、オープンするや否やこの百万迷宮を彷徨う大勢の民が集まる人気ぶりを博しており。
マンションの住民は皆、早朝にドワーフ達が鉄を打つ景気の良い音で目を覚まし。
マンション内に取り入れられた天然の温泉は民の種族や地位など関係なく集う憩いの場として毎日大勢の利用者で賑わい。
マンションのすぐ傍では原始小鬼と巨大なミミズ達が元気で新鮮な血を吸う野菜を育てる畑が設置され。
そしてマンション内の各所には古代遺跡を思わせる怪しげな祠が設置されており、それぞれの祠に古い鏡と勾玉、そして剣が収められている。

今回はこの新築の高級タワーマンション、レジデンス・ジャマの建築にいたる経緯について、直接マンション建設を手掛けた王国である『世界のドラゴン首長国』の貴族"虫も殺せぬ"バックギャモン氏より話を伺うことが出来た。

* * *

  • どうしてマンションを建てようと思ったのですか?

そう聞くと、バックギャモン氏は一瞬少し困った様に笑った後、次のように語ってくれた。

* * *

それはマンション建設を計画する数日前のこと、『世界のドラゴン首長国』の宮廷は別件で1つのクエストをクリアし、無事に王国へと帰還した。
するとたちまちその活躍は周辺階域へと広まり、数多くの難民達が移住を希望して押し寄せてきたという。
その数およそ100人!!
しかし、当時の『世界のドラゴン首長国』には到底それを全員収容するだけの領土は無く、その結果大半の難民が王国の門の前で長蛇の列を成したまま待機を余儀なくされていた。

しかし、このままではいずれ暴動に発展しかねないと考えた宮廷は、彼らの代わりの移住先として高層マンションを建築する計画を立てる流れとなったという。

* * *

  • このマンションに古代遺跡を思わせるデザインを取り入れようと思ったのはなぜですか?

それについては話すと長くなると前置きしたうえで、バックギャモン氏は語ってくれた。

* * *

それから、宮廷は周辺の未知の土地に配下を送り、マンション建設に適した土地を探し、それは順調に見つけることが出来た。
しかしその後、いざ建設を始めようと地面に基礎掘りの工事を行ったところ、そこから古代の土器や遺跡が出土してしまう。
すると突然、そこに自ら「遺跡ヲタク」を自称する【ダンジョンヲタク】が現れ、直ちにマンション建設を中止するように求め、執拗に作業の邪魔をしてきたという。
その為、建設作業中の配下達はこれはどうしたものかと考えあぐね、とりあえずその【ダンジョンヲタク】の身柄を拘束し、自国へと戻ってきた。

それから、くせ者として国王の前に連れて来られた【ダンジョンヲタク】は、あの場所で出土した土器や遺跡は太古の昔よりその場所が失われていた「古代ジャマ台国」のものであり、これは人類にとって極めて貴重な文化財であるとして、マンション建設の撤回と共に遺跡の保護を強く要求する。

また、遺跡保護の為その土地に救うモンスターを討伐し、その土地の権利を譲ると約束すれば、前金として2MG。
報酬として自身の秘蔵のコレクションである「バカには見えない鎧」を譲ると申し出る。

その要求と報酬内容に宮廷は少しの間悩みながらも、このまま難民達に王国の外で危険な生活をさせるわけにはいかないとして、その申し出を却下。
【ダンジョンヲタク】は王国で処刑されることとなった。

しかし、いざ処刑が行われるその瞬間。
【ダンジョンヲタク】は【コレクター】の効果で得た【迷宮保険】によって即座に自国へと逃亡してしまう。

しかし、配下からの報告によれば、確かにマンション建設予定地には既にモンスターが巣食っており。
また、そこにある古代の建築物の様なオブジェクトを取り除かないと建設工事は進められないとのことだった。
そのため、宮廷は急遽円卓会議を開くこととなる。

* * *

さて、この後に始まる『世界のドラゴン首長国』の宮廷による冒険の物語を記す前に、その王国や彼ら自身について紹介していこうと思う。

王国名:『世界のドラゴン首長国』
伝説の魔獣の頂点に君臨するドラゴンの名を入れたその国は天然の要害に守られ、さながら翼を広げながら地面に伏せて眠るドラゴンの様にひっそりと佇んでおり。
しかもここしばらく怪物や敵国からの襲撃などもなく、平和な日々が続いているため居住を求める者は後を絶たない。
しかし、そんな『世界のドラゴン首長国』も長い歴史を遡ってみると決して平和な日々ばかりが続いていたわけではなく。
かつては鬼族の蹂躙を受けた他、魔界より魔王が現れたとの伝説が残されていて今でもこの国の民の中には鬼族やその魔王の血が混じっていると言われる者も暮らしている。
そして現在、『世界のドラゴン首長国』には職人気質な者が多く住んでおり、物作りが盛んで日々職人達が鍛冶屋で鉄を打つ音が絶えない。



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▢ ― 🔨 ー 🏢
       / 
🏰

🏰 王宮
🏢 転職所
🔨 鍛冶屋

* * *

続いて『世界のドラゴン首長国』を導く宮廷メンバーをここに紹介する。

”天上天下唯我独尊”ホオズキ
クラス:国王
ジョブ:料理人
使命:博覧教
スキル:【親衛隊】【迷宮全席】【眠りの雲】
40歳 男性

古の魔王の血を引き。国王として王国を導きながらも、料理人としてもその真価を発揮し、多くの民の胃袋を掴む男。
彼は博覧教を強く信仰し、王国内に価値のある宝を集め、王国をより強く豊かな国にすることを使命としている、。
また、古き伝統に縛られることを善しとせず、賭け事のようにリスクを恐れることなく新たなる価値を追い求めるで突き進むその姿勢こそ正しく”天上天下唯我独尊”である!!

”天につば吐く”マグノリア
クラス:騎士
ジョブ:衛視
使命:路道
スキル:【武勲】【一斉射撃】【狙う】
30歳 女性

騎士として国王に仕え、同時に衛視としてこの国の安全を守る者。
されど国を守る行為は決して輝かしいものばかりではなく、時として処刑という血なまぐさい汚れ仕事を請け負わなければならない時もある。
しかし、彼女は愛する国を守るためであればそんな汚れ仕事も好んで行い、より最適な処刑方法を科学的に研究するサディストでもあると言われている。

"われらが"インスマウス
クラス:従者
ジョブ:博士/処刑人
使命:博覧教
スキル:【お手伝い】【怪物学】【首切り】【マルチタスク】
60歳 男性

永きにわたりこの国に仕えており、そして誰もが畏れ、敬い、崇め奉り、尊敬と畏敬の念を込めてその名を口にする男。
その方こそ、おぉ"われらが"インスマウス。
その大海よりも深き知識は敵の弱点をすぐさま看破し、その首を斬り落とす。
されどその名前とは裏腹に、本人は渾沌と盗みを嫌い、まっとうに従者を続けているとの噂だ。

”目に入れても痛くない”ヴェルベット
クラス:神官
ジョブ:貴族
使命:路道
スキル:【貴族のつとめ】【信仰】【軍楽】
22歳 女性

路道を信仰し、未知なる土地を追い求めて探検に臨むその姿は多くの民からも慕われ。
迷宮でも宮廷唯一の回復役、サポートを務める彼女の存在は王国にとっての希望そのものであり、彼女に憧れて王国の逸材を目指す民もいる程だ。

* * *

閑話休題
宮廷はマンション建設に向けて円卓会議を開き、それぞれが冒険に向けての準備を開始する。
その結果、ホオズキとインスマウスが迷宮を調査し、その入り口と部屋の一部の脅威情報を獲得。
ヴェルベットは王国内を視察して回り、その時にヴェルベットの様な貴族に強く憧れを抱き、熱心に夢を語ったバックギャモン氏と出会ったという。

そして、いよいよ宮廷は王国を出て冒険へと踏み出す。
その道中、モンスターの襲撃や陰湿なトラップといった困難も多少あったものの、宮廷は無事にマンション建設予定地へと辿り着いた。

* * *

C-2 深い茂み
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ー ■   

「辺りは一面深い茂みに覆われている。
一部には派遣した民が芝を刈ったり地面を掘った跡が見られ、そこには土に混じって土器の破片のようなものが見られ。
また、茂みの奥を見ると大きな縦長の石が立てられている。
もしここにマンションを建設する場合、あの石は邪魔になるだろう。 」

迷宮の最初の部屋に入った宮廷はそこでしばらく相談をした後、マグノリアが縦長の石を破壊。
インスマウスとホオズキが通路を捜索し、B-3に続く道に【獣道】を発見。
ヴェルベットは食事のためのフルコースを準備し、それをホオズキが【迷宮全席】を振舞った。
その後、宮廷は事前調査によってモンスターが巣食っていると確認されているC-1へと魔物退治に向かう。

C-1 畑
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■ ー ▢      

「草がぼうぼうと生い茂っているが、よく見ると畑の跡があり、【原始小鬼】達が畑作業をしている。
もしこのダンジョンを征服し、ある程度整備すればマンションの傍で畑として使えるかもしれない。
また、奥には小さな祠のようなものがある。
もしここにマンションを建設する場合、景観的にあの祠は邪魔になるだろう。」

【原始小鬼】が宮廷の存在に気付くと、彼らはカマやクワを構えてこちらへと向かってくる。
これに対し、宮廷は交渉を試みるも交渉は決裂。
即座に戦闘が開始される。

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敵は前衛に【原始小鬼】が4体
後衛に【血を吸う野菜】と【ミミズ】が2体

1ラウンド目は【血を吸う野菜】の【不意打ち】によって敵に先手を許し、【原始小鬼】の【投げる】によって前衛にいるマグノリアが後退させられると共に行動済みにされてしまう。
しかし、その後は【血を吸う野菜】の【幻惑】を無事に回避しつつ、ホオズキが【眠りの雲】によって【血を吸う野菜】と【原始小鬼】を眠らせ、2ラウンド目は【原始小鬼】と【ミミズ】を着実に撃破してゆく。

ところが2ラウンド目の終盤、残った2体の【血を吸う野菜】が目を覚まし、マグノリアに【魅了】をかけ、マグノリアはその対抗判定でまさかの絶対失敗を出してしまう。
これにより民の声が1点減少すると共に、マグノリアは敵の魅了に操られてしまい自らの主君である国王、ホオズキへと銃を向ける。

ホオズキはその1発目を持ちこたえたものの、続いてもう1体の【血を吸う野菜】が再びマグノリアに【魅了】をかけ、マグノリアはなんとか気力を振り絞ってそれに耐えようとするも判定は失敗。
そして2発目の致命的な一撃がホオズキのに向けて放たれるも、その凶弾は間一髪頭をかすめ、幸いにも即死は免れた。
その後、ヴェルベットの慈悲深き【信仰】によりホオズキは無事に回復し、戦闘に勝利する。

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戦闘が終了し、【お弁当】を余るほど手に入れた宮廷はひとまずキャンプを張ることに。
ヴェルベットは再度【信仰】の力で宮廷を回復し、インスマウスは「もう少しだ、頑張ろう」とあらん限りの力を込めて仲間達を鼓舞した。
その声に民達は"われらが"インスマウスの名を称え、崇拝し民の声2点を獲得。
マグノリアは休憩中、自身の胸の内にどす黒い感情が沸き起こり、自身の銃弾すら躱すことのできなかったホオズキに対し【侮蔑】の感情を獲得。
そしてホオズキは邪魔な祠を解体すると、中から薄汚れた【ジャマの鏡】を発見し、何の効果も持たないアイテムとして獲得。
その後宮廷は先を急ぎ、【獣道】があった通路を抜けて先へ進む。

B-3 集落跡
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        ■
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▢ ー ▢     

「大昔に人が住んでいたと思われる木でできた建造物の跡が並んでいる。
もしここにマンションを建設する場合、これらの建造物跡は邪魔になるだろう。
C-3の方角から不思議な良い香りがし、A-3の方角からはカンカンという物音がする。」

ここではマグノリアが住居跡を解体し、ヴェルベットは【信仰】で再度宮廷を回復。
ホオズキとインスマウスはそれぞれ、カンカンという音がするA-3の情報収集をするとともに、不思議な香りがするC-3に続く通路を調べるも特に目ぼしい情報を得ることは出来ず、脅威情報が何も分からないままにC-3へと進む。

C-3 温泉
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▢ ー ▢    ■ 

「男性の【稀人】が【ハイエルフ】や【ごんぎつね】のハーレムと共に温泉に浸かっている。
また、温泉の奥には小さな祠のようなものがある。 もしここにマンションを建設する場合、あの祠は邪魔になるだろう。」

宮廷が近づくと、【稀人】はこちらを見るや否や開口一番。

「今すぐ服を脱ぎ、武器をカゴに置いて湯に浸かれ!!!!!」

と叫んでくる。

しかし、勘の鋭いプレイヤー達の読みは正しく。
幸いにもこの部屋にいる彼らは友好的なモンスターであり、平和的に話を聞くことが出来た。

インスマウスとヴェルベットは【稀人】の言う通り温泉に浸かる。
すると温泉の効能で冒険の疲れが癒え、気力を1点獲得することが出来た。

【稀人】の話を聞くと、彼は自身を異世界からやって来た温泉ヲタクだと名乗り、この温泉について語り出す。

どうやらここは古い文献の中に記される「ジャマの湯」と呼ばれていた場所であり、今は廃れてしまっているがもし迷宮支配者が倒されてこの土地が安全になり、多くの人々に知られることになればこの温泉は素晴らしい【名所】になるだろうと語りだす。

マグノリアが祠を破壊しても良いかと【稀人】に確認すると、彼もまたその祠は温泉の景観を損なうと言って快く承諾。
祠を破壊すると、中から【ジャマの勾玉】を発見し、何の効果も持たないアイテムとしてホオズキが所持する。

最後にホオズキは可愛い【ごんぎつね】と取引を行い、A-3にいるモンスターの数を聞き出すことに成功する。

その後、宮廷はこの迷宮を攻略した暁にはここに天然温泉付きのタワーマンションを建設することを誓い、彼らと別れA-3へと先を急ぐ。

A-3 鍛冶屋
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▢ ー ▢    ▢ 

「ドワーフ達が一心にだんびらを打っている。
宮廷に気付くと、盗人だと言わんばかりに武具を構えて鍛冶屋から出てきて宮廷を睨みつける。
また、鍛冶屋の傍には小さな祠のようなものがある。
もしここにマンションを建設する場合、あの祠は邪魔になるだろう。」

宮廷の前に突然ドワーフ達が現れると彼らは一斉につるはしや銃を構えて宮廷と静かに睨み合い、その場は空気が凍り付くような緊迫感に包まれる。

・・・。

しかし、その張り詰めた静寂は「グゥ~~~~~…」というドワーフの腹の音で破られることとなる。
宮廷がそっと【お弁当】を差し出すと、彼らは大喜びでそれを受け取り、友好的なモンスターとなった。

その後ドワーフ達と交渉すると、彼らは鉄を打つことさえできれば後のことは構わないと言って快くB-2のモンスターの数を教えてくれる。
宮廷は別に自分達がこのマンションに住むわけではないということで、鉄を打つ音が鳴り響く鍛冶屋付きのマンションの建設を彼らに誓う。

そして祠を破壊すると、中から【ジャマの剣】を発見し、【だんびら】相当のアイテムとしてホオズキが所持する。

そして宮廷はいよいよ迷宮支配者が待ち受けるダンジョンの最深部へと歩みを進める。

B-2 祭壇
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「ダンジョンの最深部には怪しげな祭壇があり、その上には木で出来た古い棺がある。
もしここにマンションを建設する場合、あの祭壇は邪魔になるだろう。」

宮廷が祭壇に近づくと棺の中で眠る【木乃伊】が目を覚ます。

「我が名は"ジャマ台国の女王"ヤミコ!!
我が神聖なるジャマの聖域を踏み荒らす不届き者共よ、覚悟せよ!!」

そう【木乃伊】が叫ぶと、周囲にある土偶が動き出すと共に、他の棺もガタガタと揺れ出し、中にある遺体が飛び出して宮廷へと襲い掛かる。

死者の安らかなる眠りを妨げる鍛冶屋付きの騒音マンション断固拒否である!!

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敵は前衛に【ゾンビ赤頭巾】が2体。
後衛に【木乃伊(ヤミコ)】が1体。
そして本陣に【ハニワ】が3体配置される。

1ラウンド目、インスマウスが作戦判定を行うも、【ゾンビ赤頭巾】2体の【邪魔】により判定は失敗に終わり、敵に先手を許すと共にインスマウスは即座に行動済みにさせられてしまう。
更に先手を取った【ゾンビ赤頭巾】の【投げる】攻撃によりマグノリアまでもが行動済みにさせられてしまい、宮廷は敵に有効な攻撃を行うことが出来ずに後方へと押しやられてしまう。

そして2ラウンド目、【死ねない体】を持つ【ゾンビ赤頭巾】を倒すべく、マグノリアが【武勲】のパッシブ効果と【粗末な武器】でダメージを調整しながら攻撃を行い、ホオズキとヴェルベットも【ジャマの鏡】や酒瓶で殴りかかるも、その攻撃も【ハニワ】の【かばう】により阻まれ、いよいよ宮廷は本陣にまで押しやられてしまい、【ゾンビ赤頭巾】の白兵攻撃を受けてマグノリアの配下が全滅してしまう。

その後、宮廷は本陣に押しやられながらの敵の猛攻に苦戦を強いられながらもなんとか【ハニワ】を倒すことに成功。
しかし宮廷が本陣に押しやられている限り、ホオズキの【親衛隊】の効果でダメージが自動的に上昇してしまい、【ゾンビ赤頭巾】の【死ねない体】を攻略することが出来ない。
そのためマグノリアが敵の隙を付いて後衛まで移動し、【眼鏡】を【狙う】と【武勲】効果で威力2点の射撃戦用武器として扱い、【ゾンビ赤頭巾】の撃破に成功する。

そして敵の行動手番となり、ヤミコがマグノリアと同じエリアに移動して【神罰】を使用。

「ジャマの裁きを受けるがいい!!!」

しかし、その発動判定はまさかの失敗。
ヤミコの祈りも虚しく、何も起こることなくこのラウンドを終了する。

その後、マグノリアが全ての【ゾンビ赤頭巾】を撃破し、序盤の苦戦から一転して宮廷がヤミコを追い詰め始める。
そしてヤミコが自身の配下にマグノリアを足止めさせて進軍妨害を突破し、ホオズキ達がいる本陣にまで攻め込むと、そこで再び【神罰】を使用。
ヤミコの祈りに答える様に上空に雷雲が呼び寄せられる。
そして今度は判定に成功し、ホオズキ、ヴェルベット、インスマウス、ヤミコ、ハニワの中からランダムに選ばれた1人に大ダメージが与えられる。
そしてその結果、【神罰】による落雷を受けたのは。

他ならぬヤミコ自身であった。

「な…。何故だぁ~~~~~~!!!!!!」

やはり今の時代はタワーマンション。
ジャマの神も今や変革を望んでおられるようだ!

その後、ラウンドを更新しヤミコの3度目の【神罰】もジャマの神は応える事は無く不発に終わり、ヴェルベットの号令の絶対成功によりヤミコはあえなく葬られることとなった。
そして、ヤミコにとどめを刺したヴェルベットの勇ましき号令に感銘を受け、ついに"虫も殺せぬ"バックギャモンは貴族の逸材へと進化を果たした。

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戦闘が終了すると、ヤミコは最期に。

「我がジャマの神聖なる封印を侵す愚か者共よ、この階域は間もなく大いなる災いに見舞われるだろう...。」

そのような不吉な予言を残して崩れ落ちていった。

それはそれとして、ヴェルベットは勝利の一杯にと【お酒】を嗜み気力を回復。
マグノリアは武勇休憩を行い、部屋の隅に隠れていたモンスターの残党から民を守り、民の声を獲得。
ホオズキは最後に残された祭壇を破壊し、タワーマンション建設の下地を整えた。
そしてこの迷宮でのクエストを完了し、いざ自国へと帰ろうとしたその時…。

「お前ら、なんてことをしてくれたんだお!!!」

そう叫んで宮廷の前に現れたのは遺跡の保護を訴えてきた【ダンジョンヲタク】だった。
その直後、突然地震が発生し迷宮内を大きく揺るがすと、祭壇があった場所から突如黒く邪悪な瘴気が噴き出し、宮廷の前に封印から解き放たれた悪魔が現れ再び戦闘が開始される。

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敵は前衛に【ガーゴイル】が2体。
後衛に【生き金貨】と【ハニワ】が1体ずつ。
そして本陣に【外道の書】が配置される。

目覚めた悪魔は宮廷を見やると、幾星霜眠り続けて乾き切ってしまった書の頁を潤そうと、新鮮な血を求めて襲い掛かって来る。

悪魔のその驚異的な魔力により、作戦判定は6ゾロ以外全て失敗。
先手を取った【外道の書】は初手で【理力の一撃】を使用。
指先からレーザーを放ち、宮廷内で最もタフであるはずのマグノリアをたった一発で行動不能にし圧倒的な力の差を見せつける。

ヴェルベットが即座に【信仰】によりマグノリアを回復し、宮廷は必死の抵抗で【ガーゴイル】の体力を少しずつではあるものの着実に削ってゆく。
その後は敵の攻撃を受けるたびに回復を重ねながらの瀬戸際の攻防を続け、宮廷はようやく【ガーゴイル】を倒しきることに成功し、少しずつでも戦闘の流れを傾けてゆく。

しかし3ラウンド目、狡猾である【外道の書】はとうとう宮廷内の要であるヴェルベットへと狙いを変え、容赦なく【理力の一撃】を放つ。
それによりヴェルベットまでもが一撃で行動不能となり、他に回復手段を持たない宮廷は絶体絶命の窮地に立たされる。

その窮地の中、ホオズキが勇敢にも全力移動で【外道の書】に向かうも敵の方が射程が長く、その目前にしてホオズキまでもが打ち倒されてしまう。

そして、残ったインスマウスとマグノリアの抵抗も虚しく、悪魔の圧倒的な力の前に宮廷はとうとう全滅してしまうのだった...。

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気が付くと、宮廷は何もない真っ白な空間に立っていた。
なぜ我々はこのような場所にいるのか。
ここに至るまでの経緯を思い出す。

・・・。

そうだ、我々はあの時悪魔との戦いに破れ、死んだのだ。
しかし、我々はまだタワーマンション建設の目標も使命も何一つ達成していない。
このままでは「まだ死ぬことはできない!」

その時、宮廷の前にジャマの女神が現れ、微笑みかける。

「勇敢なるジャマの勇者達よ。
あなた達に今一度、ジャマの加護を与えましょう。
さぁ、今こそ使命を果たすのです!」

「まだ死ぬことはできない!」のルールにより、宮廷はそれぞれ新たなる背景と使命を与えられる。

"天上天下唯我独尊"ホオズキは「再殺の誓い」により、死霊と化した親の事を思い出し、その親を再び葬る使命を。
"天につば吐く"マグノリアは「星の祝福」の使命を。
"われらが"インスマウスは「護国」の使命を
そして"目に入れても痛くない"ヴェルベットは「勝利教」の教えにより、戦いに勝ち続ける使命を受ける。

そして辺りはまばゆい光に包まれ、宮廷は新たなる使命を抱きながら再び目覚めることとなる。

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戦闘を仕切り直し、ホオズキが立ち上がって再び悪魔に向かい、【戦槌】を力強く振り下ろす。
その瞬間、持っていた【ジャマの鏡】、【ジャマの勾玉】、【ジャマの剣】が輝き出すとホオズキの攻撃にジャマの聖なる力が加わり、【外道の書】に大ダメージを与える。

「クッ、おのれ忌々しいジャマの使途どもめ。まだ我が復活の邪魔立てをするかっ…!!」

宮廷にジャマの使途などになった覚えはないのだが、三種の神器は悪魔にとっての弱点となり、所持者から与えるダメージを上昇させる効果を発揮した。

その後、【外道の書】はホオズキに反撃を行い、無数の頁が刃となりホオズキの体を切り刻むも、ホオズキはいくら傷つこうともそれに屈することなく悪魔に立ち向かい、ヴェルベットの回復を受けつつ更にインスマウスとマグノリアが追撃をかける。

そうしてしばらくの攻防が続いたのち、ヴェルベットの号令を受けて配下が【外道の書】に飛びかかると、それがトドメとなって遂に【外道の書】の体が千切れた本の頁となって周囲に散らばる。

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こうして宮廷は悪魔との戦いに勝利し、クエストは無事に完了した。

しかし、一度宮廷によって倒されたかに見えた【外道の書】の千切れた頁が再び宙に舞い、1か所に集まって悪魔が再度復活しようとする。

そこですかさず【ダンジョンヲタク】が地面に膝をついて祈祷を始めると、光る鎖の様なものが絡みつき、【外道の書】は恨みに満ちた絶叫を上げながら祭壇の真下の亀裂の底へと引きずり込まれてゆく。

やがて辺りが再び静かになると、【ダンジョンヲタク】は息を切らせながら宮廷に向き直ってから改めて自らの名を【名乗り】、ジャマ台国の秘密を語り始める。

「ぜぇ、ぜぇ...。お前ら...。この際だから改めて今ここではっきりと名乗らせてもらうお。」
「ボクの名前は、”ジャマの血を引く”ソープだお!」
「いいかい、ジャマ台国というのはかつてこの階域に大いなる災いをもたらす悪魔を封印し、その復活を邪魔する秘術を持った一族による王国だったんだお。」
「しかし、ある時発生した大規模な迷宮変動によってその土地は所在不明となり、百万迷宮各地に散り散りとなったジャマ台国の民は悪魔の封印が解かれる前にその復興を目指して長年その場所を探し続けていたんだお。」
「それを偶然にもお前らが見つけてしまって、何も知らずにその封印を解いてしまった。今施した封印はほんの時間稼ぎにしかならない。そしてジャマの封印は人の手によって正しく管理され続けなければならない。だから早くその三種の神器を渡してこの土地から出て行って欲しいんだお!!」

しかし、宮廷側もタワーマンション建設のためにここで易々と引くことはできない。
そこでしばらくの間押し問答を続けた後、ヴェルベットがソープに対して取引を持ち掛ける。
そしてヴェルベットの高い魅力による熱心な交渉の末に判定は成功し、遂にソープはジャマの封印の維持とタワーマンションを両立する建設プランに協力する運びとなる。

それから宮廷は自国への帰還を果たすと、大勢の民と難民達にその凱旋を祝し、『世界のドラゴン首長国』は国中が歓喜で満たされた。

* * *

それから数日後…。

高級タワーマンション「レジデンス・ジャマ」は無事にオープンし、ソープもまたその古代遺跡の様式と現代建築が見事に融合した出来栄えに対し、その完成したマンションを見上げながら以外にも感心したように何度も頷いていた。

それから、『世界のドラゴン首長国』に押し寄せていた難民達は無事に住処を獲得し、新たな国民としてこのタワーマンションに住んでいる。

そして、その実際にマンション内にいる何人かの民からその住み心地についてインタビューすることが出来た。

「ここに来る前は迷宮内を何日も彷徨っていてその日の食事にも困っていましたが、無事に家族と共に安全に暮らすことが出来て大満足です。その上こんなに綺麗で贅沢な場所に住めるなんて正に夢のようですよ!」
                          (家族連れの住人)

「ここの畑の野菜はいつも新鮮で美味しいです!
時々血を吸われることもありますが、たくさん採れるので食べ物の心配がなくなりました!」
                         (野菜好きの住人)

「便利で快適なマンションではあるものの、朝から鉄を打つ音がうるさいのが難点だな。
それに時々下の方から気味の悪い呻き声みたいなものが聞こえてくるんだ。
もしかしてこのマンション...。何かあるんじゃないか...?」
                        (夜更かし気味の住人)

「やはり俺の見込んだ通り!
温泉は人に知られ大勢が集まってこその意味を持つ百万迷宮の尊い恵みだ!
これこそ正に俺が望んでいた理想の温泉街!
さぁ、君も今すぐ服を脱いで全裸になりたまえ!!」
                         (旅の温泉ヲタク)

「おのれぇ~~~!!!!
我が神聖なるジャマの大地によくもこのようなものを建ておって…!!!
しかも我が墳墓の真上に鍛冶屋を建て、眠りを妨げるなど言語道断!!
許さんぞ不届き者共めぇ~~~!!!」
 (おびただしい量の木簡にクレームをびっしりと書き連ねている木乃伊)

「お陰様で充実した施設で心置きなく鉄が打てて最高だぜ。
それに誰か親切な人が毎日ポストに薪を大量に送ってきてくれるんだ。
こりゃその人の期待に応えるためにもますます気合い入れて鉄を打たなきゃなんねぇな!」
                        (鍛冶屋のドワーフ)

こうして、「レジデンス・ジャマ」の住人は古代より眠りし悪魔の封印を守りつつ日々平和に賑やかに暮らしているのだった。

* * *

「この度は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。」
「いやしかし、タワーマンションも実際に行って取材をさせていただきましたが、本当に良いマンションですね。これは是非私もこんな家に住んでみたいものですw」
「あの...。不躾かとは思いますが、短期間だけでもお部屋を借りることは可能でしょうか?」

ダメもとでそう聞いてみたのだが、その質問に対しバックギャモン氏は少しバツが悪そうにしながらこう答えた。

「ありがとうございます。」
「しかし大変申し訳ないのですが、この通り大変人気なマンションでして。それに元々は押し寄せてきた難民を受け入れるために建設したものですから、オープンして間もなく満室となってしまったんですよねぇ。」

しかし、この後バックギャモン氏はすかさず続けてこう言った。

「ですが、我が偉大なる宮廷の方々はこのマンションの建設直後、すぐに次のタワーマンションの建設を計画されております。近々また住民の募集が始まると思いますのでその時に是非ご応募いただければ。」

どうやら『世界のドラゴン首長国』のタワーマンション計画はまだまだ始まったばかりのようだ。

"天上天下唯我独尊"
正しくドラゴンの様に他の追随を許さずその果て無き野望に向けて進み続けるその歩みは、果たしてどこへ向かい、どこまで進み続けるのだろうか。

迷宮キングダム「激突!古代ジャマ台国の謎」プレイレポート


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