2024年上半期に聴いた音楽
坂本真綾『走る』
もう15年以上になる彼女のファンだが、やはり彼女の持つ少年性と少女性の融合はとてつもなく大きな個性であり、魅力だと思う。
2024年の年が明けた時、今年は何を一番初めに聴こうか考え、古いアルバムのこの曲を選んだ。
新春に聴く、何よりも春の訪れを感じる曲だった。
Persona3『When The Moon's Reaching Out Stars』
ちょうどゲームがリメイクされるということで、旧版のサウンドトラックを聴き直していた。
当時非常に斬新なスタイルのゲームに魅了されたのだが、その要素に音楽が関係したことは認めなければならない。
この曲はマップ移動中のもので、それなりの頻度でゲーム中に聴くことになるのだが、クリアまでのプレイ時間100時間程度では聴き足りないほど好きだった。
久しぶりに聴いて、ただこの曲を聴くためだけにゲームを起動し、そのままの画面で放置していたことを思い出した。
おかもとみ『待つ人』
彼女がボーカルを務めるバンド・フレンズのことは以前から知っていたが、そちらはそれほど気に留まることはなかった。
ソロプロジェクトの彼女の音楽はネオシティポップの色を好んでよく流していて、ここ数年で最も好きな歌手の一人になっている。
ついにアルバムを買うことに踏み切ったのだが、アルバム『gappy』の1曲目に収録されたこの曲を気に入りながら、ずっと歌詞を聞き違えていた。
「大人になっても変わんないな 恋する気持ちは分かんないな いつまで経ってもいくつになっても とりあえず君がオンリーワン」
わかんないから、とりあえずなんだよな…と深みを感じて共感していたが、ある日歌詞カードを確認すると、
「いつまで経ってもいくつになっても lonely eye's 君が only one?」
とあった。
私は恥ずかしさと共に、「でも、とりあえずって言うのも悪くないんじゃないかな…」と未練のような気持ちを未だ残している。
Furui Riho『Candle Light』
続けてシティポップの香りがする楽曲を。
こちらはR&Bやブラックミュージックの色が濃いか。
力強さのある女性ボーカルというのがこの分野の象徴に感じるが、近頃はiriをはじめとして好んで聴いている。
大学の頃にスウィングジャスに傾倒したので、そこからの変化とルーツの繋がりの両方を感じた。
また数年後には、一体どんな音楽を好むようになっているのだろう。
くふ『夏をかける列車』
「くふ」という制作者を知ったのは、もう15年ほども前だった。
当時高校生の私は、PCブラウザで遊べる音楽ゲーム『Beat Beat Revolution』にハマっており、ゲームを楽しむ以上にそこで使用される楽曲に惹かれていた。
同人活動をする人たちの作品に、初めてじかに触れた瞬間だったと振り返って思う。
そのゲームからは1,2年ほどで離れてしまったが、音楽だけはそれから何年経ってもずっと頭で鳴り響いていた。
ある日ふと思い立ってYoutubeで検索をすると、案の定制作者のチャンネルがあり、音源がアップロードされていた。
私は何度も何度もそれらを聴いて心地よい時間を過ごし、思い出を形として持っておきたくなって、BOOTHからCDを注文した。
車で流すピアノのメロディは、今後何歳になっても私を癒し続けてくれると思う。
Laura day romance『Young life』
サムネイルのボーカルの表情が気に入っている。
こういう幸の薄そうな感じにダウナーで篭るような声は、一定層にクリティカルに刺さる魅力だと思う。
バンドの楽曲もそれを活かそうと工夫しているように見えた。
いくつかの歌詞を見ると、とても練り込まれた物語とメッセージ性を感じるものになっている。
音として聴く限りでまだ私には届かなかったが、もしまた引き留められる曲に逢ったら強く惹かれる気がした。
ASIAN KUNG-FU GENERATION 『電波塔』
CDを買おうと思ったのは、本当にたまたま、中古CDの列から目に入ってきたからというだけだった。
ネットで知り合った友人に、熱狂的なアジカンのファンがいたことが背中を押して、棚に戻さずレジへと進んだ。
だが、その購入した『ソルファ』というアルバムが衝撃的で、なぜ20年あまりもこのバンドをスルーしてきてしまったのだろうと後悔した。
青春時代にこの音を聴いていたら、彼らを神聖なものに感じてしまったのではないだろうか。
続けて買ったアルバム『君繋ファイブエム』に収録された『電波塔』という曲が最も気に入ったのでここに記しておく。
何度も聴いている内に、歌詞のことにも考えが及ぶようになっていった。
Cメロの「僕」「君」の並列が面白い。
bonobos『あの言葉、あの光』
Xの方で数カ月に一度テーマを決めた曲を募集していて、毎回数十~百ほどの音楽を教えていただいている。
bonobosを知ったのはその一環で、送られた『Thank you for the music』という曲を幾度となく時間を跨いで聴いていた。
そこから興味を持って手に取ったアルバムの中で気に入ったのが『あの言葉、あの光』だった。
他にもいくつか気に入った曲があるが、bonobosには共通して言葉で表された複雑でいて素直な感情を、レゲエの音に高い調和性で重ねる技術を感じる。
熱っぽい言い方をすれば、魂に届く、とでも言うだろうか。
昨年2023年に解散してしまっている。
あと一歩、早く知ることができればよかった。
新居昭乃『ガレキの楽園』
菅野よう子の長年のファンで、その繋がりの内にいる彼女の名前はずっと知っていた。
ファンタジーな世界観を感じさせる楽曲が、90年代のアニメーションを想起させて強い個性で印象に残っていた。
たまたまワゴンの中で見つけたCDを買い、流していると、幼少期から持つ原風景に近いその情景が浮かんで、自然と涙が出るようだった。
「くふ」の楽曲にも通じるが、やはり私にとって、感性を作り上げてくれたゲームやアニメーションの存在は大きいのだと思う。
この世に存在しないものの美を知っているということは、なんて幸せなことだろうか。
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