隣の部屋
大学入学時に、スーツケース1個で上京してからもう7年も同じ部屋に住んでいる。
あのときは、家電付きということと、フリーレント1ヶ月がついていること、敷金礼金が0円ということが魅力ワードすぎて、立地の不便さには片目をつぶった。
なんだかんだその土地に魅了され、
坂が多すぎるこの土地も、『運動、運動』となんとかいい方にいい方に考えてきた。
今となっては、同期や数個上の先輩達より格段に家賃を抑えられているので、そこが魅力の一つになっている。
ただ、大学が近いところに住んでいるので、
周りは大学生と思われる人達ばかりが住んでいる。
私の隣の部屋の人も間違いなく大学生で、
薄い壁越しに楽しそうな声が聞こえてくる。
なんか音楽をしている人なのか知らないけど、たまにピアノの音が聞こえてきたときはまじかよと思いながら全然嫌な気がしなかった。
歌ってる声も聞こえてくるし、
いわゆる仲間の溜まり場にされてるらしい隣の部屋からは色んな音が聞こえてくる。
バンドでも組んでんのかな知らんけど。
壁が薄すぎるってやばいな。
なんとなく、
家を出るときや、帰るときに鉢合わせないようにするっていうマナーを守りつつ、
マナーではないか。
ただ、鉢合わせしてしまったとき、
どんちゃん騒ぎを繰り返す少年達は、挨拶だけはすごく丁寧にしてくれるので、
なんだかんだイーブンになってしまうからおかしな話。
大学生と社会人の1日のスケジュールは間違いなく違うはずなんだけど、たまにすれ違ってしまって、
その度にぺこりと会釈をして、
こんにちわー!と挨拶してくれるのでなんか知らんけど、どんちゃん騒ぎがちゃらになる。
挨拶の威力すごいな。
やっぱり挨拶すらまともにできない大人になるなって言ってたじーちゃんの教えはまじもんらしい。
元気はつらつの挨拶じゃなくても、
一声かけるのって大事だなと最近しみじみ。
それでも女性の一人暮らしって怖いですよね。
挨拶少年達ならまだ怖くないからいいかな。
ただ、周りが坂だらけの立地が悪いこの部屋を溜まり場にされてるなんて、相当人望が厚いのかな。
私も色んな音を聞かれてると思うと出来る限り顔を合わせたくない。
少し恥ずかしくて挨拶してくれるのにぺこりって頭を僅かに下げる社会人を許してね。