「YYSystem」のグッドデザイン賞受賞について開発者の語るアプリ開発と魂のお話
2023年10月5日(木)に『グッドデザイン大賞』が発表されたが、私も愛用している音声認識システム「YYSystem」が金賞を受賞した。
YYSystemとはアイシンが新しいサービスとして開発した文字起こしアプリ(及びそれらを使ったサービス群)で、もともとはアイシンの社内の聴覚障害者とコミュニケーションを取るために作成したアプリだそうだ。
すでにUDトークを始めとしたさまざまな音声入力アプリが存在しているが、アイシンは工場があることもあり、雑音が多い環境の中でも円滑に文字起こしができるように自社の技術を使って独自開発したものらしい。それをベースに誰でも使えるようにアプリとして公開している。大変使いやすいので私もさまざまな面で活用させてもらっている。
また、開発者のH氏が中心となり、開発者をはじめとしたアイシンの社員とユーザーが交流する「YYシリーズ雑談」というLINEグループに入っているが連日大盛況である。
というわけで、グッドデザイン大賞の受賞が発表された本日は大いに盛り上がっていてH氏が「YYアプリ」の開発について大いに語っており、LINEグループの流れの中で流れてしまうのはもったいないのでちょっとメモしておく。
まず、H氏は「この受賞をYYSystemの認知が高まり、聴覚障害者もそうでない方も広く安心して使っていただける機会にした」という。実際、聴覚障害を持ちつつ働いている身からすれば「文字起こしアプリを使っていいですか?」と聞くことはそこそこあるが必ずしも良い反応が得られるわけではない。会社によっては使えないところも多いようだ。聴覚障害者への支援としてかなり実用的になっている文字起こしであるが、まだまだ認知度は高いとは言えない。知名度がとても高いことで知られるデザイン賞を受賞したサービスとなれば認知度が高まり使う機会が増えていくのは確かであろう。
YYSystemのLINEグループには聴覚障害を持った当事者も多く、日々聴覚障害者の生の声が投稿されるが、良いアイデアがあれば素早いスピードでYYSystemにフィードバックされている。これはH氏の熱意と技術力の高さが為せる技だろう。
H氏はエンジニアとしての経歴は30年近くになるが、エンジニアには「なんのために造るのか?なぜそれをやるのか?」という哲学が不可欠だという。そして、その哲学とは「魂」から生まれるもので、エンジニアはシステムに魂を吹き込める創造主であるべきだと考えている。今後はChatGPTのようなAIがプログラムしてくれるようになるかもしれないし、大量のサンプルコードがあるので確かにコピペでもある程度のアプリは作れてしまう。しかし、アプリの生みの親になって苦労して苦労して捻り出して産み出すさなければ魂は入っていかないそうだ。
YYSystemは実証して終わってしまうようなプロダクトではなく、魂を注ぎ込み、大きく育て上げたい「子供」であると同時に自分の分身的な存在である大切なサービスでもあるそうだ。その分、社内でもいろいろな衝突があり大変なこともあるようだが、一聴覚障害者としてはこのような熱意をもったサービスが出てくることは純粋にありがたい、の一言である。
今後、聴覚障害が限らずいろいろな分野で活用していきたいそうだが、こちらも期待しながら応援していきたい。
妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。