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日本のGDPが伸び悩んでいるのは、❛ガラパゴス化❜が一つの要因

この記事を読むと、なぜアジアが日本よりも急成長してきているのかが何となくわかると思います。

『好奇心を武器に、世界で勝負する』

株式会社*** 代表取締役社長 〇〇〇
***は、2014年設立の東京大学発Fintechベンチャーだ。
モバイル金融サービスの開発・企画・運営に強みを持ち、金融機関と協業しつつ多様なモバイルサービスを開発・運営し、金融機関とユーザーのインターフェースになることをビジョンとしている。
2015年度のマレーシア最大の銀行Maybank主催の*¹Fintechコンテストで日本のベンチャーで唯一選抜され、歴史上初めてアジアのピッチコンテストで優勝するなど、その急成長ぶりが注目される。
今回は、アジアを中心にグローバル展開を行う***が認める優秀な人材、組織のあり方、今の日本人に必要とされる能力などを、同社代表取締役の〇〇〇氏へのインタビューを通して紹介したい。


■グローバルで活躍できる要素は“好奇心”
-グローバルに活躍できる優秀な人材の共通点というのはどういったものでしょうか?
社長:
職種によるので一概には言えませんが、まず大前提として英語ができないと厳しいです。あと、グローバルで活躍するとなると、好きかどうかというのが重要な要素となります。好奇心に突き動かされてやる人は、仕事そのものに興味があるので没頭することが出来ます。結果として、長期的に良いパフォーマンスを発揮出来るんですね。
それに対して、人生の*²KPIがお金とか地位とか社会的に認められたいとかいう二次的なものである人は、一流にはなりづらいです。二次的なものでもある程度は頑張れますが、短期的なもので終わってしまうことが多いです。


■ベンチャーはチームプレイ
-御社内に限って言えば、仕事ができる人の共通点は何でしょうか?
社長:
一緒に働いていて楽しい人かどうかということです。やはり僕らのようなベンチャーになると、もちろん、能力も大事ですが、基本的にはチームプレイなので最終的にはその人が好きかどうか、その人と一緒に仕事したいと思えるかどうかが大事になりますね。
弊社のモットーで「個を重んじ和を尊ぶ」というのがあります。個をまず重んじるのですが、やっぱり和も重んじたいので、人に気を使ったり、先輩後輩の関係性をわきまえたり、きちんとした言葉遣いをしたり、挨拶をしたり、そういうことが基本的に出来ることが一緒に仕事をしていく上での大前提になります。


■日本人は英語が出来れば世界で活躍できる
-今の日本人が鍛えるべきところは何でしょうか?
社長:
英語ですね。英語を*³ネイティブレベルで話せないともうグローバルでは終わりですね。それ以上もなくそれ以下もなく、それで終わりです。逆に英語がネイティブレベルで話せるようになれば、もう今の日本は世界と戦っていけると思います。日本人のほうが外国人よりも大抵優秀なことが多いからです。
ただ、日本が常に世の中の10年先を行っているくらいのかなりの先進国だということが、かえってグローバルに展開して行くことを妨げてしまっているという、難しい問題があります。
日本は先進国が故に中途半端に市場があり、それに満足してしまっています。結果として、あまりにも*⁴ニーズが*⁵カスタマイズされすぎてしまい、海外に*⁶エクスポートしづらくなっているという現状になっているんですね。だから、そういった*⁷ガラパゴス化していっている日本では、英語を話せるようになって、世界の市場ニーズに目を向けて活躍していこうと思うこと自体が難しくなっています。


■組織を良くするために
-独自に力を入れてらっしゃる人材の教育というのは何でしょうか?
社長:
まず、グローバルでは英語が出来ることが大前提なので、外国人教師を雇って社員にみっちりと英語の勉強をさせています。他には、フィナンシャル・タイムズなどの全文英語の経済紙などを置いて、英語に触れることが出来る環境を整えています。
また、弊社は、ベトナム、マレーシア、台湾、ロンドンに一応プレゼンスがあるので、インターンなども含めてそこに行かせて仕事をさせます。外国へ行くと、何かしらインスピレーションを受けて、自分の考えの中に取り入れるということが起こります。やはり全く考え方が異なる国籍を持つメンバー達が、チームワークを組んで円滑にコミュニケーションを取りながら仕事を進めていくためには、そういったことが必要になってくるかと思います。
でも特に戦略的に人材教育をやっているということはないですね。僕としては、普通のことをやっているだけです。
また、僕は経営者として、組織内のほぼ全てのことを社員と共有するスタンスを取っています。例えば、売上や利益などを毎月、月ベースで公開したり、取締役会の内容等も全てインターンも含めた全社員で共有できるようにしています。それ以外にも、弊社では優秀な社員にはどんどん給料を出して頑張ってもらっています。社長の僕よりも給料が多いことが殆どです。そうやって、組織が良くなるように力を注ぐことが僕の役割だと思っています。


■金融・資産運用を中心に少数精鋭で勝負していく
-今後の展開として、ここに注力していくという分野・エリア、欲しい人材などは何かありますか?
社長:
分野としては、金融・資産運用ですね。ここを、日本を中心にアジアを狙っていきます。今構えている拠点以外にも構えようと思っている国は、インドネシア・中国本土・インドです。ただ、時と場合によって、または政治状況などによっても変わると思うので、今タイミングを考えているところです。
人材に関して言うと、弊社は常に足りない状態ですがそのくらいでいいと思っています。一人当たりの売り上げなどの面で、極めて少数精鋭の組織として、大きな組織を上回る結果を出して勝ちたいと思っているので。
将来的に事業は拡大しますが、それに伴う採用計画のようなものはありません。必要であれば何人でも採りますが、必要でなければ一人も採りません。ここに何かできる人材がいたらいいなと思うことはありますが、妥協はしません。今やっているのは、インターンなどをうまく教育して欲しい人材に育てることくらいです。
-事業を今後拡大されていく中で、強い組織であり続けるためにはどのようにあるべきだとお考えですか?
社長:
自分よりも優秀な人材といかに働けるかということだと思います。和を重んじつつ組織の質が失われないようにするためには、全ての社員が自分よりもハイレベルであることが重要になってきます。
結局僕は、地位やお金などに縛られるのではなく、純粋に良い仲間と大きな勝負がしたいんです。


注釈
*1Fintech:情報技術(IT)を駆使して金融サービスを生み出したり、見直したりすること。
*2KPI:重要業績評価指標
*3ネイティブ:その土地の人
*4ニーズ:(消費者の)要求。需要。
*5カスタマイズ:既存の商品などに手を加えて、好みのものに作り変えること。
*6エクスポート:輸出
*7ガラパゴス化:周囲とは懸け離れた、独自の進化をすること。特に、IT技術やインフラ、サービスなどが国際規格とは違う方向で発達すること。


■編集後記:
取材中、人生のKPIについてのお話が出てきた。〇〇社長は東京大学を経て海外の投資会社に勤務という華麗なる経歴の持ち主だ。多くの人が雲の上の存在として崇めるに値する世界を、既に全て体験し尽くしてしまっている。そんな〇〇社長のKPIは純粋な好奇心そのものであり、それ故に発する言葉の全てが、世俗的なものから完全に解放された斬新で自由なものに思えた。
このような経営者がどんどん世の中に新しい風を吹き込んでいくようになれば、豊かな時代にありながらも私たちが日々感じている、‛ある種の閉塞’が打破される日が来るのもそう遠くない気がした。                                                                 
                                
■経営者プロフィール
金融テクノロジーのベンチャー*** CEO。2008年東京大学経済学部卒業後、英Bristol大学のComputer Scienceを経て、日本人初の現地新卒でドイツ銀行ロンドンに2009年入社。2013年より国内最大規模級のヘッジファンド大手のGCIに参画。東京にて同社のグローバルビジネスを急拡大させた後、GCIのバックアップを受け、2014年***を創業、現職に。

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以下、実際に行ったインタビュー取材を記事にしたものをいくつか掲げておきます。


脱皮するための何かに使いたいです。