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【詩】春の目覚め
春のある日
温かさを感じた
全身を包むような
季節の吐息
ぼくは
高いところに立ち
街を見下ろした
みんなもきっと
肌で感じているだろう
春という季節を
ああ、この季節が
やってきたんだ
君は芽吹くように
現れ出た
そろそろ起きるころかと
さて、さて
ちょっといたずら
してやろうか?
フフフ…
そう君はつぶやくと
街中に花びらを
ばらまいた
いい景色だ!
さあ、もっと染まるといい
色とりどりに
染まった街は
どう思っている
だろうね?
ぼくだったら
ああ、掃除をしないと
と、大いに困る
ことだろう
でも、たしかに
見惚れるほどに
街は染まっている
君がいう春というのは
きっとそういうものだろうね
けれども
あまりにも張り合いのなさに
君はチェッと舌打ちすると
花びらたちを
いっせいに輝かせた
淡いカラフルな光に
街は包まれる
それは本当に素晴らしく
ぼくですらその美しさに
圧倒された
そして魔法の花たちは
消えていった
君はすぐに
行ってしまうだろう
世界を征服するために
花で世界を満たすために
ぼくは高いところから
春の景色を眺めていた
いつもながらの
春の風景だ
ああ、なんだか
伸びをしたい気分だ!