第十四章 邪神との決戦2
【人間風情が我に勝てると思うな。貴様等全員魂ごと葬り去ってくれるわ】
「くっ……殺気だけでこの波動。うかつに近づけやしねえな」
「……神子。龍樹を呼んで力を貸してもらうんだ」
邪神が唸ると鋭い殺気により身体がしびれる。その様子に伸介が冷や汗を流し呟く。何事か考えていた刹那が神子へと指示を出す。
「はい。……龍樹さんお願いします」
「主のご命令のままに」
神子は返事をすると龍樹を召喚する。白い光の柱から降りてきた龍樹が微笑み彼女を守る様に隣へと降り立つ。
【貴様……人間どもに味方するなどおろかな】
「貴方の思い通りに等させやしない。主はわが命に代えようとも必ずや守って見せる。……半身であるおれを失った今。貴方の中に残った力はごくわずかな物でしょう。主達と戦い勝つことなどできやしない。どうせ貴方のことですからそんなことを言ったところで聞きやしないでしょうがね」
下は半身であった彼を睨みやり邪神が呟く。そんな相手を睨み返して龍樹が言い放つ。
【邪魔さえ入らなければあと少しで貴様を取り込めたものを……貴様を我の中に取り込めなかったのだからな貴様が生きている意味はない。にっくき人間ともども滅ぼしてくれる】
「だからさ、寝言は寝てからいいなって言ってるでしょ。レイ、アッシュ、紅葉、蒼。僕と一緒に君達の能力を邪神へとぶつけるんだ」
「「分かった」」
「「了解」」
憎々し気に喚いた邪神へと向けて刹那が鼻で笑うとレイン達に指示を出す。それを聞いた彼女等はそれぞれ返事をして術式を構成し始めた。
「龍樹、信乃、優人。君達は援護を頼む。僕達皆を守る結界と守護の力の強化を」
「「「分かりました」」」
次に背後にいる龍樹達へと指示を出す。彼等がそれに答えると神経を統一して祈りを込める。
「赤き雷鳴唸れ。そして全てを焼き尽くす炎よ我が前の敵を滅せよ」
「白き雷と光の刃よ敵を射貫け」
アシュベルとレインが切っ先を敵へと向けるとそう唱えた。同時に発生した赤色の雷と火柱が邪神を飲み込んだかと思うと、そこに彼女の放った雷と光の刃が奴を貫く。
「こいつも食らいな。丙(ひのえ)、丁(ひのと)」
「漆黒の風よ……旋風」
彼等の攻撃が切れたタイミングで紅葉の放った炎の攻撃と、蒼の攻撃が渦を巻き敵を飲み込む。
「煌きよ……意を示せ」
刹那が淡泊に唱えると流星のごとく邪神の頭上から光の雨が降り注ぐ。そして緑の魔法陣により身動きを封じられた。
「皆さんをお助け下さい」
「壬(みずのえ)、癸(みずのと)」
「我が力汝らの助けとならん」
腕輪に祈りを込めていた優人が言うと神々や精霊達の術により目に見えない加護の力で体力や精神力や神力があがる。そこに信乃の声が聞こえたかと思うと水のドームが現れ邪神から守るように結界がはられた。龍樹が唱えると竜神の加護により戦闘力が上昇する。
「伸介、隼人、弥三郎、亜人、喜一、栄人。僕の術で身動きを封じている今のうちに奴の体を覆っている赤黒い波動の結界を砕くんだ」
「「分かった」」
「はい」
「「承知した」」
「任せろ」
刹那の言葉により伸介達は一斉に結界目がけ武器で切ったり叩いたりする。
「ねえねえ。ボク達もそろそろいいかな」
「そうよ刹那。ワタシ達だって活躍したい~」
「勿論さ。結界が壊れた瞬間に奴に一発お見舞いしてあげて」
「「任せて」」
ケイトが言うとケイコも同意する。それにもちろんだって頷き刹那が指示を出す。それを聞いた二人がにやりと笑いいつでも突っ込める体制をとる。
「今だよ」
「ボクが本気を出したら怖いんだぞ」
「えへへ。これでも食らえ~☆」
結界にひびが入り崩れ去った瞬間に合図を出す。それを聞いたケイトとケイコが握り拳を作り邪神目がけて殴りかかる。
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