十七章 信頼が生んだ結果1

 薄暗い洞窟そこにはマルセンとジャスティンの姿が。目の前には巨大な黒いドラゴンが威嚇するように二人を見ていた。

「必ず倒す……いいな」

「ああ。絶対に竜の涙を手に入れるんだ」

剣を構えながらジャスティンが言うとマルセンも力強く返事をする。

そして二人はドラゴンへと向かって斬りかかっていく。

彼等がドラゴンと戦っているころ、マーガレットとシュテリーナとジョルジュは行商人を集めて話をしていた。

「この品ではありませんわ」

「僕達が欲しいのは本物の金のミルケストの糸です」

「まさか、わたし達をからかっているんではありませんよね」

糸を見ていたマーガレットが言うとジョルジュとシュテリーナが厳しい口調で話す。

「と、とんでもない。金のミルケストの糸はめったに手に入らない代物でして、これも手に入れるのにどれほど苦労したものか……」

「わたくし達が欲しいのは百%本物の金のミルケストの糸です」

「それを扱っていると聞いていらしてもらったのですが……残念です」

「そういうことで、今回はここまでで」

「ま、待って下さい! こちら、こちらをご覧ください」

三人の言葉に行商人が慌てて秘蔵の品を取り出す。

必ず金のミルケストの糸を手に入れる為にマーガレット達が行商人と話をしているころミュゥリアムとフレイは貴族や商人の家を巡って踊りと演奏を披露していた。

「いや~。素晴らしい踊りと演奏だった」

「本当に、素敵でしたわ」

主と夫人が拍手喝采すると二人はにこりと笑い近寄る。

「それデ、今回の踊りにもし感動して頂けたのでしたらお礼を」

「ああ。勿論だ。一千万でどうだろうか?」

「ぼくたちが欲しいのはお金ではありません」

「あら、では何が欲しいのかしら?」

ミュゥリアムの言葉に主がそう言うとフレイが違うと答えた。それに夫人が首をかしげて尋ねる。

「賢人の宝石デす」

「ぼく達は如何してもその品が必要なんです。もし、所有していましたらそちらを頂けたらと思います」

二人の話に主と夫人は顔を見合わせる。

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水竜寺葵
基本長編か短編の小説を掲載予定です。連続小説の場合ほぼ毎日夜の更新となります。短編の場合は一日一話となります。 連続小説などは毎日投稿していきますが私事情でPC触れない日は更新停止する可能性ありますご了承ください。 基本は見る専門ですので気が向いたら投稿する感じですかね?