十五章 レイヤ再び来店3
そうして日時は進みレイヤが服を取りに来る日となった。
「こんにちは~」
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
女神が来店してくるとアイリスは笑顔で対応し服を棚から取り出す。
「こちらになります」
「あらあら、とってもいい色ね~。私明るい色大好きなんです」
商品を差し出すとレイヤが微笑みそれを受け取る。
「試着してみてもいいかしら?」
「勿論です。どうぞ」
女神の言葉にアイリスは答えるとレイヤはさっそく試着室へと入っていった。
「どう、でしょうか」
「まぁ、まぁ~。とっても素敵。私このワンピース気に入りました。それに、こんなに薄いのにぬくぬくして温かい。これはもしかしてブルームゥーンの毛で作られた布で作ったですか」
彼女の声に女神が答えると試着室から顔を覗かせ尋ねる。
「はい。秋冬に着るにはぴったりな暖かいブルームゥーンの布で作りました」
「ふふ。暖かくてぬくぬくで気持ちがいいです。私寒いのが苦手なので嬉しいです。こんなに素敵な服を作ってくださり有り難う御座います」
アイリスの言葉にレイヤが微笑むとそう言ってお礼を述べた。
「とっても気に入りました。このまま着て帰ってもいいですか?」
「気に入って頂けて嬉しいです。はい、大丈夫ですよ」
試着室から出てきた女神が言うと彼女は笑顔で答える。
「それでは、お会計をお願いします」
「はい。今伝票をお持ちしますね」
レイヤの言葉にアイリスはカウンターから伝票を持ってくると女神へと差し出す。
「ふふっ。早速みんなにこの服を見てもらいに行きましょう~」
お会計を済ませると鼻歌交じりにスキップしながらレイヤはお店から出ていた。
その後王宮に呼び出されていたイクトが帰って来る。
「ただいま」
「イクトさんお帰りなさい。レイヤさんとっても喜んで帰っていかれました」
彼へとレイヤの様子を伝え、とても喜んでもらえたと報告する。
「それは良かったね」
「それで、国王様に呼び出されたんですよね。もしかして、この前の王国御用達仕立て人の件についての事ですか?」
「そうだね、気にするほどの事ではないんだけれど……また、今度ゆっくりと話そう」
話しを聞いた彼が良かったと微笑む。アイリスの言葉にイクトは今日国王から聞いた話を彼女に伝える事をためらいまた今度話すと言ってこの件を終わらせた。
しかし、後回しにしたところでいずれこの話を受けるか受けないかを決めなくてはならない。この仕立て屋で頑張るアイリスの姿にイクトは如何したものかと考えるのだった。