第十四章 邪神との決戦3

【ぐぅ。忌々しい。この程度で我を倒せると思うな】

「皆下がって」

邪神が吠えるとともに禍々しい稲光が襲い掛かる。その様子に刹那が警告を発した。

「蒼、信乃」

「分かってる」

「うん……己(つちのと)」

紅葉がアイコンタクトをとると蒼はすでに術式を構成しており、信乃も頷き土の柱を出現させ邪神の攻撃を中和する。

紅葉と蒼がはった結界の力により相手の攻撃は皆には当たらず離れた地面へと落ちた。

「あれを食らっていたら今頃僕達は……」

「ああ、恐ろしい力だな」

地面があった場所には黒々とした風穴があいており、それを見てぞっとした弥三郎が呟く。伸介も同意して頷くも冷や汗が止まらない様子で生唾を飲み込んだ。

「この何百年もの間に邪神は力を取り戻していったからね。そう簡単には倒せない相手さ」

「ですが、おれの力を取り込めなかったことにより力を使えば使う程衰えていく事でしょう」

刹那の言葉に龍樹がそう説明する。

「時間が経てば経つほどこちらが有利になるって事だな」

「だけど相手もそれは分かってるんじゃないかしら。だから早いうちから私達を殺そうと躍起になってるんじゃないの」

伸介の言葉にレインがだけれどもといった感じに話す。

「こちらが仕掛けてなるべく早く奴の体力を削るしかあるまい」

「だが、再び結界を張られてしまったらまた攻撃が届かなくなるぞ」

栄人の言葉にアシュベルが難しい顔で問題点を伝える。

「あの結界を壊すのにおれ達の力を注ぎすぎたら、いざ奴を叩くって時に全力を出せなくなる可能性はあり得るな」

「俺達はともかくレイやアッシュは疲れが出てきたら上手く攻撃が当らなくなると思うぞ」

蒼があり得る可能性に悩ましげに話すと紅葉も同意する感じで言う。

「いくら神様達の加護の力が働いてるとはいっても、生身の人間がやれることは限られてますからね。超人じみた身体能力の持ち主なら分かりませんが」

「戦えない神子さんと信乃と真人と優人と文彦を守りながら戦うのにも限度があるしな」

優人が言うと今度は喜一が口を開いて語る。

「皆だからこそ僕が話した作戦を実行してほしい」

「作戦って……あの作戦になっていない内容のあれのことか」

「いつも通りの私達の実力で邪神と戦うだけというあれが役に立つというのか」

刹那の言葉に伸介が作戦の内容を思い出し言うと、隼人もこんな状況にもかかわらずその作戦に執着する理由を教えてくれと言わんばかりの顔で尋ねた。

「身構え過ぎちゃだめだって言ったでしょ。たしかに邪神の力は脅威だ。結界を張られるたびにそれを崩す事から始めていたら邪神が衰弱する前にこちらが疲労でやられてしまう。だけど、いつもの君達の実力を発揮すれば一発で倒せるはずだよ」

「オレ達の実力なら一発で倒せるとは、どういうことだ」

にやりと笑い説明された彼女の言葉に亜人が訝し気な顔で首をかしげる。

いつ相手の攻撃が来るかもわからない状況の中、刹那へと皆は視線を集め次の言葉を待った。

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