ハロウィン企画参加しました【ハロウィンイベントで行われているコスプレ会場に突如本物のゾンビが現れてしまった私達の運命は?】
鶴城松之介🌏毎月交流企画開催中🌕様のハロウィン企画に参戦します。
初めて企画に参加しますので間違っていたら大変申し訳ございません。
詳しくは下記サイトより
下記より短編小説(一話完結型)はじまります。
【ハロウィンイベントで行われているコスプレ会場に突如本物のゾンビが現れてしまった私達の運命は?】
今日は10月31日ハロウィン当日。有名企業さんが企画したコスプレハロウィンイベントに友達と4人で参加。
「今日はいっぱい楽しもうね」
「写真たくさん撮ってSNSにあげまくろう」
私の言葉に友達のゆずちゃんがスマホを見せながら話す。
「一杯写真撮ってやるからな」
「もう、お前は少し落ち着けって」
タケ君が一眼レフ片手に写真を撮りまくって来る。その様子にゆう君が止めに入った。
そうして楽しい楽しいハロウィンのコスプレイベントが始まったのだ。
「ねぇ、あのゾンビの人すっごくリアルだね」
「ほんとだ、どんな特殊メイクしたらあんな雰囲気出るんだろうな」
遠くから不気味な動きで歩いてくるゾンビのコスプレをした男性の姿を捉えた私が言うと、タケ君も興味深げに呟く。
「あ、見て見て、あのゾンビの人、他のレイヤーさんに襲い掛かってる」
「ほんとリアルだね。周りの人達も面白いのか写真撮ってるし、私達も撮りに行く?」
ゾンビが近くにいたお化けカボチャの格好をしている人に襲い掛かる。
相手は少し驚いたようだがそれを受け入れ最初はおかしそうに笑っていたが痛そうな表情を作り「やめろ、やめろ」と言っていた。
その様子に周りにいた人達も面白いと言って写真を撮りまくっている。
「なんだか本当に襲われているみたいにみえるな」
「凄い役者みたいな感じ」
ゆう君の言葉に私はまだ笑って答えていた。この後事態が急変する事など知らずに……
「お、おい。なんか変だぞ?」
「襲われていた人の顔色が……」
「って、よく見たら腕から血が出てる!?」
タケ君が言うように襲われていた人が急にがくんと顔をたらして気を失ってしまった。
その様子にゆう君も言うとゆずちゃんが青ざめた顔で叫ぶ。
『み、皆さん! 聞いてください。この会場に本当に本物のゾンビが現れました。すでに何人か襲われたもよう。皆さん急いで避難して下さい!』
会場中に響き渡るスピーカーからの声に私達は初めて現状を理解した。
つまりコスプレをしている人だと思っていた男の人は本物のゾンビで、気を失った人はゾンビに襲われた。
「これ、テレビ局の撮影かなんかか?」
「ドッキリですとかじゃないの?」
「だけどみんな逃げだしてるし……」
タケ君の言葉にゆずちゃんも青ざめた顔で受け入れたくない現実に信じたくない気持ちで呟く。
ゆう君の言葉の通り周りにいた人達は悲鳴や奇声をあげて慌てふためいて逃げだしていた。よく見ると奥の方からゾンビ男と同じ色のさっきまで「人間(ひと)」だったと思われる物達がぞろぞろと迫って来ていた。
「に、逃げるぞ!」
タケ君の言葉に私達は弾かれたようにその場から逃げ出した。これが現実じゃなくて夢であることを必死に願いながら。
その後どうやって会場から逃げ出したのか覚えていないけれど私達は必死に走って逃げて、でもどこに行ってもゾンビが現れ気が付いたら町中がゾンビだらけ。逃げ惑う人々にぶつかりながら私達も必死に走り続けた。
走って走って足がもつれても動けなくなるまで走り続け、安心できない不安だけが支配する胸のせいか涙がとめどなく溢れて止まらない。心臓が破裂するんじゃないかってくらい今まで聞いた事のないほどの音で悲鳴をあげていたが、足を止めればきっとゾンビに襲われる。その思いだけで私達は走り続けた。
「……はぁ、はぁ……わ、私もう、だめ」
「ゆず!」
「バカ、止るな。ゾンビにつかまっちまうだろうが」
どれくらい走り抜けたのだろうか。ついにゆずちゃんが崩れるようにしてその場に座り込んでしまった。
その様子に慌ててゆう君が駆け寄り手を取り「立て」と言いたげに促す。
タケ君も切羽詰まった声をあげる。
「でも、もう走れない……」
「私達このままゾンビに襲われちゃうのかなぁ」
ゆずちゃんの言葉に私も今まで押し殺してきた不安に支配され弱音を吐く。
「お前も何言いだすんだよ。兎に角何が何でも生き残るんだ」
「そうだ。俺たちはまだ生きている。だから最後まであきらめるんじゃない」
そんな私へとゆう君とタケ君が説得するように話した。
いつの間にか私達意外に人はいなくなっていて、かなり逃げ回った為かゾンビの姿も今は確認できない。
「このまま逃げ続けていたとしても、いつか見つかってゾンビにされちゃうかもしれないのよ」
「それでも最後までどんなに小さくても希望を捨てるな」
「そうだ。ゾンビ映画だって主人公達は助かったじゃないか。俺達だって主人公達みたいに戦えるわけじゃないけど、生き残ろうと思えば生き残れるはずさ」
私の言葉にタケ君が言うとゆう君も同意して頷く。
「人類が私達だけになったとしても?」
「それでも生きていれば何とでもなる。諦めたらそこで終わりだ」
ゆずちゃんの言葉にタケ君が力強い言葉で言い切った。
なんだか少しだけ勇気を貰えたような……そんな気がした。
「そうね、まだ生きてるんだもの。最後の瞬間まであきらめないで生きていこう」
「……なによ、皆して、私、私だって生きていたい。死にたくない。だから置いてかないで」
私の言葉にゆずちゃんも慌てて声をあげ立ち上がる。
「それじゃあ、何があっても俺達は友情を捨てずに……」
「例え人類が俺達4人だけになったとしても諦めずに……」
「ともに助け合い共に支え合い最後の瞬間まで必ずみんな一緒に……」
「逃げ切って、必ず生きのこってみせましょう!」
4人でなんか映画の主人公になった気持ちで誓いの言葉を述べると拳をかち合わせた。
その後私達がどうなったかというと……11月1日の朝。まるで夢か幻かのようにゾンビ達はこつ然といなくなっていて、町はいつもの静けさを取り戻していた。私達は奇跡的に助かった人の中の一人として報道に取り上げられる。
ただしその同じ日のテレビのニュースでは行方不明となった沢山の人々の名前も流れた。おそらくみんなゾンビに襲われゾンビと化してしまったのだろう。
その一軒の後10月31日の夜の事は皆「ゾンビの襲来」と呼ぶようになる。ハロウィンの夜の都市伝説としていつまでも語り継がれることとなった。
完