エピローグ
木枯らしが吹きすさぶ寒い冬。仕立て屋アイリスには今日もたくさんのお客が訪れていた。
「そういえば、そろそろジョン様のお誕生日ですね」
「はい、それでまた服を仕立ててもらいたくて」
「アイリス、わたくしもその誕生パーティーに出席しますの。パーティーに着ていくドレスを仕立てて下さいな」
「わたしもドレスをお願いしたいです」
アイリスの言葉にジョルジュが答えるとマーガレットとシュテリーナもそう言って頼む。
「よう。アイリスまたオレにぴったりな服を仕立ててもらえないか?」
「ジョン様、シュテナ様、マクモ様。こちらにいらしているのは分かっています。すぐに城を抜け出すのはお止め下さいとあれほど……」
「よう、アイリス変わりないか。実は新しい服を仕立ててもらいたくてさ。この前ドラゴンと戦った時にお前が作ってくれた服駄目にしちまったからな」
マクモがそう言って来店してくると慌てて駆け込んできたジャスティンが怒鳴る。マルセンがそう言って服を作ってくれと頼んだ。
「こんにちは~。また私の服を仕立ててもらえないかしら」
「俺も今度は自分用に服を一つ欲しいと思っているのだが、頼めるか?」
「あのね、この服破れちゃったの直してもらえる?」
レイヤが笑顔で来店してくるとクラウスがそう言って頼む。ウラティミスが着ているワンピースを見せながら話す。
「アイリスさんご機嫌よ。わたくし新しいドレスが欲しいのだけれど頼めるかしら」
「オ~アイリスさん。こんにちは、お客さん連れテ来ました」
「やあ、小鳥さん。今日も元気そうだね」
イリスがそう言って入って来るとミュゥリアムがおじいさんを連れて来店する。さわやかな笑顔を浮かべてフレイもやってきた。
「こんにちは。アイリスさん今度はわらわの普段着を作ってもらいたいんですけど、宜しいですかねぇ」
「今日もお客さんが一杯だ。アイリス、頑張ろうか」
「はい。……いらっしゃいませ、仕立て屋アイリスへようこそ!」
カヨコがそう言って入って来ると来店してきたお客達を見てイクトがそっとアイリスへと声をかける。それに彼女が答えると笑顔で皆を出迎えた。
コーディル王国の下町。ライゼン通りという職人通りにある小さな仕立て屋さん【アイリス】そのお店には王国御用達仕立て屋になれたかもしれない少女が店主を務めていて、それを見守る店員がいる。お客様達に信頼されているそんなお店には今日もたくさんの人でにぎわっていた。