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陶器と磁器
陶器という言葉に磁器や全ての焼物が含まれている場合があります。屋号にも使われるのは圧倒的に 陶器 の方です。稀に 製磁 、Porcelain などと磁器に特化している事をオシャレにまたは決意として主張する会社があったりもします。
せともの と呼ぶ方もいますが瀬戸物のことで一時代一般家庭に大量に流通したのでしょう。何となく磁器の印象があります。
大きな違いは素材が違うということ。
陶器は土、磁器は石です。
陶器は山、地面から原土を掘り出してそこから不純物を取り除いたり、足りない成分を補ったりして陶土、粘土になります。
磁器は山から石を採掘し粉砕してパウダー状にし水を加えて磁土、粘土になります。ややこしいのはこれも陶土と呼んだりもします。
熊本の天草陶石が世界的にも稀なのは単味で何も加えず磁土になります。工程で少し珪石分取り除いてたりします。
※磁器には配合によるもので石でないものもあります。
磁器:は釉薬の有無に限らず、しっかり焼き締めれば吸水がほとんどありません。 ※あま手と呼ばれ磁器でも焼きしまっていないものがあります。
陶器:は焼いた後でも吸水します。釉薬で覆うことで吸水をしにくくする効果や磁器にも言えますが強度を増す効果があります。少し吸水するのから、とても吸水する。まで幅はあります。※粒子の細かい陶土で吸水がほとんど無いものあります。
陶器はお酒や汁物をよそうとその水分がしみてしまいますので、先に水を潜らせるという作業が必要になります。その作業をしていないとその成分が器に残ってしまうということになります。これはタチが悪いですよ。延々以前の食材の香りが…
また吸水するということは、せんべいを水に浸した時を考えればわかるように長く水につけおきしてしまっているとその瞬間はもろくなります。そのまま乾かさないと、カビが発生することも
悪いことばかりではありません。
抹茶碗の良いもの、名物と呼ばれるものには使い込んで育っていった器もありますし磁器には無いほっこり感、温かさも醸し出せる素材です。
私もとても吸水する酒器や茶器をいくつか持っていたりするのですが、それらは水を張っておくだけで、いつの間にか下から染み出してきます。失敗ではなく作家、作り手の意図と思っています。
磁器の方は先人の陶磁器デザイナーが ”健康な器” と言っていたのですが吸水がほとんどないので、あまり日々の生活の中で気を遣わずまた強度があり、白いものが多いので、そう公言していたのだと思っております。
陶器も人気の作家や、民窯のもの、製陶所の一般家庭用に作っているものに関しては、大半は"少し吸水する"に調整されているのではないでしょうか?
作り手の技術不足による起因はの問題外です。
昨今、各地でまた大小の規模に関わらず陶器市やクラフトフェアが多くなってきた様に思えます。時勢もありネットでの購入も多くなっております。
買い手が見ただけで、陶器の吸水まで判断できるとは思えません。
目で見て手に取り、説明を受けて購入、それでも使い勝手など問題点が出てくる思っています。
器選びは一度失敗する事をお勧めします。器に対する知見が広がるかと