身軽に動き続けること
昨年は日本とヨーロッパを合計7往復しました。
妹との2人旅、国や街を跨いで移動する旅、初めて訪れる国への旅、帰国して3日後には次の国へと向かったこともありました。
流行り病に罹って1人でのたうちまわりながら大使館やら領事館への手続きに奔走したこともありました(こちらは別途記事を参照ください。「修行と体調管理」)
そんな中でキーポイントとなっていたのはパッキング。
いかに効率よく荷物を選択し、詰めていくのか。無駄なものを省きながらも自分がお気に入りで落ち着くものを最大限持っていくこと。また、一般的な海外旅行とは違って宿泊する時も寮だったり学生が泊まれる範囲の宿だとアメニティがほとんどなくベッドとシャワーのみの部屋だったりすると基本的な物資も必要です。なんとかなるだろうが通用しない異国の土地で生活する時に何を持っているべきなのか。自分とは違う文化圏・宗教の背景を持った場所に行ったときにトラブルに巻き込まれないようにするための工夫や身体をいたわる工夫などさまざまな事態を想定した上で準備しなくてはなりません。
自分が持ち運べる重さや分量のギリギリを見極めて準備をすること。
旅の支度は楽しいものですが、なかなか難しいと毎回思っていました。
何度も渡欧を重ねてパッキングをし、到着してから荷解きをして、また詰める。空を一緒に飛んで、帰国してから荷解きをして日常に戻っていく。この繰り返しの中で気がついたことがあります。
それは『自分の部屋=スーツケースの中』ということ。
現実世界では私個人の部屋ではなくて妹と一緒に一部屋を使っているから、正確な表現ではないけれど、自分の領域がそのままスーツケースの中に入っているという感覚。どこに何があるか全て把握していて、それが全て自分のお気に入りで好きなものであるということ。
普通のことじゃん、と思うかもしれません。でも、案外難しい。
実際自分が欲しているものがよくわかっていないということに気が付かされます。なんとなく使っているものや、もらったから、慣れているからと”ながら”なものが多かったり。本当に私はこれが好きなのか?あると落ち着くのか?
究極は、無人島で1人で生活するときに持っていくものは何?といった質問を自分に投げかける感覚でしょうか?笑
昨年の修行の旅の途中に想定より長く滞在することになりました。さらには体調は最悪中の最悪、メンタルもかなり追い詰められた状況の中でまだ正気を保っていられたのは、これがあれば自分を保っていられるという安心がどこかに残されていたからだと思っています。例えば、寝る前のハンドクリームの香りやお気に入りの洋服、ちょっとした飲み物、手に馴染んでいたドライヤーやテクスチャが好きなスキンケアのセット。旅先という非日常の中にある「日常」が私のスーツケースには詰まっていて、自分の部屋ではない空間だけれども自分の家や空気を感じさせるものに囲まれていたこと。これを持ってくればよかったのに、これがあれば…と後悔したことはありませんでした。それまでに取捨選択を繰り返して、自分の本当に好きなものと向き合い続けていたからあの時の事態に対処できたのだろうなあと思っています。
帰国するたびに、これは使わなかったなあというものや私には必要ないかなというものを減らしていったのに伴って、部屋のものも少しずつ減っていきました。
いつか使う…!と思って残していたものが減ったことは確かで、いわゆる一軍のものだけが手元に残るようになっていました。スーツケースに使うかもと思って入れて、結局使わずにヨーロッパと日本を往復してしまったものの勿体なさを痛感し、思い切って手放すことを繰り返しました。
次第に旅のライフハックなどと旅行用容器に詰め替える〜や旅の時だけ使うものが極限まで減って、いつも使っているものを順に入れていけばパッキングが終わる。
(スキンケアもボトルのまま入れているし、メイク用品もいつも使っているポーチをそのまま入れてしまうくらい笑)
買い物をするときは自然と「これはスーツケースに入れるかなあ?」や洋服も「シワにならないかなあ?着回しがきく?」と自問自答することがさらに増え、移動すること前提で日々の生活を送るようになりました。
スキンケア用品もどんな状態でも安心して使えるものや納得して使っているものにこだわったり、メイク用品も自分が一番好きなメイクや色、テクスチャーを突き詰めたりと試行錯誤を繰り返しました。
服装もこれまで行った修業の時に書いていたノートにメモしてある自分の服装と気温を参考に着回しがしやすくて、自分が本当に気に入って買った洋服をクローゼットに入れるようにする。
自分のご機嫌は自分で取る、自分のことを一番理解しているのは自分です。
修業の時、音楽に100パーセント全力でいるために、普段の生活を見直す。修業という非日常の中に「日常」を見出す。動くから気が付くこと。
自分のお気に入り空間と安心する場所を自分で創ることの大切さに気が付かされた修業の時間でした。
ミニマリストやシンプリストではないけれど、身軽に動き続けるために自分に最適な量で動き続けたいと思います。
Danke!
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