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(追記②)レビュー「米津玄師/アイネクライネ」 2人は夜を超えたのか・・・


(※今回も感想&妄想記事です。)

前回、前々回と投稿したこちらの記事。

新たに気づいたことがあったので、一応書いておきます。


絵本のような作り 

1.画面の質感が、紙を思わせる。
 きなり〜ベージュに近い色の紙の質感の画面上に描かれた線画はまるで絵本のようだ。
 
2.画面下部分にテロップが書かれている。
 これも、まるで絵本を思わせる作り。

・・・絵本だとしたら子供に読み聞かせることをイメージしている?

他にも、くまのぬいぐるみ、キューピー人形、糸電話、アヒル、紙風船、紙飛行機、シャボン玉、けん玉、クレヨン、水鉄砲、など子供を連想させるアイテムがたくさん登場する。


義足かもしれない?

くまのぬいぐるみとキューピー人形が合体したもの。
左足だけ大腿部を欠損している。

正面図。ひざ付近の描き方に左右差を感じるような気もする。

後方からの図。左足に線が入っている。


壊れた傘

よく見ると、傘が一部分壊れている。(傘の布が骨から脱離している状態)
男性が持っているときは画面手前側に、女性が持っているときはわかりづらいが、奥側に見える。
女性は右手で傘を持ち、男性は左手で傘を持っている。
ということは、おそらくこれは同一の傘を持っているが、二人が向いている方向は逆ということ。背中合わせの状態。(ここでは線対称ではなく点対称のような状態)
糸電話と同じで、二人はつながっている(あるいは同一のものを共有している)にも関わらず、意思の疎通ができていないということだろう。

ここで、位置関係は男性=上(天国)と女性=下(地上)なので、上下のズレもある。


影から推測する二人の関係性

ここでの位置関係は二人とも同じ地上なので、上下の関係はなくなり同じ高さになった。

今度は影に注目してほしい。影から推測する二人の位置関係はというと、ざっくり説明するとこうなる。

二人は同じ向きで隣同士になり、手を繋いで夜を超えた。


(詳しい解説)

0:55 女性の影から推測すると、左から、女性、太陽の順。
2:17、2:21 クレヨンと男性の影から推測すると、左から、太陽、男性の順。
冒頭の0:22で女性が後ろを振り向くところと併せて考えると、二人は背中合わせの状態だと思われる。
また、女性の目線の向きも真っすぐ遠くを見ているような物悲しい目に見える。前に彼がいたら目線は少し上を向くだろう。

3:52 画面左からスペード(男性)、ハート(女性)の位置。

長い間奏。

4:14 二人の恋人つなぎの手元。
画面左から、女性、男性の位置になっていると推測できる。
間奏前と位置関係が入れ替わったことになる。
また、影の様子から、太陽は画面左(女性から見て右)から差している。
左から、太陽、女性、男性の順番。
ということは、太陽の位置が変わった。
つまり、夜を超えた。


点から線、そして円へ

はじめはそれぞれが離れていて独立した点。
 (点対称の点でもある)
同じ水平方向にいても、別々の方を見ている。
 (線対称)
二人がつながって横並びになる線になる。
そして、二人で円を描こうとする・・・。

点、線、円。
なんだろう、韻もそろっていて、このうまくまとまっているストーリーは。


二人の関係性は・・・

ネットで他の人の解釈や考察を見ていたところ、中絶した説、不倫説、恋人説いろいろあった。
恋人つなぎをしているから、やっぱり恋人なのかな?とも思う。
分母、分子というキーワード、子供の玩具などから考えると、親子関係という見方もできるかも。
円(円周率)、一体化という概念を考えるとやっぱり母子なのかな〜。
手を繋いで夜を超えるというのは恋人という感じもするし。
もう一人の自分(例えば、過去の欠落した自分)との統合という考え方もできるかもしれないし。

うん、結論はわからない(笑) 
人の数だけ解釈があっていいんじゃないかなと思う。
何にしたって、すごい曲だ。


・・・

米津さんが作品を作るときに、映像として脳内で再生しながら作っているのだろうか。
細部まで描く正確さ、緻密さが伺える。
絵本、線画という2次元の世界である一方で、影を持たせて動画として作成し登場人物にリアルな現実味を持たせている=立体的な空間把握能力がずば抜けている。
プレーヤー、プロデューサー、いろんな視点を持っている米津さんだからこそ、多角的でかつ主観と客観の色合わせも豊富で表現の幅が広い。
次元が違う世界に生きているんじゃないかと思う。
人の心の琴線に触れるような作品なので物語としても楽しめるし、テクニック(技術)の巧みさという映像作品として見てもとても面白いなと思う。

これは他の作品でも言えることだけれど、大きなメッセージとして「いろんな人がいて、いろんな見方があるよね」ということを言っているような気もするんだな。


他のレビューはこちら。



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