モルガンスタンレー新CEOは良い銀行に作れるか
今回はFinancial TimesのUnhedgedというポッドキャスト番組のCan Morgan Stanley's CEO build a better bank?というエピソードを解説します
統合企業モデル
2024年初めにモルガン・スタンレーのCEOに就任したテッド・ピック氏は、銀行のビジョンについて声高に語っている。最近の株主宛書簡の中で、彼は銀行の将来のモデルとして「統合型企業」のコンセプトを謳った。この考え方は目新しいものではないが、銀行がこれを実行するのは非常に難しいことが分かっている。
Integrated Firm(統合企業)モデルは、よりまとまりのある統一された組織を目指すものである。大規模な金融機関内に存在しがちなサイロ化(縦割り組織)を打破し、異なる部門や事業部門間でより大きなコラボレーションとシナジーを促進しようとするものである。最終的な目標は、顧客によりシームレスで総合的なサービスを提供し、顧客満足度とロイヤルティを高めることである。
課題とチャンス
統合企業モデルは有望に聞こえるが、課題がないわけではない。歴史的に、銀行は様々な業務を効果的に統合するのに苦労してきた。これは、投資銀行業務やウェルス・マネジメントからリテール・バンキングや資産運用まで、銀行が提供するサービスが複雑で多様であることも一因である。高水準の統合を達成するには、戦略的な整合性だけでなく、業務や文化的な変化も必要であり、これを管理するのは困難である。
こうした課題にもかかわらず、大きなチャンスもある。より統合された銀行は、より広範で包括的なサービスを顧客に提供できる可能性がある。また、経営資源や専門知識をより効果的に活用し、効率性と競争力を高めることもできる。
私見
銀行の統合企業モデルというものは日本のメガバンク経営においても長らく言われてきたことかと思います。「One Mizuho」とか「銀賞連携」みたいな言葉は聞き覚えがあるのではないでしょうか。どの銀行も同じ戦略をいっていることを鑑みると、戦略なんてコモディティといっていたレゾナック髙橋社長の言葉を思い出します。より重要なことはどのように統合企業モデルを実現していくかの実行力といったことでしょうか。
それから最近、日本で三菱UFJグループが同グループ傘下の銀行と証券の間で顧客の同意を得ずに情報の授受を行っていたとして、金融庁からおしかりを受けておりました。いわゆる、ファイアーウォール規制というやつです。この制度自体の是非も問われている中で、今後のこのような金融業における規制環境の変化も追っていきたいと思います。
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