NFL:PEファンドによる持分保有を承認

本日はこちらについて。

ついに、NFLもPEファンドによるチームの持ち分所有が認められるようになりました。これまで、NBA、MLB、NHL、MLS等そのほかの北米プロスポーツではPEファンドによるチーム持分の保有が認められておりましたが、NFLは例外でした。今回の承認により、チームの持分がPEファンドに開放されたことにより、今後いろいろな動きが出てくるとともに、より高いバリュエーションの取引も増えてくるかと思います。

今回は、NFLの承認内容について他の北米プロスポーツと比較しながら見ていきたいと思います。

(1)PEファンドによる持分比率の制限

一つ目は持分比率に関する制限です。北米プロリーグではPEファンドによる所有割合を制限しております。対照的に、英国プレミアリーグなどにおいてはそのような制限を設けておりません。
今回はNFLは10%を上限としてPEファンドによる所有を認める決定をしました。北米スポーツリーグにおいては基本的に30%を上限としてPEファンドによる所有を認めております*ので、それらと比べると非常に厳しいものです。(*ただし、単一のファンド目線では15−20%を上限に所有できる規定になっており、単一のPEファンドがクラブの30%を保有するということは許されておりません)
一般的に、ガバナンスの観点では議決権(≒所有比率)の過半数を持てば普通決議事項(イメージとしては日々の執行に関する意思決定)、2/3以上を持てば特別決議事項(イメージとしてはより重要な経営の意思決定)を決めることができます。還元すると、1/3を持てば、重要な意思決定に対する拒否権を有することができます。NFL以外の北米リーグがPEファンドの所有制限を30%としているのは、PEファンドがクラブの重要な意思決定への影響力を有することを避けたいと読み取れます。
あとは、一つのPEファンドが複数のクラブに対して投資する可能性があり、利益相反の疑念が生じないようにという意図も含まれているかと思います。

(2) 最低投資比率

NFLでは最低投資比率は3%に設定されております。最大持分比率制限が10%であることを鑑みると、一つのチームに対して投資できるPEファンドは最大3社になることを意味しております。
このような制限を設けない場合、少数株主が増えることが予想され、クラブの所有構造が複雑化します。NWSLにおいては最低投資比率は5%に設定されており、
NHLやMLSにおいては2000万USDに最低投資金額が設定されております。一方で、NBAやMLBにおいてはこのような制限は設けられておりません。(NBAやMLBでは、そこまで資産規模を大きくないけど著名な個人が投資している例が多い気がするのはこのためでしょうか。)

(3) 保有期間に関する制限

NFLでは投資後6年間は売却できないという制限があります。他の北米スポーツではそのような制限は聞きません。一般的に、投資する側としては流動性が高い(売却しやすい)を好みますので、PEファンド目線ではNFLのクラブへの投資におけるハードルの一つとなります。

NFLはPEファンドによる投資を解禁したわけですが、ここまで見てきたように他の北米プロスポーツと比べると、PEファンドによる投資に対しては慎重な姿勢のようです。将来的にはさらにPEファンドによる投資に緩和的になる余地も大きくあるかと思ってます。

今回はこの辺で。

参考リンク:


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