渋谷路上生活女性殺人〜被告自殺に思うこと
2020年11月、路上生活をしていた大林三佐子さん(当時64)が渋谷区幡ヶ谷のバス停前で死亡した事件。傷害致死の疑いで逮捕・起訴され、現在保釈中だった吉田和人被告(48)が2022年4月8日、都内で死亡しているのが見つかりました。飛び降り自殺と見られるといいます。
これに際し、三佐子さんの弟さんが、自殺した加害者に対して、「せめて罪を償ってほしかった。この悔しさをどこにぶつければいいのか」と声を震わせた、という報道を目にしました。加害者が自殺したことで、今月予定されていた公判は取り消しになりました。
私は、「最後まで被害者を脅す二次加害だ」と思いました。自分が死ぬくらいなら殺すな!と言いたい。
DVの場合も、被害者が逃げると、加害者が追いかけて暴力的に攻撃するだけでなく、「おまえが逃げたら俺は死ぬ」と脅すケースも少なくありません。「死」をほのめかすことで、相手をどこまでも支配しコントロールしようとするその心の闇に驚きます。
加害者の報復や自殺を恐れ、公的機関に相談も告白もせず、耐え続ける被害女性の相談はJikkaにたくさん寄せられます。昨日Jikkaに相談があった女性も、逃げてはきましたが、「警察へも市役所へも相談に行きいきたくない」と言います。それは、警察沙汰にしたら近所に広まり、そのせいで夫が自殺でもしたら困るから、ということでした。
今回の吉田被告自殺のニュースは、暴力の被害者をこうした思いに追い詰めます。
この事件の加害者も最後まで被害者のことを考えることができない、自分のことしか考えられない人だったのだと思います。しかし、それすら疑ってしまいます。一つしかない自分の命を捨てるなんて。自分をも大切に考えることができなかったということです。他人の命を大切にできない人は自分の命も大切にできないということではないか、と、とても残念です。
早急に、加害者の処罰と、反省・自覚を促す加害者対策が必要です。
(Jikka責任者・遠藤良子)
※トップ画像は利用者さんが書いた絵です。