全国初!UR都市機構との提携事業〜住まいの確保に困っている女性たちへの支援
2022年2月より、全国初の居住支援ケースとして、Jikka × UR都市再生機構 × 国立市社会福祉協議会の三者連携による、困難を抱える女性への居住支援がスタートしました。UR賃貸住宅の空室を活用し、住まいの確保に困っている女性たちに、低廉な家賃で貸し出すというものです。
私たちJikkaには、現行の法制度による支援の網からこぼれ落ちてしまう女性たちからの相談が日々寄せられます。たとえば、DV防止法の対象となるのは「配偶者や恋人間の暴力」とされており、それ以外の関係(親子やきょうだいなど)での暴力は当てはまりません。また、児童福祉法の対象となるのは18歳までであり、19歳や20歳が、親から虐待されている場合などは当てはまりません。法制度で守ろうとすればするほど、法の規定に合わないからと公的支援から排除されるケースが発生してしまい、民間支援団体が対応せざるを得ない事態になっているのが現状です。
公的な居住支援、民間の居住支援 それぞれの課題
DVや虐待から避難する公的シェルターは、基本的に「一時避難」する場所であり、シェルターを出てから民間アパートなどに転宅するのが一般的です。しかし、転宅後の自立支援は公的にはほぼなく、避難者が社会的に孤立してしまいます。
一方、民間団体が居住支援をする場合、一般の大家さんから部屋を借り、シェルター兼住居として利用(サブリース)するのですが、一般の大家さんは、「DV避難者」というと「加害者が来るのでは」「危ないのではないか」と、貸すことを躊躇うことも少なくありません。借りられたとしても、当事者の自立のペースに寄り添った支援をしながら、無期限で居住の場を維持していくことはとても難しいのです。
日本で一番大きな大家さんが理解してくれた!
そんな難しさばかりが募る居住支援の現状に、今回の連携事業では明るい兆しがみえました。日本で一番大きな大家さんである「UR都市再生機構」が、DV被害者支援団体の居住支援に門戸を開いたからです。大家さんが、あらかじめ、法制度からこぼれ落ちてしまう女性たちの困難事情を理解してくれている。さらに、社会福祉協議会が近隣住民への説明等も行なってくれる。これらは、支援の大きな助けとなりました。
三者のできることを、三者三様に発揮してのスタートです。このはじめの一歩を、排除される人をつくらない居住支援の基盤づくりだと捉え、小さなスタートが大きく育ってくれることを願います。
Jikkaという小さな団体の活動を信じ、一緒に大きな一歩を踏み出してくれた皆さまに感謝しつつ、今もつらい環境で耐えている女性に「こんな場所があります。信じて手を差し出してほしい」と、伝えられる活動を続けていきたいと思っています。(スタッフM)
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