心霊写真
主人の職場の社宅で出会ったママ友の話。
そのお宅には当時幼稚園年中の息子さんがいた。とても優しい息子さんで一歳年下の私の娘もよく遊んでもらっていた。
ある夜、ご主人の新しく買い替えた携帯のカメラを使って息子さんが室内の写真を撮りまくっていたときのこと。そこに、お風呂からご主人が裸で出てきて、その姿をカメラの前に晒してしまった。
「ちょっと、何撮ってるの!」
ママ友は笑いながら息子さんから携帯を取り上げた。
げんなりしているご主人を横目に、携帯を覗く。
携帯のカメラには期待通り、ご主人の大事な部分がどアップで映っていた。
でもママ友は笑うことができなかった。その様子を不審に思ったご主人はその携帯を手に取った。そしてしばらくの間、写真を凝視していたが、その後無言のまま、写真を消去した…そうだ。
翌日、幼稚園の送迎バスに乗った子供たちを見送ったあと、ママ友が話してくれた。
ご主人の逸物の隣に男の人の横顔が写ってたらしい。いわゆる心霊写真だ。それを聞いた私を含めた数人のママたちは、
「見たい! 見せて!」
一体、どっちが見たかったんだろう? 男の横顔に違いないのだが、まあ、失礼な話だ。人のダンナのブツが写っているのを見せろと言うのだから。
結局、ご主人が消去してしまったのでもう見ることはできないのだが。
それにしてもその男の横顔は、はっきり写っていたそうだ。
そして、この話はこれだけで終わらなかった。
息子さんが、心霊写真を撮ってしまった日から、不思議なことが起こり始めた。
閉めてもいつのまにか開いている襖。
同じ社宅のママ友と出かけて夕方帰ってきたとき、外から見て部屋の明かりがついている。
「明かり消すの忘れて出かけたんだな」
そう思いながら玄関の鍵を開けて部屋に入ると、部屋に明かりはついていない。
「勘違いじゃない。自分だけじゃなくて、他の人も見てるんだから」
そのうち、息子さんが家に他の人がいるというようになった。
怖がりなママ友は息子さんに
「誰もいないから!気のせいだから!」
ヒステリックに言い聞かせていた。
同じ社宅に霊感の強いママがいて、心配したその人は、
「話してみようか?」
と言った。
そのママは霊と話すことができるらしい。ママいわく、写真に写った男は生きていた時は、主人たちの仕事に関係のあった人で、今はこの社宅をウロウロしているらしい。たまたま、息子さんに気づいてもらえて、それでよく部屋を訪れるようになったそうだ。悪さをするものではないから心配は無用とのことだった。
でもそのうち、息子さんのもとへいろんな霊が集まるようになってしまった。
息子さんには基本、霊がボールのように見えるらしい。でも時々、しっかりとした姿が見えるようで、部屋に知らない女の人がいるとか言われ、ママ友も精神的にまいってしまった。極めつけは息子さんが突然、日本語ではない、どこか異国の言葉で話し出して、どうにも耐えられなくなったママ友は、辺りで有名な霊能者のところに行った。
ママ友は私たちに
「あげてもらった」
と言った。それ以上話したくなさそうなので、私たちも聞かなかった。
その後、息子さんは霊を見なくなったらしい。今は転勤して離れてしまい、連絡先も消えてしまって様子はわからない。
数年前に関東のニトリで偶然ママ友と会った。
元気そうだった。
※この話は2019年8月にブログに載せたものを再編集しています。怖話サイトにも載せています。