依存症という病気(1)
みなさん、依存症と聞いてどんなイメージを持っていますか?
「好きで飲んでるお酒やパチンコをやめられない人」
「自分の欲求を満たすために他の事をなおざりにしている人」
「その人の意志の弱さや自制心のなさが原因!」
「ルーズな人」
「犯罪者」
そんなイメージを持つ人がほとんどなんじゃないでしょうか?
私自身、依存症について詳しく学ぶまでそう思ってました。
看護師として、多少なりとも学んできたにもかかわらずです。
でも、依存症という病気を正しく理解してからは、全く違う視点で見るようになったんです。
そして、依存症という病気を少しでも多くの人に知ってほしいという思いが、とても強くなっていきました。
なぜなら、私は依存症の家族として長く辛く悲しい経験してきた一人でもあり、この病気の怖さを嫌というほど実感しているからです。
そして、病気のことを理解することで、今まで感じていた苦しみから、解放されていったからです。
ここでは、依存症に関する様々な情報を発信していきます。
まずは、依存症という病気を知ってもらい、依存症に苦しんでいる本人や家族が少しでも楽になれることを願いながら。
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◎生体ストレス反応
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世の中、自分の本当の気持ちを大切にして思うがままに生きるのって、なかなか難しいと感じていませんか?
例えば、「我慢しなさい」とか「しっかりしなさい」とか「もっと頑張れ」とか・・・
もう、子供の頃から刷り込まれ続けてきましたよね。
結果、
嫌だな〜って気持ちを出せずに我慢したり
周りと比べられて自分を認めてもらえなかったり
頑張ってるのにもっと頑張れとか・・・
それが日常茶飯事となり、生きづらさを感じる毎日。
そんなことが続くと、人は心の苦痛(ストレス)を感じるわけです。
そして、その心の苦痛(ストレス)を和らげようと自分なりに対処行動を取ります。
例えば、
お酒を飲んで嫌な気持ちをリセットしよう。
買い物で発散しよう。
パチンコでもして楽しもう。
眠剤飲んでぐっすり寝よう。
などなど
そして、毎日の生活に溢れている心の苦痛(ストレス)は、無くなることはないので
手軽にできる、ストレス解消の方法を繰り返し続けていきます。
そうするとどうなるかと言うと
パブロフの犬状態になってしまい、脳が反射的な行動を優先して反応するようになるんです。
結果、心の苦痛(ストレス)を感じたら、反射的にお酒!買い物!パチンコ!薬!
と言う条件反射の脳の回路が出来上がってしまうんです。
しかも、繰り返し繰り返し作り上げたこの回路は、相当ず太い回路になっているんです。
もう「自分意志」でどうにか対処できる状態ではなくなってしまいます。
「お酒のCMをみただけで!」気づいたら飲んでいた。
「パチンコの音が聞こえただけで!」気づいたらパチンコの台でうっていた。
本人の意思とはもう別なところで、脳が勝手に反応し、勝手に行動してしまうんです。
もう、こうなってしまうと「意志でコントロールすることが不可能」になり、「本人はやめたいのに!やめられない!」という状態になってしまいます。
依存症という病気は
多くの人がイメージするように「快楽」を味わいたいがため行動した結果でなる病気ではないんです。
依存症という病気は
心の痛み(ストレス)を和らげるために、自己治療として用いた行動が、結果、依存症と言う病気を引き起こしてしまうんです。
そして、本人の意思ではどうにもできない脳の回路ができてしまい、コントロール不能になってしまう病気なんです。
最初のストレス解消に手に取ったお酒は、美味しかったかもしれません。
元々、お酒は好きだったかもしれません。
でも、依存症になってしまったら、好きだから飲むのではなく「飲まなくてはならなくなり飲んでしまう」んです。
次は、更にこの脳の回路の細部で、どういうことが起こっているのか。
それゆえに、どうなっていくのか。
もう少し踏み込んでいきます。