運動をHappy Agingのツールとして考える
運動がHappy Agingのカギだと強く信じている。
実際、多くのAgingの研究者や、アルツハイマー型認知症、脳神経科学の研究者たちは、健康な脳と健康な身体、高齢化社会における健康活動の条件として、ほぼほぼ第一声は「運動!」と言うことをいう。
それだけ研究者が言っているのに、なぜか「運動」が定着しないこの世の中。
運動の重要性は多くの人が思っている。
運動を始めるきっかけの多くは、知っている人がやっている。
知っている人が通っている、ということ。
すでに体を動かすことに楽しさを感じている人が、「ね、ちょっと一緒に行ってみない?!」と、声をかけることができるといいのだと思う。
Kyoto MBM Laboで活動する私たちの大事にしているのは、「コミュニティーの健康のための施設として存在すること」
ラボに通ってくださる方のコミュニティ(家族、お友達、地域)が、その方が身体を動かして自分の心と体の健康を整えていくことで、その方の関係するコミュニティが幸せで豊かになること。
そのためにラボができることは何か、、、を考える。
それはとっても地味な活動だけど、一過性の盛り上がりで何かをする以上に、長期的に意義があることだと思っている。
運動が脳の健康や体の健康、長期的な幸せ、幸せな老いに大事な要素である以上に、「人間関係」(Relationship)が幸せなAgingのキーとなる。
Harvard Study of Adult Development(ハーバード成人発達研究)が、おそらく世界で最も長い追随研究をしている。
1930年代に「ハーバード大学在籍の2年生(19歳)の男性と、近隣の貧困エリアの19歳の男性」を被験者として選択し、これまでに724名の被験者を75年間、健康状態や幸福度の調査などをしている。(当時は女性の学生がいなかったため、男性のみ。その後、男性の子孫(第2世代)、そして配偶者も研究対象となって、現在も進行中)
第一期の被験者のうち、90代になっても存命している人が60名いると書かれているが、75年間の時間の中で、研究被験者の人生は様々で、被験者にはアメリカの大統領になったジョン・F・ケネディーもいたという。
その研究から見えてきたことは、
「80歳代になった人たちの幸福度は、50歳代の時の人間関係にあった」ということ。キーとして話されていたのは、「50歳代の時に配偶者との関係性が良ければ、80歳になったときの健康かつ幸福度が高い。」ということ。(下にリンクしているTED TALKの中で、離婚というイベント以上に、関係性の悪い婚姻関係の継続の方が長期的な心身の健康に影響を与える、、、と、Dr. Robert Waldingerは言っている。あ、離婚のススメではないですよ、、、。どういう関係性でいるかが大事ということを考えてみてください。)
ここでいう良い関係性というのは、「相手のことを信頼し、なにかあったときに頼ることができるか」と言うことがキーのようで、けんかしても、意見の相違があったとしても、大事なのは「何かあったときに信頼できる関係であるかどうか」ということ。
そういった人間関係を、家族や友達、コミュニティに対してあればあるほど、その人の健康度と幸福度が高くなる。
そのコミュニティ形成にとって、運動はとても大切なツールだと思っている。
運動は、目的ではなく、幸福なコミュニティを形成する大切な手段。
運動は、目的ではなく、健康で幸せな自立した人生を送る大切な手段。
(この前に書いた手段と目的に関してのnoteはこちら)
家族と一緒に体を動かす。
友達と一緒に体を動かす。
コミュニティーで体を動かす。
そういった行為が、関係性を高め、きっと将来的な心身の健康度そしてひいては幸福度を高めるのだと信じている。
運動を目的とせず、健康で幸せになる手段と考えられる、そんな世の中になるために、できることを続けていこう。
*Harvard の研究のまとめ記事はこちら
*現在の研究責任者であるDr. Robert WaldingerのTED TALKのスピーチはこちら)