去年の12月に社員の皆さんへ「なんで会社に来ないといけないんだろう」って話した時のこと
さくらインターネットでは、幹部の人(リーダー以上)を対象に、モーニングミートアップという、月に一回、社長のありがたい話()をしています。
でも、そもそもなんで社員が朝早くから社長の話を聞かないといけないんだ?とも思い、昨年の12月17日に「なんで通勤ラッシュにもまれて、朝の9時(当社の定時は9時半〜18時半なので、参加する人は9時〜18時に前倒し)にわざわざ集まって、社長の話を聞かなきゃいけないんだ?」って話を、前置としてしました。
当時は、社長は何言ってんだろうと思った人も多かったみたいですが、それから半年たって、その時の疑問が解決し始めて、なかなか示唆的だったので、前置き部分だけ公開してみます。
多分、9 時になっても(参加者が)集まらないと思うので、最初少し余談といいますか、お話をさせていただきます。
「遅刻」ってありますけれども、遅刻の概念が日本で広まったのって、明治以降らしいんですね。そらそうですよね。
昔って時計がないから、「何時に集まる」って言っても集まれなかったですし、そもそも集まる必然性もなかったんですね。じゃあなぜ明治以降、遅刻が誕生したのかという話なのですけれども。
以前、農業をやっていたときは、太陽が昇れば、種をまき、キュウリの場合は朝早く収穫しないといけないとか、基本的には太陽の出方、あと、四季によって行動していたんですね。なので時間というのはそんなに必要じゃなかったんです。
ただ産業革命が起こって、みんなが集まらないと生産ができないということになりました。
おまけに鉄道が走り始めて、近所に働きに行くのではなくて、少し遠くまで働きに行くということができました。
なので、大きな生産設備を入れて、そこに対していろいろなところから人が移動してくるようになったのが、明治以降なわけですけれども、そうなると電車の時間に合わせて人が集まらないといけないわけですね。
おまけに生産機器ってコストがかかりますから、同じ時間に同時に集まって、同時に働いてもらわないと困る、という事情があったそうです。
そういったことで、日本ってそんなに遅刻に対して厳しくなかったみたいなのですけれども、その頃から、もの作りが加速していったりだとか、通勤がどんどん普及していくと、遅刻 “してはいけない” となっちゃったんですね。
そういったことで日本の社会というのは未だに遅刻に対して不寛容なわけですけれども、ふと考えていただきたいんですね。
今回のモーニングミートアップも、別に家から出てもいいわけですし、録画したやつを見てもいいし、最近は文字起こしもしています。
要はテクノロジが進化して、同じ場所に集まる意義というのが、少なくとも生産機器を動かすという観点ではなくなったんですね。
じゃあなんで僕らはわざわざ通勤ラッシュの中にもまれて、ここに集まっているのだろうかという本質は、僕もよくわかりません。
これはどちらかというと投げかけでしかないのですけれども、なぜ同じ時間に集まって同じところで仕事をしなければいけないのか。
そもそも IT エンジニアの生産設備というのはパソコンなわけですけれども、パソコンって持ち運びができるようになったし、1 人 1 台あるわけですよね。
その時点で、同じ時間に集まるというのは、シフト勤務以外、それほど必然性がないというのがあります。
もちろん電話があると、鳴るから来ないといけないというのはあるかもしれないけれども、最近、ビジネスホンもスマホに入りましたから。例えば、(来訪者が)受付で受付の番号を入れて、例えば僕の秘書チームの人が出たとして、それが在宅勤務だったとしてもわからないわけですよね。
会社にいる必要もないし。僕にチャットで、「何々さんが来られましたよ」というのを頂ければ、それでおしまいなわけです。
そんな中で、なぜ僕らはわざわざ事務所を開設して、遠くから朝通勤ラッシュにもまれて、集まって仕事しているんだろうか? ということについて、深く考えていくと、実は、遅刻が何のためにあったのかという、もともとの本質にたどり着くのかな、などと思っています。
……と言っている間に人が集まってきましたので、そろそろ本題に入りたいと思います。
ちなみに、以前のモーニングミートアップでは幹部だけってことにしてたんですが、いまはオンラインになって会議室のキャパの問題がなくなったので、どうせ動画も書き下ろしも全社公開されてるんだし、参加も不参加も、全社員にご自由にと変わりました。
本質的には、オンラインであれば上限も無くなるし、みんな参加したらいいし、別の言い方すると後で見てもいいし、場所とか時間とか関係なくなるよねってのを、社長からの伝える場で実践しています。
結局、9時からやっていますが、なんか前より参加者も増えたし、まぁ通勤がなければ9時も早くないし、それでも早いと思う人は後から興味があれば見ればいいってことになっています。
世の中はたくさんの形式的なことがありますが、今回の騒動で本質を見直すきっかけになっている気がしますね。
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