スポーツ系サービスで小売領域に挑戦する訳
いま開発してるスポーツコミュニティマーケットプレイス「mimook(ミムック)」、この事業について話すと、だいたい120%の確率で「小売はやめとけ」とか「難しい」といわれる訳です。
全然それについては了解してるし、その上でやろうとしてる訳です。
なので、なぜ小売領域、というかリアルな「物」を売るビジネスをスポーツ領域でやるのかというところをまとめてみた。
手法にこだわっているわけではない
開発中のmimook(ミムック)はユーザーが自身の使用しているスポーツアイテムを投稿して、他のユーザーがそれを参考にスポーツアイテムを探したり買ったりできるソーシャルマーケットプレイスです。
簡単に言うとスポーツアイテム版「WEAR」です。
資料とかにもここを結構フィーチャーして書いていたりするので、「これやりたいだけでしょ」と言われてしまうこともまあしばしば。
だけど、これこそが「小売難しい」とかって思うところの解決策だったりするので、全くもって手法にこだわっているわけではないです。
なんでそもそもスポーツ小売(製造も含め)が難しいと言われるのか
とはいえ、なぜこのカタチなのか、ということを説明するためにも、まずなぜスポーツ用品業界が難しいのか説明しておく必要があります。
スポーツ用品にはいくつかボトルネックになるポイントがあります。
一つは、「多次元的な需要構造」です。
スポーツ用品は、競技種目ごとに必要となる用品が異なります。加えて、競技種目をまたがって使える汎用的なアイテムと、対象の競技だけでしか使用しない(できない)専門的なアイテムが存在するという、競技ごと、品種ごとの根本的な需用量の違いがあります。
さらに各用品は対象の競技種目の人気・認知や年齢層、季節性、地域性などによる定性的な需用量の違いや変動もあります。
したがって現状としては、多品種少量生産とならざるを得ず、取られる手法としては品種を多く取り揃えて多売(大規模展開)するか、バーティカルに競技を限定して展開するかという二択を迫られる形となっています。
これらは製造領域だけでなく、小売領域においても同様で、顧客ターゲットをどちらに振り切るか、2つに1つというのが現状です。
もう一つのポイントとして、「高い販管費比率(特にマーケティング)」があります。
最初のポイントである「多次元的な需要構造」にあるようなことから、製造メーカーは特にマーケティングに力を入れており、販管費比率が非常に高い傾向にあります。
アパレルレベルまでとは行きませんが、ある程度トレンド的要素もあり、見た目的なトレンドと競技種目自体のトレンドという具合に、トレンドだけでも2軸以上の観点が必要となります。
最後に、「スポーツ用品としての性能」です。
製造・販売においてのポイントはトレンド的要素だけでなく、スポーツ用品としての性能も重要で、トレンドや性能などを網羅し、多次元的な需要構造にも対応するために、製造小売(SPA業態)のメーカーが強く、小売領域だけをカバーするだけではグロースしないという特徴があります。
僕が考えているスポーツ用品業界の問題意識としては大きくこの3つです。
ポイントとしては、「どこに(誰に)何を売るのか」という戦略的な点と、「いかに効率的に需要を感知するか」という販促的な点の2つが鍵を握っています。
課題を解決する方法論としてのmimook(ミムック)
前述したスポーツ用品業界の課題点を解決する方法として、mimook(ミムック)では表面的にはスポーツアイテムを通したコミュニケーションプラットフォームという体を取っています。
表面的にスポーツアイテムを通したコミュニケーションツールとしての形を提供することで、各ユーザーの投稿から「ユーザーが実際に使っているもの」と、それに対するユーザーの反応から「ユーザーが興味を持っているもの」を顕在化させ、売るべき商品を炙りだすことができます。(需要の可視化、攻めるべき領域の特定、マーケの効率化)
また、投稿から直接購入ができるようにすることで、ユーザーの購入意欲を逃さず、機会損失を減らすことができます。(欲しいと思ったものがすぐ買えるユーザビリティ)
さらに、積極的に現役選手などをプラットフォーム内に招待することで、専門家としてのスポーツ選手の使用している用品も公開・販売することで、ファン層や競技レベルの高いユーザーなどの需要にも対応していきます。
※平昌オリンピックで金メダルをとったスピードスケートの小平選手の使っていたサングラスと同モデルがとても売れていたり、マラソンの大迫選手のシューズと同モデルが売れていることからも、選手が使っているアイテムに対して興味を持って購入まで至るユーザーがある程度いることがわかります。
スポーツアイテムを扱う真の目的
ここまで業界の課題点に対する解決策としてのmimook(ミムック)を説明してきましたが、僕が本当にやろうとしている本質の部分はここから。
それは、「社会に対するスポーツ選手の価値の再提案」です。
今日本でスポーツ選手として生活をしている人たちは、企業とスポンサー契約を結んで活動する、いわゆるプロ選手と、特定企業の社員として活動する実業団選手がいます。
どちらにせよ、選手は企業の顔、広告塔、イメージ・ブランディングの一役を担います。経営者の個人的な想いから選手に投資することもありますが、スポーツ選手への投資の回収という意味では数値化が難しいものです。
そういう意味でも、現状ではスポーツ選手への投資というのはお金がある企業しかできない活動になっています。
そのため、スポーツ選手へのお金の出所は限られてしまい、結果的にスポーツ選手として生きていける人も限られてしまいます。
ですが、スポーツ選手への投資に対する費用対効果の効果の部分がきちんと数値化されて、目に見えるカタチとして現れれば、もっとスポーツ選手に対してお金を出す企業も増えると考えています。
そこでmimook(ミムック)では、一般ユーザーの他に、一定の競技成績を持つ選手を招き入れ、彼ら彼女らの使用しているアイテムも公開してもらうことで、そこからの購買成績を数値化して可視化するとこで、「この選手ならこのアイテムがこれだけ売れる」という誰にでもわかりやすい効果が提示できます。
これが提示できれば、mimook(ミムック)プラットフォーム上で企業も選手にお金を投下して物を売るモチベーションができ、結果的にスポーツ選手にもお金がより回る仕組みができると思っています。
これがスポーツアイテムを扱う一番大事な点です。
スポーツ選手の費用対効果を具体的な数値として社会に提示し、より多くの選手にお金が投下される仕組みを作る。これなんです。
僕はもっともっと多くの優秀な選手が、プレーヤーとして生きていける世界を作りたいです。すごい優秀なのに競技生活を諦めなければならない人を多く見てきました。
だからこそ、選手にお金が回る仕組みを作りたいのです。
最後に
この事業やビジョンに興味のある人で、プロジェクトに参加したい方も募集していますので、僕のツイッターにDMを頂ければ幸いです。
そんなこんなで、mimook(ミムック)についてまとめてみました。
がんばろっと。