がんサバイバーはどう生きるか?
日本臨床倫理学会のシンポジウムにて血液内科医師の講演を聴いた。
その中で僕のがん種である慢性骨髄性白血病が紹介された。このがんの治療法は2001年の冬に新薬が登場し劇的に生存率が向上した。
僕が罹患したのは2001年夏。
当時は骨髄移植かインターフェロン投与がメインであった。僕自身も当初は骨髄移植に賭けようと考えていた。
そして、治療法について調査した。
製薬会社に所属していたことは幸運であった。その結果、この治療選択にはリスクとベネフィットを検討する必要があることを知った。
骨髄移植が成功すれば長期生存が見込まれる。移植に伴い30〜40%の確率で早期死亡する。反面、インターフェロンでは長期生存の可能性は低いが治療により死亡することはほぼない。
講演した医師のスライドは僕が当時毎日のように眺めていたデータそのものであった。
血液内科医も治療選択における苦悩があったことを知り喜びを感じた。僕は全て自分で調べ自分で決定した。互いの苦しみをシェアし一緒に考えてもらえたらどんなに助かっただろう。
僕は生きる目的を考え、そして、そのために何年行きたいかを決めて治療方法を選択した。
このことは講演でいつも話しているがもう一つ検討したことがある。
それは治療後にどのような生活を送っているかだ。今から思うと、生存年数とQOLについて検討したことになる。
ちなみに僕が選んだのはインターフェロン投与。
親戚や友人からは骨髄バンクに登録することを懇願された。悩みに悩んだ意思決定である。心を揺さぶられたくなかった。
その後、転勤に伴い転院することになったが移植をあまりしていない病院を選んだ。
そして、運命の出逢いが起きた。患者の思いを汲み取った医師から丁寧な説明を受け、分子標的薬への変更になった。
期待の新薬に変わるから良いように感じるが、ここでも大きな意思決定が必要であった。
この医師への信頼により迷うことなく選択が出来た。
今も通院するとこの病院では、新規採用職員研修として講師を務めている。
今年は今回書いた当時の思いを整理し伝えることにする。
この学会に参加することにより様々な考え方に触れることが出来た。
医療・介護におけるステークホルダーが多数参加し議論するともっと深みを増す。
サバイバー仲間の皆さん、来年は一緒に日本臨床倫理学会に参加しましょう。
医療者のジレンマを知ることにより視点が変わる。
そして、患者のジレンマもシェアしよう。
しあわせです❤️感謝
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