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【#一日一題 木曜更新】 鯛の話かと思ったら

山陽新聞の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字程度で書き、週に1度木曜日に更新します。

今日の特売は天然鯛。大きなのが一尾480円。鯛は骨がかたくて私の包丁では難儀なので、魚屋のおいちゃんに三枚におろしてとお願いした。「これは焼き物煮物用だけど、三枚で(いいの)?」と言われて、そこで初めて「加熱用」と書かれたプレートが目に入った。目はぴかぴかでうろこもしゃっきりしていて、なぜ加熱用なのかと疑問に思ったが、それ以上は聞かずに「三枚でいいです」と伝える。

あ、そうか。焼き物にするなら二枚おろしの方がよいのか。背骨のまわりについた身がもったいないもんね。子どもの頃、北海道の実家でよく食べたホッケの開きは背開きで、焼いたホッケの背骨をするりと取り、香ばしくなった身を骨からぺりぺりとはがして醤油をぽとんとたらして食べたっけ。ぼんやり昔のことを考えていたら「アラはどうする?」と聞かれ「頭だけください」と答えた。

二枚の切り身と二つに割った頭をポリ袋に入れてもらい、さあ今日はこれをどう調理しようかと考えなら家路につく。

料理家松田真枝さんの魚の脱水方法で、鯛の切り身の臭みを抜く。松田さんのnoteでこの方法を知ってから、私の魚料理は激変した。魚は「新鮮であればよい」ということでもないのだと、毎度魚から出た水分を眺めて思う。冷凍赤魚の開きのような、臭みを覚悟して食べるような魚でも、砂糖と塩の脱水でずいぶん味がよくなるとわかり驚いた。

さて脱水してぴかぴかの鯛。今日は切り身を焼き物に。表面に味醂と味噌を混ぜたものをうんと薄く塗って、皮までさっくりこうばしく焼いた。

切り身の大きさに差があり、大きなものをむすこの席に置いた。それを見て娘が「大きいのがいい」と言い、二人にじゃんけんを促し、娘の勝利で解決。私が息子の席に大きな切り身を置いたのは、男性優位の考えでもなんでもない。単に彼が「我が家で一番カロリーが必要な人」だからである。

焼肉屋の女性半額料金の話が、生活保護や電車運賃、給料の話にまで飛び火していた。男女の仕方のない物理的な性差を、「格差」という言葉にすり替えて正義を振りかざしている人に最近SNS上でよく遭遇する。体の物理的な違いにまで損得をあてはめて憤るなら、その人はもう人間をやめたほうがラクではないかなんて考えた。

そして何より、民間企業の裁量による単なるサービスと公の制度を混ぜっ返して喧嘩をしている人たちは、一体どういう了見なんだろう。相当な馬鹿なんだろうか。





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くにとみゆき(牡蠣ミユキ)
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