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【#一日一題 木曜更新】 納豆

山陽新聞の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字程度で書き、週に1度木曜日に更新します。

最近、好みの納豆が見つからない。

食の好みの変化なのか、体調のせいなのか。これまで毎日のように食べていた納豆に違和感を抱くようになった。納豆を食べていればきっといろいろ大丈夫と思い込んでいる身としては由々しき事態である。

大豆のにおいがみょうに鼻につく。鼻腔を抜けていくにおいがどうも不愉快で、ごはんと合わないように感じる。そしてにおいのほか、大豆の柔らかさをぶつぶつと誰かに訴えたくなってしまう。手軽に買える納豆、最近どれもこれもずいぶんとへなちゃこで柔らかくない?

柔らかい豆、歯ごたえのある豆、大きい豆、小さい豆。納豆とひとことに言っても、商品によって豆の大きさやかたさは違って、舌でつぶせるような柔らかいものから、もぐもぐと咀嚼しがいのある存在感のあるものまでさまざま。国産とカナダ・アメリカ産の違いもあって、どちらかというと国産大豆の方が歯ごたえがある。

最近のわたしは、どうやらかための納豆が好きらしい。

先日、出先でずいぶんと納豆の品揃えが充実しているスーパーマーケットに遭遇した。おかめは定番。珍しい4連パックがあった。はなかっぱはかわいいけど柔らかすぎる。でもまあ、おかめはどこにでもあって安心のおかめ。わお!北海道くめ納豆!これは珍しい。買う。九州甘しょうゆたれ。ほう、初めて見た九州の納豆。甘いたれはノーセンキュウだけど、豆がどんなもんか気になる。買う。そんな感じに、北から南までラインナップが充実していて楽しかった。

それにしても、ふわ、とろ、やわらか、と。どうも世間ではやはり柔らかくて口当たりの優しい納豆のニーズが高まっているらしい。けしからん。わたしはかための納豆に濃口醬油をぶっかけてもぐもぐしたいのだ。

なんてことを考えつつ、買ってきた納豆を順番に食べた。うーん、くめ納豆の懐かしさに少し機嫌がよくなったけれど、やはりどれもこれも「明日の朝は納豆ごはんにしよう!」と胸が高鳴るほどの味ではない。

そんな顛末を遠方に住む娘に電話で話したところ、「お母さん、いつも暑くなると納豆がおいしくないねえって言ってるじゃない。夏が近づいてるのよ」と言われた。

そうか、夏か。
いつも共に納豆を食べていた娘がいないので気が付かなかった。

娘不在の、初めての夏が近づいている。


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くにとみゆき(牡蠣ミユキ)
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