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【1分で読める500字コラム】効率の悪い、シゴト
前クールのドラマ「書けないッ」をご覧になった方、いらっしゃいますか。 北村有起哉さん演じるプロデューサー・東海林光夫が、小越勇輝さん演じる若手脚本家・如月翔にはなったセリフ。
「発注にこたえるのがプロの脚本家なんだ」
テーマに興味がないと嘆く脚本家に、新人が何を言う、お芸術こいてる場合ではないと東海林がたしなめたのです。プロなら発注を受けたからには、お客さまのオーダーに応えて出稿しなければいけません。
そして先日のドラマ「俺の家の話」の余韻で、久々に宮藤官九郎さんのエッセイを読みました。
宮藤さんは著書の中で、「前ほど、『脚本家になりたいんですぅ』と若い人に言われなくなった」と。脚本は俳優が喋ってくれてナンボ。そのために二重三重のチェックが入ります。やり取りは多いのに、そのくせ作業は孤独。SNSで手軽な「イイネ」に慣れた若い人には、脚本家は職業として効率が悪いからじゃないかと、宮藤さんは予想しています。
苦労した先の充実感や喜びより、手軽な承認欲求。耳が痛い。
私が仕事を外注するとき、初めての人の場合はオーダー内容やトンマナに合わせて赤字を入れます。そして、ときにはそのチェックの理由も記します。「なぜ直すのか」と、理由を知りたがるひとが多いんですね。そうしないと、初稿の戻しで赤字にへこたれてトンズラしてしまいがち。
インフルエンサーではない人が、ライターになって文章を書いてお金をもらうには、地道で地味な作業が避けて通れないのです。これもまた、もしかしたら効率の悪い仕事の類に入るのかもしれません。
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