第16回 映画『イコライザー』を語る!!〜白と黒の間に大きく広がる"グレイゾーン"を肯定することの意味とは。現代の私たちを覆うこの大きな不安や闇は、私たちを私たちたらしめてくれる大事な存在と思えた時、世界が変わる。デンゼル・ワシントン a.k.a ロバート・マッコールの「葛藤」のススメ、3部作完結!!(ジャニーズ問題も少々)
くに:ついにview数1000突破しました!!!!!!
たけ:始めて3ヶ月くらいかな?やったねー。とにかく1人でも多くの人に観てもらえるのが嬉しいね!!毎回4000字近く書いてるから、読んでくれる人いるかな〜と思ったけど、どうしてもこのくらいのボリュームにしないと伝えたいことが伝わらないと思うんだよね。引き続き楽しんでやっていきましょう!!
くに:なんと『福田村事件』の回を水道橋博士が見てくれたみたいで、、、。
たけ:はい、、、個人的感想としてあまり良い内容ではなかったと言ってしまったんだけど、なんとライクしてくれた、、、(汗) 博士ありがとうございます!!(泣) 個人的には真剣にこの映画と向き合ったつもりなんだよね、もしかしたらそれが伝わったのかも、わからないけど。。。。
くに:マジびっくりした。まさか出演しているご本人に読んで頂けるとは。凄い励みになった!続けてきて良かったーって思うよね〜。それを励みにして今回取り扱うのはデンゼル・ワシントン主演の『イコライザー』です!!1と2はお互い見てるんだけど、たけは3をまだ観れてないんだよね?
たけ:俺の住んでる地域の映画館で上映していないのです、、、。なんでやねん!!でも評判聞いてると、もう面白いのは決定のようです!くにはもう観てるから、一切情報言わないでよね!という前提で進めて参りまよー。でも今さ、youtubeで冒頭10分だけフリーで流れたりしてるじゃない?ほんとは観たくないんだけどさ、そこにあったらそりゃ観ちゃうよね、、、。なので、1と2のストーリーをベースにして話していきますよー。まず、1のあらすじ↓
かつてCIAの辣腕エージェントだった男性は、引退して静かに暮らしていた。そんな中、彼は行きつけのカフェで年若い少女が娼婦としてロシアのマフィアから虐待されていることを知る。その事態を見過ごせず、正義感から怒りを爆発させた彼は、マフィアに敢然と立ち向かう。
くに:基本、このプロットが土台になって、とにかく許せない奴らをかたっぱしから始末する最強の男の話です。観た後の爽快感がここまでハッキリとした勧善懲悪映画を取り上げるのもどうかと思ったんだけど、イコライザー観てて「あー楽しかった!!」で終わっちゃなんかもったいないというか、足りないと思うんだよねえ。主役のロバートマッコールさんは、もう勝てる人いないんじゃないかっていうくらい無敵の人なんだけど、その強さだけじゃなく、この人自身が抱える闇みたいなものが凄い際立ってるじゃない?
とても純粋な正義のヒーローとは言えないよね、不眠症だったりなんでも時間計ったり、やっぱり闇を抱えてる人物であることに何か考えるきっかけがあると思うんだけど、どうよ??
たけ:そうだね、それはある。マッコールさん見ていて思うのは、「迷い」や「葛藤」や「罪悪感」が常に付きまとっている人だよね。1で、昔CIAで一緒に仕事をしていた友人に会いにいくよね。その会話の後から悪の抹殺がさらにブーストするわけだけど、「正義心からとろうとしている行いがある側面から見たら悪である」という、矛盾の中に常にいる人なわけじゃない?だから、単なる勧善懲悪感が俺には感じられないんだよな。やっぱりそこがこの映画の醍醐味なんだと思う。つまり、自分は良い人間か、悪い人間かわからない。その葛藤がずっとつきまとう人間である。でも、実はその葛藤している事そのものが、その人は本当の意味で悪ではないという事を担保しているんじゃないか。自分は完全に良い人間です、と言い切る人を果たして信用できるだろうか、多分できないよね。悪というのは「自分自身の存在や行いについてある意味迷いがない存在」なのかもしれないと思った。自分には悪の部分があるという自覚がある人の方が信用できるじゃん。これ、全ての人間に言えるあるべきスタンスなんじゃないかな?
くに:あまりに強いから、マッコールさんが勝つか負けるかはこの映画の醍醐味ではないよね。悪党退治をする過程におけるマッコールさん自身の心の葛藤がまさに心に響くんだろうね。ジョン・ウィックにはこういった描写ないよね(笑)
たけ:そう(笑) ジョン・ウィックは、いかに一方的に、いかに先手を取って相手を殺すかにおいての描写のフレッシュさが面白い映画だから!あと、もう一つ思ったのは、物事を白黒ハッキリさせることに意味があるのか、ということ。よく「人は見た目で判断するべきではない」という、思っきりテンプレかつ使い回されたフレーズあるじゃん。イコライザーは、一見フツーのおじさんが実はとんでもなく強かった、という男の話だけど、そこから個人的に考えたのは、結論「人は見た目に表れる、でも見た目ではわからない部分がほとんどである」という事だと思うんだよね。人は見た目だよ!いや、人は見た目じゃないよ!という二項対立になりがちじゃない?でもこのバトルはナンセンスだと思っていて、どっちもありえるよって思うわけ。だから、さっきの善と悪の話にもつながるけど、1人の人間だったり、1つの物事について明確にこうだと言い切れることってほとんどないんじゃないかなっていうことだよね。もっと言うと、アンビバレントな状態を認めるべきなんじゃないかな。つまり、そこにはハッキリしない領域があるべきなんだと。
最近のジャニーズ問題にも少し関係するけど、ジャニー喜多川がやったことは許されないことだけど、ジャニー氏のおかげで今の自分がある、と思っているジャニーズの人もおそらくいるわけだよね。その気持ちは共存しちゃ駄目なのか?といったら俺は良いと思う。(再度言うけど、ジャニー氏の性犯罪は許されることではないです!!)
くに:この話聞いていてすごく思うんだけど、そのはっきりしない「宙吊りな状態」に耐えられる人が少なくなってきてるんじゃないかな〜と思うんだけどどう?何かハッキリした状態でありたいという欲求がすごい強まってるような気がするんだけどさ。
たけ:例えばどんなケースがある?
くに:「安定した仕事に就きたい」だったり「将来が不安だ」って多くの人が思うわけじゃん。ロジック的に考えれば、将来のことをいくら考えてもわかるわけないから、将来にわたって安定するものもわかるわけないのに、この「安定したことへの願望」や「まだ来ていない将来についての不安」がものすごく世界を覆っているよね。
たけ:そうだねえ。普段仕事とか生活してても、ハッキリとした回答を求められることが多いよね。もちろん、仕事においては決断をしないと先に進まないからそれはしなきゃいけない事なんだけど、ハッキリしない事をハッキリしない状態で置いておく事を許容される場面って、あまりないかもね。だから、ハッキリしたものを求めたくなるのかもしれない。でも、葛藤や不安から逃れることって無理じゃない?だから一生つきまとうことであり、それを受け入れなきゃ駄目なはずだよね。マッコールさん見ててすごい思う。ある側面から見たら心を病む原因になる「不安」とか「ハッキリしない気持ち」というものが、実はその人の人間性を担保しているっていうこと。だから、「不安そのもの」にはいろんな側面があって、それを一生抱えて生きる存在として人間みんな「イコライズな関係」であって、それを抱えない好き放題やる人間達が誰かを傷つけていく、そしてマっコールさんの逆鱗に触れ消されていく、という映画が『イコライザー』なんじゃないかな。
くに:不安を抱えて生きるべきだけど、それだけだと耐えられなくなってしまう。不安を時折受け流してくれる場所、友人、家族が絶対に必要で、そのグラデーションが人生なんだよっていう描写もちゃんと描かれているよね。だから、アクション映画っていうジャンルにとどまらないなーっていうのも同時に思った。だから、特に3はアクション映画というよりも人生映画みたいな印象だったよ!日本版タイトルは「ファイナル」ってなってるけど、4が作られることになったらどーすんだ!って思うくらい、どんどん続編が観たい映画だね!!今回もありがとう!!
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