お米の炊き上がりの話
私はお米が大好きだ。
どのくらい好きかと言うと、冷めたご飯をおかずにあったかいご飯を食べられるくらい。
冷めた、と言ってもカピカピになっているやつではなく、あくまでお椀に盛ってから“冷めた”やつだ。
米好きだからといっても、食べ比べをして品種がわかるとかそういうんじゃない。品種は全然わからん。どのくらいお米の種類があるのかも、実家が自分ちように作ってる米がなんの品種なのかも良くわかっていないから、その辺に関してちんぷんかんぷんの人間が書いている。
いつかお米大好きな人と“各々ベストなおかず”を持ち寄ってお米を食べる会をやってみたい。
私は
・鮭フレーク
・ハム(お高いやつではなく安い市販のやつ)
・納豆
・梅干し
・明太子
あたりだろうか。穂先メンマとか野沢菜とか柴漬けもいい。柴漬け良い!
さて、実はこの度嫁ぎ先の“米研ぎ権、及び炊飯権”を得た。結婚して九年目、とうとうこの日がやってきたわけだ。
というのも、嫁ぎ先の義理の両親とは完全同居であり、義母は家事をやってくれるスーパー義母である上、夫の好みが硬い炊き上がりの米であるためこれまで何度か毎晩の米研ぎと炊飯を申し出ても翌日には義母がやってくれていて機会を失うことが多かったからだ。
私はフルタイムで働く社員であるし、子どもの世話で毎晩キーッ!っとなっていたからかもしれない。ありがとう義母。
しかし今回は違う。
私が研いだ米をボウルに入れたまま水を吸わせて置いておいたやつを義母はそのままにしてお勝手から離れてくれるようになったのだ……!これまでだつたら、そこまでやってあったら義母が炊飯器にセットしてた流れが完全に変わったという揺るぎない現実。私はショーシャンクの空に、ばりに天に向かって両手を掲げた(気持ちの面で)。
夫に「もう少し柔らかく炊いていいか」と許可を取り、米をセット。炊飯は米研ぎから始まっている。
やり方とか正しいものがあるのだろうけど知らない。ただ実家でたまに米研ぎを手伝っていた小さい頃、母に言われた「研ぎすぎると美味しくなくなるよ」を覚えていて、その後も米好きが昂じて米がうまかった寮のご飯の料理を作ってくれていたおばちゃんに炊き方のコツとか教えてもらっていた知識を生かして米を炊くことにした。
我が家は5号炊きの炊飯器だ。
嫁いできた当初、ガス式の炊飯器で戸惑ったのを覚えている。
炊き上がるのめっちゃ早い(15分くらいでたける)。でも保温機能が無いから食べる都度レンチンしており、炊き上がりを入れておく器もなかったからカピカピになっていくのが悲しかった。起きてガスの元栓を開け、ライターで火をつけるのが慣れるまで怖かったのをよく覚えている。……火を起こして窯で炊いていた先人たちに怒られそうだけど、どうしてもあったかいご飯が食べたい私は炊飯器にしないか、と交渉して結婚二年目に入る頃炊飯器を買うことに成功したのだった。
そして米研ぎだ。
我が家には義父母、夫、一人の就学児、二人の未就学児、そして私がいる。
義父母は残りご飯をメインにお粥にして食べている。だから炊き上がりがいくら硬かろうが関係なく、柔らかく消化に良いご飯を食べている。
問題は私と子供達だ。
米、硬すぎ問題は割とずっと気になっていた。
と言うのも、実家で自家用の米を作っていた関係で私は美味しいお米を知ってしまっていた。(嫁ぎ先は田んぼの所有が無く、買ったお米を食べている)
米──。
日本人の主食、欠かせない存在。
主に実家では父が田んぼの管理を気にかけて来た。雪が消えたら田おこし、それから田植えの時期になれば水を引き、我田引水という言葉があるように水流が下の家に水が渡らないと言うことがないように、調整された水をそれでも管理しに、仕事の前、帰宅後、ちょくちょく水を見に行っていた。
田植えが終わっても水の管理は続いていたし、病気が入って稲がダメになっていないか定期的に見ていた。
稲刈り前に水を止め、田んぼを乾かす。
その時期台風シーズンで稲が転ぶと機械が入って刈ることが難しくなり、せっかく乾かした田がぬかるんでしまうと気を揉んでいた。時々田のあぜが抜けてしまうことがあり(土砂崩れのように土が流れ落ち、そこに植えてある稲ももちろん崩れ落ちる。台無しである)、上に土地のある田が崩れて来てもまたウチの田んぼが土に侵されダメになり、ひどく父が落胆していた。きっと家を出た今もそういう自然とのやりとりで日々一喜一憂が続いていると思う。
田植えはそんなに手伝った記憶は無いが、稲刈り、稲こきは結婚直前まで手伝った。実家はコンバイン式の稲刈り機ではないため、刈って束になった稲穂がとりあえず田んぼにどんどん置かれていく。それをあぜかけといって組みたてられた稲を天日干しするための干し竿にかけていく。機械で刈り取れなかった箇所を鎌で刈って藁で束にしてこれまた自分でかけていく。そう言う手伝いをしていた。
からりと乾いた時期、バッタやトンボがそこかしこにいて空が高くてどこまでも気持ちが良かった。刈り取った束をまとめる量や縛り方に個性が出て、当時健在だった祖母はレベルが違った。やはり機会が無い幼い頃からやってた歴戦の師であった。藁使いもプロであった。なぜ千切れずロープでも使うみたいにできたのか。少量の藁と藁をつなげて簡易的なベルトを作り、それに稲を束ねるための藁を刺して歩いていたあのかっこよさ。忘れられない。
刈った稲は半月ほど乾かした後、稲こき機にかけてもみと穂をわける。それが一番大変だった。
作業自体はシンプルだったのだが、とにかく埃まみれになるのだ。終わって鼻を噛むと真っ黒な鼻水がしばらく続いた。鼻うがい的なことを水でやったきがする。終わってから浴びるシャワーが気持ちよかった。機械の管理、あぜの組み立て解体、重い稲の運搬一式をこなす両親、主に父親がすごく頼れるなと思った。
脱線したけれど、実家ではかくして稲を作り、食べていた。
新米と呼ばれるその時の米は色ツヤからして違う。見てすぐにわかるし、食べて「今日新米?」と聞くと大体当たっていた。そのくらい違う。
実家は米がうまかったのだ。
ふっくらもちもちで水分多めに炊き上がったつやつやのお米が常に出て来た。それは子どもにも顕著なようで、週末のたび遊びに行く実家でいつものようにお昼を食べていたら長男が言った。
「ご飯おいしい」。
実家でお米がでるとほぼ完食する子どもたち。いやいや家でそんなにご飯食べないじゃん? ということはご飯さえ美味しく炊けたら、食べるのか?
と言うわけで数年かけて築いた信頼(?)とかそういうのもあり、実家のご飯のように柔らかいお米を炊くため、炊飯の日々がスタートしたわけである。
嫁ぎ先の米は買っていると先述した。
新米かどうかはわからない。
そうするとセット時の水分量がカギになってくる。私は日々4号を炊いているが、最初水を入れてすぐ捨て、一度研いだらその研ぎ汁を捨てる、もしくは捨てないで水を吸わせて置いてからセット前に吸わせた水を一度捨て、目盛より少しだけ多めの水で予約炊飯するようにして調整している。たぶん実家の米だとこれでは柔らかすぎる炊き上がりなんだけど嫁ぎ先は違う。だから米が古米なのかもしれないと思っている……。去年のか、それとも一昨年のか。いずれにせよあるもので勝負するしか無い、美味しく炊くための戦いの火蓋は切って落とされたわけである。
稲刈り前の田んぼが黄金色に輝いて、風に揺られてきらきらと光るあの光景が好きです。
稲は私たち日本人を象徴してるなと思う時がある。目立たないけど、まとまっていて、群衆の力というか。民族の在り方がそのままそこにあるように見えるというか。
諺も好きなものが多い。
“実るほどこうべをたれる稲穂かな”
“鷹は飢えども穂は摘まず”
きっと他にも素敵な稲穂にまつわる諺があると思います。ぜひ、教えて欲しいです!
米が好きすぎて子供に稲穂にまつわる漢字も使った。この度のマックのハッピーセット(2024.3冒頭現在)で一日おこめという絵本を扱ってくれたおかげで子供たちも稲に関して興味が湧いたようでよかった。ありがとうマック。
昨年は長男が初めての鎌を使った稲刈りに挑戦させてもらい、実家の両親とあぜ道で休憩するあの至福を体感させてもらえて私も感無量だった。同じ場所で私もよく晴れた秋の日、祖母と藁を敷いてポカリを飲み、クリームパンを食べた思い出が蘇った。逃げ遅れたイモリを捕まえて飼ったりもした。(余談ですがイモリめっちゃ可愛い。動きがスローなのがいい。顔が両生類仲間のカエルとほぼ一緒。ヤモリとかトカゲは早すぎるからちょっと怖い)
三千文字も書いてしまった……。
最後まで謎の米文章をお読みくださった方、ありがとうございます!
美味しいお米の研ぎ方、炊き方、できたら昆布とか入れないお水と米と炊飯器だけの炊き方があれば教えて欲しいです!
私と米とそれから田んぼについてお読みくださりありがとうございました✨
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