■初心者でもわかる強みの上手な使い方〜第3話「強みを使うのをやめる」
クニです。
このシリーズでは、発掘した強みを上手く使っていくために『強みをうまく使えない理由』『強みの上手な使い方』について全3話でお伝えしています。
前回の記事はこちら
第1話「態度が悪いと強みを上手く使えない?!」
第2話「"できてしまう困難"で強みを発揮する」
前回までの記事では、
強みはどうして上手に使えないのか?態度が悪いからである。
ではどうやったら上手に使えるようになるか?困難だけれども、努力をすればできてしまう分野の強みから最初に使うんだ、それから成果や貢献をベースにどんな強みを使ったらいいか考えると良い。
・・・というところまでをお伝えしました。
ところが、そうやって強みを使っていっても、せっかく発掘した強みが使えない、というようなことは良く起こります。
それはどんな時で、どのように克服したら良いかということを、今回はお話していきます。
■『自分をすごく見せる強み』を使うのをやめる
強みの中には、『二次的強み』とか『逆次的強み』といった種類の強みがあります。
これを使うのをやめてみましょう。
二次的強みというのは、本来自分が得意というわけではないけれども、周囲に合わせ、社会的にうまく生きるために無理矢理自分を活かしている、という意味です。
無理矢理の活用なので、自分の本当の生き方、ルートからは外れています。
外れているけれど、社会的にうまくやるために使われる強みが二次的強みです。二次的強みを使えば社会的にうまくやれるので、結果、他人からは評価されるようになります。
一方、逆次的強みというのは、世界を諦めてしまった人の物の見方に基づいた強みです。
逆次は、両親から認められずに育った人に多い、物の考え方です。他者から愛されないことが前提になっていて、「お父さん僕を認めて、お母さん僕を認めて、僕すごいでしょ、褒めてよ認めてよ」そういった心理が根底にあった上で、自分をすごく見せるような強みを構築して、使います。
二次的強みも、逆次的強みも、自己満足を満たすために使われている強みです。
結局は、「自分のすごさを証明したい」という目的で使われているんですね。
二次的強みや、逆次的強みでなくても、自分のすごさを表現するため、他者から褒められるために使われている強みというものは存在します。
何らかの成果を上げていれば、一定数の人から「強みを使って成果を出し続けるって、すごいね、素晴らしいよ!」と褒めてもらうことができますので、二次的、逆次的ではないにしても、成果の出る強みを使い続けることになります。
ところが、これを使い続けていくとどうなるか。
端的に言うと、「このままでいいんだ」と思ってしまうんです。
同じ強みを使って、同じ生き方をして、同じ成果を出して、また同じ強みを使って、同じ生き方をして・・・ということを繰り返しながら生き続ける。
精神がまっとうであれば、いつか、何年か経ったら、「このままでいいのかな・・・」と思うようになります。
でも、そうした思いが出てきても、今までそれで成功している、うまくやってきた、体系も整っているわけですから、つい、やり続けてしまうのです。
ですから、今使っている強みに頼り続けることで、その他全ての強みが使われず、死んでしまう。
これが、せっかく強みを発掘しても使われない、一番最悪の理由です。
さきほども触れましたが、逆次的強みや二次的強みでなくても、あなたが至極まっとうに使っている強みであっても、こうしたことが起こり得ます。
同じことを繰り返してしまうというのは、悪いことではありません。
世界を狭め、その世界で強みを使うことを繰り返せば、成功率はほぼ100%です。
新しいことをやれば、途端に成功率は落ち、「うまくできなくなる・・・そんなのはイヤだ!」という、保守的で、自分を活かさない考え方が、最も強みを制約するもの。
仕事、趣味、あるいは家庭など、「いくつもの分野で既に成功しているのに、なんでまた新しい苦労をしなくちゃいけないの?」と思ってしまうと、途端に新しい強みを使う事ができなくなってしまいます。
発掘した新しい強みを使うには、既に前回までの記事にあったように、何らかの成果や貢献に対して、どうやって自分を使うか? 持っている強みをピックアップして使うわけです。
(第2話「"できてしまう困難"で強みを発揮する」参照)
これは大変な作業です。
「既に成功をおさめているなら、改めて新しい苦労をしょいこむことはないよね?」と考えてしまうと、発掘された新しい強みというものはどんどん使われなくなります。
ある強みがうまくいっているがために、別の強みを使わずに終わらせてしまう。
強みを使うことを最も阻害しているものが、実は『成功』だったりするんです。
ですから、二次的強みや、逆次的強みだけをやめるのではなくて、「既に成功している自分の強みをどうやめていくのか」ということを、考えていく必要があります。
■成功している強みはどうやめたらいい?
新しく強みを使うためには、既に成功している強みを使うことをやめないといけない。
じゃあ、どうやめたらいいのか、ということです。
突然やめるという方法もありますが、これはちょっと荒療治ですね。
突然やめても、一定の効果はあります。
強みを使うのを強制的にやめて「同じ方法ではやらない」と決めてしまえば、多少苦労をしながら、別の強みを使うしかなくなります。
ただできれば、強みを使って成功体験を重ねながらも、その強みを使うのをやめることをあらかじめプログラムしておくのがおすすめです。
例えばセミナーをやる、コラムを書く。
そうしながらも、セミナーやコラムで積み重ねていった実績、結果から、また新たなものを積み重ねる準備をする。
どうやって積み重ねようか、どの強みを使おうか、ということを考えていくと、元々使っていた強みからうまくフェードアウトできます。
新しく作っていかなければならない世界に対して、新しい世界を作り始めるもっと前の段階からプログラムをすれば、「じゃあ次はこういう強みを使わないといけない、こんな結果になっていかないといけない、心を入れ替えて、こういうやり方が必要なんじゃないのかな」というのがだんだんわかってくるでしょう。
「次はどういう強みを使おうかな」ということが掴めてきますし、それがわからないようなら、また強み発掘をして、次のステージに向けて駒を揃えておく、ということもできるわけです。
ですから、今使っている強みからフェードアウトして、次の新しい強みを使う準備を今からやる、始める!というのが、あなたがこの先うまく強みを使い続けるコツであり、秘訣になります。
■変化する強みを着替えながら使いこなす!
ドラッガーの理論の中に『70代になった音楽家が、ロシア音楽からフランス音楽に転向する』という話が出てきます。
なぜかというと、ロシア音楽よりもフランス音楽のほうが強みを活かすことができるからですね。
70代になってもそれをすることができます。
強みというものは一生もので、ずっと発掘ができます。
でも、発掘したからといって使わなければ、その強みは無いのと一緒。
備わらずに生まれてきたのと何ら変わりはありません。
ただしそれは、絶対使わないといけないということはなく、全部使わないといけないということでもありません。
強みは、その時期をうまく過ごすために使われるべきものです。
私たちは年々、歳をとります。
20代と40代と60代とは、同じ人間でありながらも、考え方、付き合う人、同じ人とお付き合いがあったとしても付き合い方、すべてが違います。
人間は必ず変化し、成果も、貢献も変化する。
ということは、使う強みも変わってくる、ということなんですね。
それにも関わらず、「昔この強みで実績を得た、だから同じ強みで今を成り立たせよう」としているのであれば、それは古い人間です。
成り立たないものを成り立たせようとしているという意味で、強みを使えていない、ということになります。
このようなピンチに置かれると、人は二次に走ったり、逆次に走ったりする。
でも、そうやってピンチを脱出するのではなく、捨てる、新しいものを得ていくことが大切です。
新しい強みを使うことは、服を着ることにとてもよく似ています。
20代の時に似合う服や、20代にとって良い服。それから、40代の時に似合う服、良い服。同じ人であっても、この2つは全く別物です。
当然、服はその都度、その都度、良いものを選んで着ていきます。
古いものは捨ててローテーションされていきますよね。
強みも同じです。
その時その時で、ラインナップされている強みの中から、「これがいい、これがいい」と選んで使っていく。
それが強みの使い方の基礎中の基礎であって、何か1つの強みで「突出した成果を出した、やったぜー!」というのが強みの使い方ではない、ということをよく覚えておいてください。
大切なのは、進むこと。
成果をあげて評価されることが大切なのではありません。
それでも、強みというのは使われるに決まっていますから、どこでも成果は出せますし、評価されるに決まっています。
服をシーズン毎に入れ替えるように、強みを変化させながら使っていくことが当たり前の状態になると、強みをいつでも、当たり前のように使いこなせるようになる。
強みを使って前進するために、このようなやり方、在り方というものを、ぜひ習得してもらえたら嬉しいです!