中東情勢のアップデート10/9 コレクティブ・パニッシュメント
ガザ情勢、2023/10/09 20時02分時点でのBBCのまとめは以下の引用部分です (元の記事リンクは↑)
上記は簡単なまとめですが、日本語は以下。ざっくり翻訳ですが。
○イスラエルへの急襲で民間人数百人が死亡した2日後、イスラエル国防相はガザ地区の「完全包囲」を命令
○ガザからイスラエルへのロケット弾攻撃が続いており、エルサレムでは爆発音が聞こえる
○イスラエルはガザ付近のコミュニティを奪還したと発表 。しかし一部の過激派は依然として活動を続けている
○ハマスが土曜朝に攻撃を開始して以来、イスラエルでは700人以上が死亡し、その中には音楽フェスでの260人も含まれている
○イスラエル側は、この攻撃で数十人が誘拐され、そのほとんどがガザに連行されたと発表
○イスラエルが大規模な報復空爆を開始してから、ガザでは500人以上が死亡
###
まだまだハマスの攻撃は続いている様子。
双方の死者数が多すぎます。個人的にはその他にも色々な映像を見ましたが、お子さんを2人いっぺんに亡くし、2人が負傷、1人が行方不明のパレスチナ人の五児のお母さんのインタビュー映像を見ました。本当に痛ましかったです。そして、同じことがイスラエル側の民間人に対しても起きています。子供を誘拐されたイスラエル人の親御さんたちの会見もありました。今回はイスラエル側にも民間住宅への被害も厭わないほどの報復攻撃をする理由があるということになります。
イスラエル側でも様々なところがパレスチナの組織に攻撃されているわけですが、とりわけ目を引くのが、開催中の音楽フェスを武装集団が襲い、260人が死亡。誘拐された民間人も多いとか。もはや軍民関係なしの報復合戦に発展するのは必須です。
せっかくなので1つ、皆さんにぜひ覚えていただきたい英語の言い回しがあります。
collective punishment
お恥ずかしながら日本語に定訳があるのかどうかわかりませんが、集団的懲罰、とでも言いましょうか。イスラエル、パレスチナの緊張が高まっているときに英文記事で目にする機会が多い言い回しですので、これを機に頭の隅に置いてください。必殺技の名前っぽいのできっと覚えられます。
これは、軍事的な攻撃を受けた場合は、相手方の軍事拠点を目標とした報復攻撃をするという暴力-暴力 の等価のやり取りではなく、乱暴に言えば団体の誰か1人でもナメた真似したら周りの全員をまとめて懲らしめるぞ、という方法です。
ガザ地区では過去、このコレクティブパニッシュメントが何度も行われていました。例えばパレスチナ人の自爆テロ犯が犯行に及んだあと、犯人の実家を爆破(事前通告あり)して一族もろとも住む場所を失う結果になったり、ロケット弾を撃たれたら発射地点の他に、民間のインフラにも被害が及んでも不思議では無いかたちで報復攻撃を行ったり、ということになります。イスラエル側は「そこに⚫︎⚫︎の軍事拠点があるという情報があったから攻撃した」という発表をするのが定石です。実際にそれが本当だったケースもあるでしょうし、ガザ内での武装勢力の活動はゲリラ化していますから、一時的に民間の施設に身を寄せる武装勢力もいるでしょう。残念ながら完全な検証は難しいです。
というわけで今回はイスラエルの国防相がガザ地区の完全包囲を宣言しました。今やイスラエルと国交のあるエジプト側も、なんらかの形でエジプトとガザの国境に制限をかけざるを得なくなるのでは無いかと思います。完全包囲がある程度のレベルまで成り立ってしまうと、ガザを拠点とするハマスやイスラム聖戦などの組織以外の人々も兵糧攻めに付き合わされることになります。ヘイトの連鎖が加速しています。