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【忍殺二次創作】ソウカイヤvsザイバツ【第八話】

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◇8◇


「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
 遠距離からの鉄針攻撃とカラテ・バブルを徹底して行うブルーオーブとジャバウォック!
「フンハーッ!」
 それを連続側転し、何とかいなしていくインターラプター!

 インターラプターはカラテ・バブルの爆発を受けながらも多少の無理をして押し通る!
 ブルーオーブに接近!
「ハイーッ!」連続側転から着地そのままに、勢いを活かした裏拳!
「イヤーッ!」ブルーオーブはそれを腕に纏わせたカラテ・バブルにて受ける!
 衝撃が超自然のシャボン玉に吸収される!シャボン玉は割れることなく無事!

「イヤーッ!」
 ジャバウォックがそこに水面蹴りのアシスト!
「ハイーッ!」
 インターラプターはそれを小ジャンプでかわすと、そのままジャバウォックにエリアル・カラテ振り下ろし!
「危ねぇ、ジャビー!」
 空中にいればカラダチの危険はなし!ブルーオーブはトビゲリでそれを撃ち落とす!

「グワーッ!」
 吹き飛ぶインターラプター!空中で回転姿勢制御すると着地!
「いただきぃ!」ブルーオーブが追いすがる!
「フンハーッ!」
 しかし、ブルーオーブのチョップ突きは寸前のところで静止!カラダチ!
「バカ!」「グワーッ!」
 それを背後からジャバウォックが鉄針により阻害!間一髪!

「くれぐれもあの防御に気をつけろと言ってるだろ、オーブ!」
 ジャバウォックは手を休ませることなく鉄針を波状攻撃しつつ、脇が甘い相棒に忠告する!
「ヘヘ、悪ィなジャビー……やっぱ俺たちのコンビネーションは最高だよなぁ!」
 ブルーオーブは両手を上下に開くと、カラテ・バブルを再度生成!

「イヤーッ!」
 ブルーオーブは遠距離からカラテ・バブルを放出!
 インターラプターはそれを冷静に観察すると……「フンハーッ!」カラダチ!
 遠距離攻撃にそれは無駄なのでは?!
 しかし、カラテ・バブルはインターラプターに到達することなく、静止する!ヌンヌンヌンヌン!

「な、何ぃー?!」
 銃などであればカラテは込められていないが、この超自然のシャボン玉はカラテにより生成されたもの!
 その特殊なカラテ振動を読み取るのに多少時間はかかったが、読み切れば脅威ではなし!
 カラダチを解除してもシャボン玉はその場に静止し、インターラプターへ向かうことはない!

「ハイーッ!」
 自らのジツを破られ狼狽るブルーオーブに、インターラプターは強烈なローキック!
 膝で受けても膝ごと破壊されるほどの勢い!
「グワーッ!」ヒット!だがブルーオーブはその並外れたニンジャ耐久力でなんとか膝破壊だけは回避!

「オーブ!テメェ……イヤーッ!」
 ジャバウォックがボディチェックにてインターラプターを吹き飛ばす!
「イヤーッ」
 インターラプターは冷静に着地!

 さらにインターラプターはカラテを仕掛けるべく、構えをとる!
 だが、その時!
「ウ……ウウウ………」
 インターラプターの身体が、突如震え始める!
「し、心配していたことが起こってしまったか……ウウウーッ!」
 こ、これは……深刻なオハギ欠乏症だ!

「あいつ、なんだか分からないが苦しみ出したぜ?」
「なんだぁ?バイオインゴット不足か?」
「バカ!俺たちじゃあるまいし……とにかくチャンスだ!イヤーッ!」
 ブルーオーブが接近し、インターラプターにカラテを仕掛ける!

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」
 ブルーオーブの容赦ないコンビネーションパンチ!ジャバウォックのローキックからのハイキック!
 ほとんど無防備でそれを浴びるインターラプター!


◆◆◆


「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

 ドミナントのトンファーが、エメイシが、幾重もの光の筋となってパープルタコに迫る!
 パープルタコはそれを軟体カラテによって受け流し、ドミナントの腕を絡め取る!関節技!
「ヌゥーッ!」
 ドミナントは振りほどこうとするが、見た目に反する怪力!

「バカめ、俺にワン・インチのカラテがないと思ったか!」
 逆にドミナントは、パープルタコの身体をガッチリとホールドすると、ヒザをパープルタコの腹に当てたまま後ろ向きに倒れる!
 巴投げめいた動きから高速回転!
 これは暗黒カラテワザ、ヘルホイール・クルマだ!

「ンアーッ!」
 パープルタコは背中から投げ飛ばされ、地面に激突!
 いかに柔軟な身体を持つとはいえ、数秒は動けまい。「イヤーッ!」ドミナントが追撃を加えようと迫る!
「ウフフ、アカチャン!」
 パープルタコの瞳がどろりと怪しい色に光る。
 これは……パープルタコの奥の手、ヒュノプ・ジツ!

「しまっ……グワーッ!?」
 ドミナントの身体ががくんと脱落する。
 ドミナントはニュービーながらニンジャスレイヤーを追い詰めるほどの確かなカラテを持つ。
 だが、まだ若い。
 ニンジャスレイヤーに対し無意識の畏怖を覚えてしまったように、ニューロンの隅々まで期待するのは酷というものだ。

「シューッ!」
 パープルタコは触手をうごめかせ、カイシャクの粘液スリケンを放とうとする!
 だが、その時である。
「ウソ……」
 IRC通信から告げられたのは……『アイボリーイーグル、ブラックドラゴン戦死』の言葉。

「ア……アア……」
 ザイバツ・シテンノはニンジャとなる前からの親友。ニンジャとなってからも過酷な修行を共にした同門。師の裏切り後も苦楽を共にした、欠け替えのない仲間。
 後のザイバツ・グランドマスターたるパープルタコの唯一の欠点。
 この時の彼女は、自らのニンジャの師であるトランスペアレントクイリンの裏切りがトラウマとなり、メンタル的に脆くなっていた。

「アアアーッ!」
 パープルタコは慟哭する。ジツの集中が乱れ、ドミナントは解放される。
「ウググ……」
 頭を振り頭痛を抑えるドミナントは、怒りに震える。
「ゲイトキーパー=サンの前でブザマを晒した。何があったかは知らんが……死ね!」
 エメイシが指輪を支点に高速回転!プロペラめいた動きでパープルタコを貫く!
「ンアーッ!」

「イヤーッ!」
 心臓を狙ったエメイシ。それを辛うじて逸らしたのは、シャドウウィーヴ!
 しかし、エメイシの一撃はパープルタコの胸から肩にかけてを大きくえぐる!
(……マスター!マスター!俺に道を示してくれ!)
 師たるブラックドラゴンの死の知らせを受け、シャドウウィーヴもまた必死であった。

「弱卒が、邪魔をするな!イヤーッ!」
 トンファーの一撃がシャドウウィーヴを捉える!
「グワーッ!?」
(死は救いであるはず……だが、どうして……どうしてこんなにもブルタルで、無慈悲なんだ?ニンジャ同士の、美しさの欠片もない醜い殺し合い……ああ、夜よ!夜よ!)

 シャドウウィーヴのニューロンに、師の教えが反芻される。
(((人間らしさを捨てるのだ。私たちはニンジャになった。それを自覚するんだ、シャドウウィーヴ=サン)))
 だが、それは本当に正しいのか?
 道を示してくれる尊敬するマスターは、ブラックドラゴンは……死んだ。

 ひとつだけ分かることがある。
 シャドウウィーヴは、友の死に打ちひしがれるパープルタコ───もう一人の師が、悲しみと苦悩の中、死を迎えることだけは許せなかった。
(師よ、マスターよ!俺はパープルタコ=サンを助ける!俺に力を貸してくれ!)

「イヤーッ!」
 ドミナントがエメイシを投擲!
 エメイシは、青いエンハンスの光を纏ったままシャドウウィーヴの肩に突き刺さる!
「グワーッ!」
 なんというカラテか、『シックスゲイツの六人』にも引けを取らぬ!
「これでトドメよ!イヤーッ!」
 だが、ドミナントの身体は、何者かに捉えられる!

「GRRRRR……」
 それは、影から生み出された黒いドラゴン!
 影の竜は、ドミナントの腕を掴み、シャドウウィーヴへの致命的な一撃をなんとか留めていた。
「こ、これは?!」
 突然の乱入者にドミナントは困惑!
 ドミナントはカラテを振るいつつも周囲からのアンブッシュを油断なく警戒していた。
 だが、こいつはまるで、この場にいきなり現れたようではないか?!

「イヤーッ!」その隙にシャドウウィーヴはクナイ・ダートを投擲!ドミナントの影に突き刺さる!
「グワーッ!?」
 ドミナントの身体が痙攣し不自然な体勢で静止!
 相手の動きを縛るシャドウピン・ジツだ!

 ドミナントは反芻する。己のカラテに落ち度はあったか?
 否。であるならば、この致命的な状態は一体なんだ?
 己の信ずる師の教えを忠実に守った。ならばなぜ、眼前のニュービーニンジャは、トドメの体勢に入っている?!
「イィィィ……ヤアァァーーー!!」
 シャドウウィーヴのヤリめいた蹴りが、ドミナントを貫いた!
「サヨナラ!」ドミナントは爆発四散!

 己の鍛錬を信じたドミナント。己の理想を否定したシャドウウィーヴ。
 同じ初陣であった二人。同じく才能にあふれた若者。どこが彼らの生死を分けたのか。
 それは余人に判断されるものではない。
 今はただ、シャドウウィーヴが生き、ドミナントが負けた。それだけのことだ。


◆◆◆


「イヤーッ!」「イヤーッ!」
 ゲイトキーパーは致命的なアンタイ・ウェポンの一撃を辛うじてかわしながら、弟子……ドミナントの爆発四散を感じ取る。
(もはやここまでか)
 ゲイトキーパーはあるじたるラオモト・カンにIRCにて通信を入れる。

「考え事をしながらとは余裕だな!イヤーッ!」
 アンタイ・ウェポンの唐竹割り!それをステップ回避するゲイトキーパーだが、その一撃はオトリ!本命の蹴りが突き刺さる!
「グワーッ!」
 ダークドメインは身を翻し、アンタイ・ウェポンの突きを放つ!

「グワーッ!」
 どうにかトンファーでそれを逸らすが、ゲイトキーパーの腕は大きくえぐれる!
 ゲイトキーパーは、エンハンスしたトンファーによる鉄壁の防御を主体にするカラテスタイルである。防御が意味を成さないダークドメインは、最悪の相手と言える。

『ムッハハハハハ!ムッハハハハハ!』
 その時、スピーカーから聞こえるのは、何者かの高笑い。
「これは……ラオモト・カンか」
 トコロザワ・ピラーの壁が次々と、鉄とバイオバンブーを交互に重ねた四重構造のシャッターが降りる。
「こんなことをしても俺のアンタイ・ウェポンには無駄だ」

『ドーモ、キョートの田舎ニンジャめが。ラオモト・カンです。俺様はこれから次のビジネスに向かわせてもらう!タイム・イズ・マネーよ!』
 トコロザワ・ピラーの屋上からは大型のヘリコプターのローター音。
『ひとつ、貴様らにオミヤゲをくれてやろう!ムッハハハハハ!』

 ラオモトを乗せた軍用ヘリが飛び立つと、トコロザワ・ピラーの一階にミサイルの照準を合わす!
 アンタイ・ニンジャミサイルだ!これに直撃すればいかなグランドマスターとて無事では済まないだろう!
 いくつものミサイルが発射される!

「チッ……イヤーッ!」
 ダークドメインは連続側転し、ミサイルの爆発範囲から逃れようとする。
「イヤーッ!」だが、それを阻むはゲートキーパー!
 ダークドメインの連続側転に追いつくと、彼の装束を掴み、引き寄せる!
「……お前も死ぬぞ」
「元より覚悟の上」
 ゲイトキーパーの決断的な目を見たダークドメインは、無言でアンタイ・ウェポンをゲイトキーパーの胸に突き刺す!
「イヤーッ!」
 なんたる冷酷かつ容赦ない判断力か!

「イヤーッ!」突き刺す!「イヤーッ!」突き刺す!「イヤーッ!」突き刺す!
 だが、それでもゲイトキーパーがダークドメインを離すことは無い!
「イィィィ……ヤァアアアーーー!!」
 それどころか、渾身の一撃をダークドメインの右足に叩き込む!
「グワーッ!」

 バラバラバラ……ヘリのローター音が遠ざかる。
『ムッハハハハ!ムッハハハハ!』
 ラオモト・カンは高笑いだけを残し、ゲイトキーパーの決死の足止めを労うどころか、一言たりとも触れることは無く、次のアジトへ飛び去っていった。
 だが、それでいい。それでこそ我が主。
 執念で食らい付くゲイトキーパーの口元には、笑みすら浮かんでいた。
「バンザイ、ラオモト=サン。インガオホー」
 それは、ゲイトキーパーのハイクであった。

 一方、トコロザワ・ピラーの外。
 深手を負い身動きが取れないワイルドハント、パープルタコ。そこに、ミサイルが迫る!
(どうする!)
 シャドウウィーヴのニューロンが加速する!
「俺たちを置いて逃げろ、シャドウウィーヴ=サン、イグナイト=サン。カトン・ジャンプを使えばイグナイト=サンともう一人は確実に逃げられるだろう」

「シャドウウィーヴ=サン!悩んでるヒマはねェぞ!」
 イグナイトがシャドウウィーヴの手を取り、ジツを発動するため集中を始める。
 パープルタコは意識を失っている。それに、このワイルドハントという男。彼らを見捨てて、逃げる。逃げる?
 果たしてそれでいいのだろうか?
(((爽快ガン、食うか?……俺も不安だけど、きっとダイジョブだって!)))

 ネオサイタマ潜入ミッションの開始時。
 三割の確率で帰ってくれなくなるポータルに一抹の不安を感じていたシャドウウィーヴに、声をかけてくれたソルヴェントの姿を思い出す。
 彼の使っていた、強化ドトン・ジツ。
(影の中に潜り、爆発をやりすごす。しかし、そんなことが出来るのか?)
 ミサイルが迫る!迷っている時間はない!
「オイッ、行くぞ!」
 カトン・ジャンプをするイグナイトの手を振り払い、シャドウウィーヴはパープルタコとワイルドハントの手を取る!

 KRA-TOOOOOOOM!KRA-TOOOOOOOM!KRA-TOOOOOOOM!!
 ミサイルが地上に着弾し、爆発!
 一体は灼熱の炎と猛烈な爆風に支配される!ものすごい振動!
 トコロザワ・ピラーに入っているネコソギ・ファンドの窓ガラスが割れ、雨のごとく付近に降り注ぐ!
「アバーッ!?」ネコソギ・ファンドのサラリマン無惨!

 ……爆風が収まり、煙が晴れる。
 そこに立つのは、暗黒の装束を纏う、ダークドメイン。
 彼は、自らの位相をずらすムシアナ・ジツによって何とかミサイルの爆風をやりすごしたのだ。
 だが、ムシアナ・ジツで暗黒空間に滞在できるのはわずか数秒。少しでも判断を誤っていれば死んでいただろう。

「………」
 ダークドメインは、大きく損傷した自らの右足に触れる。
 ゲイトキーパーは、ミサイルが到達する直前に爆発四散した。
 最期まで腕を離さなかった敵に、少しばかりの敬意にも似た感情を覚える。
 その視界の端では、若いニンジャが、コマを身体に付けたニンジャと、ボンデージめいた装束の女ニンジャを抱え、ネオサイタマの闇に消えていくのが見えた。
 追いかけるほどでもあるまい。

 ダークドメインは、周囲を見渡す。
 今だ、ポータルは開かれたままだ。このまま、キョートに帰還することもできる。
 ダークドメインは、IRC通信を受信しようとし、それが繋がらないことに気付く。
 キョート電算室に何かがあったか。

 ダークドメインは少しだけ逡巡し状況判断。
 このままトコロザワ・ピラーの電算室に物理ハッキングを仕掛けてもいい。
 だが、電子戦はヴィジランスに任せることにする。
 三割の確率でロスト……つまりは成功率は七割。七割の成功率を二回連続で行った場合、連続成功する確率は約五割ほど。
 つまり、半分の確率で死が待っている。

 しかし、ダークドメインは、迷うことなくポータルへ飛び込んだ。
 イクサ場へ、引き返すために。


つづく




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