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【忍殺二次創作】ソウカイヤvsザイバツ【第三話】

※※注意※※
これは『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です。
同じnote内に公式様の連載もあるので、
紛らわしいタグはつけないようにします。
検索の邪魔だボケェ!ってご意見ありましたら消します。

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◇3◇



「アバーッ!?サヨナラ!」
 プリンセスプは爆発四散!
 しかし、古代ローマカラテのなんたる恐るべき実力か。油断ならぬカラテであった。ビホルダーはザンシンをする。

「キューン!」だが、休ませることなくバイオイーグルが死角から襲い掛かる!「イヤーッ!」ビホルダーはステップ回避!
「イヤーッ!」そこにジェットハルバートの一撃が迫る!「イヤーッ!」ビホルダーは辛うじてブレーサーでいなし回避!
「イヤーッ!」さらに今度は馬上から三日月斧の横薙ぎ!「イヤーッ!」これもブリッジ回避!

「さすがだ、だがここまでよ!イヤーッ!」グラディエイターのバックラー突進がビホルダーに突き刺さる!
「グワーッ!」
 怒涛の連携!グランドマスターではないにしても、ザイバツ内でも有数のカラテ強者たちの連続攻撃である!
 ビホルダーは何とかウケミすると、カラテを構える。

「身の軽さといい、スリケンのワザマエといい、驚くべきニンジャ器用さだぜ。だがその分、一撃の重さに欠けるってわけだなぁ、エエッ?!」
 ビーフイーターが油断なくジェットハルバートを構える。
「ソウカイヤは所詮はただのヤクザよ。集団戦のなんたるかを知らないと見える」
 兜の奥で愉悦に隻眼を歪めるのは、グラエィエイター。

「フフ……ククク……」
 実際ダメージは浅くない。だが、ビホルダーは不敵に笑う。
「まぁ確かに、ソウカイヤは各自でビズを行うので、貴方たちと違って徒党を組んでカラテするのに慣れてはいないですね」
 ビホルダーは、サイバーサングラスの遮光度を五十パーセントにまで下げる。
「……だが、私が本当の意味での『集団戦』を教えてあげましょう」

「ナマ言ってんじゃネッゾコラー!ザッケンナコラー!」
 ビーフイーターがヤクザスラングを叫ぶ!コワイ!
 ジェットハルバートを点火すると、猛烈な勢いでビホルダーへ斬りかかっていく!
 ジェットハルバートは巨大な斧にロケットを付け、猛烈な推進力を生み出す特殊な武器だ。その一撃を受ければニンジャとて無事では済まないだろう。

 しかし、ビーフイーターの身体は稲妻を受けたように痙攣!
「グワーッ?!一体、何が?!」
 ビホルダーがヒトダマをたたえた青白い眼を向けたのを確認したビーフイーターは、その眼に視線を合わせてしまったのだ!
「カナシバリ・ジツか!」

『正しき歴史』では、ニンジャスレイヤーすらをもカナシバリにした、恐るべきジツである。
 ジェットハルバートは威力が高い分、その操作は難しい。操作できなくなり、ビーフイーターはスーパーボールのように無軌道に飛び地面に激突する。「グワーッ!グワーッ!」
「まずは一人」ビホルダーは、冷静にスリケンでビーフイーターを蜂の巣にする。
「アバッ、アバババーッ!?サヨナラ!」ビーフイーターは爆発四散!

「ヌゥー!オノレ!」
 グラディエイターが短剣で猛烈な連撃!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」
 それをビホルダーは、のらりくらりとやり過ごしながら、柔軟なコブラ・カラテにて応戦!
「キューン!」死角からバイオイーグルが迫るが、これも難なく回避!

 いかなタツジンであろうと、ワン・インチのカラテで、相手と全く視線を合わせず戦うことは難しい。相手の視線を読みカラテラリーする癖も染み付いてしまっている。
 グラディエイターの隻眼は、ビホルダーの青白い眼と交錯する!アブナイ!

 しかし、カナシバリは起きない。その代わりに。
「アバーッ!?」
 グラディエイターのバックルは、味方であるはずのバイオイーグルを叩き落していた。
「アヤミ!?」
 デスナイトは、これまでに無いほどの動揺を見せる。

「おやおや、これは」
 ビホルダーがせせら笑う。そう、ビホルダーのカナシバリ・ジツは相手の身動きを封じるだけではなく、ジョルリめいて操ることすら可能なのだ。
 無論、ニンジャ相手ではそうそう長い時間ジョルリにすることはできない。しかし、ビホルダーにとっては一瞬で十分だ。

「貴方の大切なイーグルを仲間が攻撃してしまいましたよ。もしや一人で戦った方が良いのではないのでしょうか?」
 手を水平に広げ、やれやれといった調子で逆なで声を出す。
 なんという恐ろしいジツと的確な使用法、そしてなんというおぞましい敵の心理を尽いた煽動のワザマエか!

「ち、違うデスナイト=サン。これはアイツが……」
「ああ、大丈夫だ。死ねば同じことだ……死ねば……何もなかったことになる……イヤーッ!」
「グワーッ!?」
 グラディエイターの腹部で、爆発するかのようなカラテ!両手にて、僅かな時間差をつけて放たれるポン・パンチだ!
 デスナイトの恐るべきヒサツ・ワザである!

「オゴ、オゴゴーッ……オノレ……イヤーッ!」それにグラディエイターも短剣にて応戦する。
「マーベラス、仲間割れですか」
 ビホルダーは嬉しそうにパチパチと手を叩く。
「集団戦、つまりは和を乱す。簡単なことですね」

「ダマラッシェー!」
 古のニンジャスラング!コワイ!
「デスナイト=サン。仲間を攻撃するならそれに抗議。先程の失態は絶対に報告」
 一喝しグラディエイターとデスナイトの仲間割れを何とか収めたのはナイトメアだ。
「キューン!」地面に落ちていたバイオイーグルがまた旋回を始める。
「俺は死なない……死ぬわけにはいかないんだ……アヤミのために……」
 三人の甲冑のニンジャは、より一層のカラテを高める……!


◆◆◆


 サラマンダーはコッカトリスの爆発四散痕を一瞬だけ見やると、次の相手───インターラプターを探すべく、イクサ場に戻ろうとする。
 ゾッとするような殺意。
 サラマンダーのニンジャ第六感が最大限の警鐘を鳴らす!
「キリステ・ゴーメン……」

「イヤーッ!」
 紙一重!サラマンダーの胸を切り裂きながら、全く見えないほどの恐るべき斬撃が通過していく!
「ヌゥーッ!なんというイアイドー……!」
 サラマンダーはジュー・ジツの構えを取る。コッカトリスも油断ならぬ使い手であったが、このニンジャのワザマエは、それよりさらに上!
「フン、イアイドーは趣味ではないのでな……俺のニューロンに刻んだところで使い道はないが。貴様、名乗るがいい」

「……ドーモ、サラマンダー=サン。ダークニンジャです」
 闇に同化するようなオブシディアンの装束を纏ったニンジャは、カタナを構えそう名乗った。
「ドーモ、ダークニンジャ=サン。サラマンダーです……ダークニンジャ=サン、なるほど」
 サラマンダーの目がどろりと濁る。

「ラオモト・カンの懐刀にして最側近の一人、そして───ドラゴン・ドージョーを襲撃し、ローシ・ニンジャを殺した、そのダークニンジャか」
 キィィィィン!ダークニンジャの構えるカタナが、泣くような奇妙な音を鳴らす。
「……だったらどうしたと言うのだ」

 そう、『正しき歴史』ではニンジャスレイヤーを助け、また助けられたゲンドーソーことローシ・ニンジャは、ニンジャスレイヤーは出現しなかったこの歴史において、『タケウチ』を打ち込まれ弱体化したところをこのダークニンジャに殺されたのだ。
「何……大したことではない。一応の確認だ」
 サラマンダーは努めて冷静に言うが、その両拳は硬く握られていた。


◆◆◆


「イヤーッ!」「イヤーッ!」
 前方からヘルカイトの滑空チョップ!背後からはガーゴイルがカラテを込めたタケヤリを連続投擲!
 空中での機動力では、鳥めいた巨大なバイオウィングを移植したアイボリーイーグルが、僅かながらカイトニンジャに勝る。
「イヤーッ!」アイボリーイーグルは時間差をつけて四本投擲されたタケヤリを何とか回避する。しかし、敵は二人だ。フーリンカザンはあちらにある。

「イヤーッ!」アイボリーイーグルは反撃のミドルキック!
「イヤーッ!」ヘルカイトは凧をナナメにし、ふわりとした動きで回避!
 アイボリーイーグルはニューロンを加速させる。
 あの二人に無く、自らにはあるもの。それは、迅速な上昇!
 高さを得て、フーリンカザンを作るのだ!

「イヤーッ!」
 ヘルカイトは周囲に神経を張り巡らせる。上昇気流を見つけ、巧みなカイト操作でジグザグに浮き上がり、揚力を生み出す。
 しかし、アイボリーイーグルはそんなものとは無縁だ。自らの巨大な翼を羽ばたかせ、垂直に上昇していく!
「エアロカラテ!」
 アイボリーイーグルの急降下強襲だ!基本的にカラテは、より高い位置を取ったほうが有利である。

 しかし……おお、ゴウランガ!「イヤーッ!」ガーゴイルが凧ごと横に高速回転!アイボリーイーグルの強襲を、かわすどころか弾き返す!
「グワーッ!?」
 高さをものともしない、これが『シックスゲイツの六人』の実力なのか!
 空中ではわずかな姿勢の乱れが即命取りだ。一撃を受けたアイボリーイーグルはキリモミ回転。このままでは墜落だ!

 ヘルカイトは背負ったタケヤリをいくつもアイボリーイーグルに投擲する!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」なんと情け容赦ない追い討ちか!
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!グワーッ!」
 アイボリーイーグルはなす術なく血だるまとなる!
「ハイクを詠め、アイボリーイーグル=サン!」
 トドメヲ刺そうと、ヘルカイトがキリモミ墜落するアイボリーイーグルを追いかけ、急降下する!

「ムッ……いかん、ヘルカイト=サン!ウカツ!」
 ガーゴイルが警告の声を発する。そう、ボロボロになりながらも、アイボリーイーグルの目はまだ死んではいない!
「アイボリーイーグル=サン!手を伸ばせ!!」
 アイボリーイーグルの落下する先の地面にいるのは、黒い装束の爬虫類じみた顔のニンジャ。

「シテンノ!」
 独特のカラテシャウトと共に、跳躍したその黒いニンジャは、アイボリーイーグルの手に掴まる。
「イイイィ……ヤァァァァ!!」
 アイボリーイーグルは、最後の力を振り絞り、高速回転!
 振り子の要領で、黒いニンジャ───ザイバツ・シテンノ筆頭、ブラックドラゴンを恐るべき速度で投げ飛ばす!

 ヘルカイトはその隙を見逃さず、抜け目無くアイボリーイーグルにタケヤリを投擲!
 タケヤリはアイボリーイーグルの額に命中!「アバーッ!サヨナラ!」アイボリーイーグル爆発四散!
 アイボリーイーグルに投げられた勢いそのままに、ブラックドラゴンはヘルカイトの上にまで飛ぶ!
 ブラックドラゴンのメンポが変形すると、竜のアギトが開くように大きく発射口を作る。
 そこからは、大量の毒液がドラゴンブレスのごとく放出され、ヘルカイトに殺到する!

 急激な落下をした直後だ。このままブレーキして姿勢を立て直さないと地面に激突。さりとて、それはこの毒液を全身に浴びることを意味する。
「………油断したぜ、俺もここまでか」
 ヘルカイトのニューロンが加速する。しかし、自分めがけて飛んでくる毒のシャワーを、今このタイミングでよける術はない。
「アバーッ!?」そう、一人であるなら。

「ガ、ガーゴイル=サン!?」
 ヘルカイトを庇い、ガーゴイルが毒液を浴びる!
「無事か?! ヘルカイト=サン!」
 ガーゴイルは、顔の半分とカイトの一部を毒で黒く変色させるが、致命傷は何とか回避!

(無事か?無事か、だと!)
 ヘルカイトのニューロンがさらに猛加速する!
「イヤーッ!」ブラックドラゴンはマスター階位でも有数の恐るべきカラテの持ち主だ。落下しながらも姿勢を保ち、短打を連続して放つ!
(お前は『シックスゲイツの六人』の一人であり、このイクサの要であり、ラオモト=サンから寵愛を受けるニンジャなのだぞ!)
 ヘルカイトはブラックドラゴンのカラテをチョップで、蹴りで、頭突きで受け流す!ワザマエ!
(それを……部下である俺を庇うだと?!なんと最悪で嫌味なやつだろうか!)

「イヤーッ!」ヘルカイトは奥の手切る!こめかみに付けられた、レーザーサイトだ!いかにニンジャといえど、落下中、それも光の速さを避けることは不可能だ!
「アバーッ!?」ブラックドラゴンは両眼を焼かれ、たまらず体勢を崩す!
「ヤレ!ガーゴイル=サン!トドメオサセー!!」

 ヘルカイトがブラックドラゴンのカラテを受ける間に体勢を立て直したガーゴイルは、カイトを羽ばたかせカラテを満たす!
「イヤーッ!」ガーゴイルのチョップが迫る!カイシャク!
 ブラックドラゴンは、最後まで毒液を吐こうとし……胸を貫かれる!
「アバッ……パープルタコ=サン!レッドゴリラ=サン!我が生涯の友!シャドウウィーブ=サン!わが弟子よ!あとは頼んだぞーッ!」
 ブラックドラゴンは爆発四散!


◆◆◆


 一方その頃、ネオサイタマ。
「ムッハハハハ!タイム・イズ・マネー。愚かなザイバツどものせいでシンカンセンを止めたのはかなりの損失になったが……まぁいい。イクサはどうなっている?」
 ラオモトの守護を任されるスパイダーが答える。
「今のところはほとんど互角か……ガーゴイル=サンとヘルカイト=サンの働きで優位に進んでいるようです」
「ムッハハハハ!そうか!ムッハハハハ!!」

 ───その、ラオモトが座するトコロザワ・ピラーの倪下。
 黒い虚のような超自然的な穴が、開く。
「どうやら生きてたどり着けたみたいだな」
 空間と空間を繋ぐ特殊なジツ、ポータル。そこから、ザイバツのニンジャがセキバハラを飛び越えて、ネオサイタマに侵入してきたのだ!

 しかし、ポータルは3割程度の確率で狙った地点に出ることなくそのまま行方不明になるという危険がある。
 そのため、この先行任務についたのは普段から閑職のニンジャか、よほどの命知らずだけだ。
 セキバハラでのイクサでソウカイヤの防衛を突破し、普通にネオサイタマまで来れる公算が高いからだ。

 この任務の指揮官を任されたのは、マスター階位でも最強の一角と噂されるワイルドハント。
 他にも、ボーツカイ、イグナイト、モスキート、センチュリオン、シャドウウィーブ、パープルタコ、ソルヴェントなどが続く。
「ヌゥ……チェインボルト=サンはどうした?」
「どうやらポータルの事故に巻き込まれたようかと……」
「そうか……惜しい男を亡くした」

「ネズミめいて現れたか、ザイバツめ」
 背後からの射るような鋭いバトウに全員が弾けるように跳び退き、カラテを構える。
 彼らの襲撃は完全なるアンブッシュのはず。
 しかし、そのニンジャは、襲撃を予想していたかのように待ち構え、全身にカラテを漲らせている。
 紫色のオーラをまとうトンファーのニンジャ。
「ドーモ、ゲイトキーパーです」

つづく

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