【忍殺二次創作】ソウカイヤvsザイバツ【第六話】
※※注意※※
これは『ニンジャスレイヤー』の二次創作小説です。
同じnote内に公式様の連載もあるので、
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「も、申し上げます!グランドマスター、ニーズヘグ殿!同じく、グランドマスター、サラマンダー殿の二名が戦死めされたようです!」
イグゾーション派閥所属の斥候ニンジャ、クラミドサウルスは、滝のように汗を流しながら報告する。
ザイバツ陣営、後方。そこには、貴族派閥のグランドマスター三人と、所属する直属のニンジャたちが控えている。
「アナヤ。これはこれは」
パーガトリーがつまらなそうに菓子をつまむ。
「情けなや」
KABOOOOOM!KABOOOOOM!!
この司令部付近でも、カイトニンジャによるバクチクの爆発が絶え間なく起きている。
「これは、致し方あるまい」
総司令官、イグゾーションはすっくと立ち上がる。
「我ら高貴なるニンジャが、非貴族の失態を雪ぐしかないようだ」
◆◆◆
ブンズーズンズンズズン。ブンズーズンズンズズン。
電子加工された優雅なジャズの音楽が、環境を妨げない程度に奥ゆかしく奏でられる。
ここはキョート城、電算室。その屋根裏。
そこで仮眠をとるのは、電算室室長を務める恐るべきエコノミストニンジャ、ザイバツ・グランドマスターが一角。ヴィジランス。
ザイバツにはテックに秀でたニンジャは実際少ない。ヴィジランスは開戦からずっと各ニンジャの連携を支えるためIRCの通信を維持しつつ、抜け目無くキョートの株価を操作。
また、オムラやヨロシサンといった暗黒メガコーポがこれを好機とばかりに進出してくるのをあの手この手で妨害していた。
しかし、それもひと段落し、今はつかの間の休憩を取っているところだ。
「室長……!来ました!」
ブガー。ブガー。緊急を知らせるアラーム。通信の相手は、室長補佐を任せるストーカーだ。
彼女がこれほど慌てるとは。起きた事態はひとつしかあり得まい。
「イヤーッ!」
ヴィジランスはやおら立ち上がると、縦回転跳躍!屋根裏と電算室を繋ぐ穴から直接UNIXのところまで着地!
「イヤーッ!」キーボードに向き合うと、猛然とタイピングを開始する!
0100101101001010………。
「「「「ドドドドーモモモモ。ダイダロスです」」」」
インターネット上に広がる無限の地平。コトダマ空間認識者であれば、キョート城のコアシステムに電子戦を仕掛ける無数のニンジャの姿を見ることが出来るだろう。
そのものこそ、ソウカイ・シンジケート『シックスゲイツの六人』が一人、並ぶもののなきハッカーニンジャ……ダイダロス!
その数はざっと……二十!すべてダイダロスである!
彼は恐るべきマルチタスク能力により、多重ログインを行っているのだ!
KARA-TOOOOOM!そのダイダロスの一人が立つ地点に、電子爆撃が起きる!
これはあくまでもコトダマ空間のイメージであり、実際にはダイダロスのログインしているポートのひとつを電子的にブロックしたに過ぎない。
無数のダイダロスの頭上に飛ぶのは、電子戦闘機!その側面には貪欲なカタカナで『我が名はヴィジランス』とショドーされている!
「フーム。貴方がザイバツの電子戦の要ですか。しかし、いけませんね」
おお、見るがいい。ダイダロスの数が次々と増えていく!
「キョートの旧態依然としたニンジャどもは、生体LAN端子ですら移植するのを嫌がるとか。それでは、コトダマ空間認識者すらいないでしょう。いかなグランドマスターとて、そのようなザマで私に敵うとでも?」
ダイダロスの多重ログインが増える!その数、もはや百以上!
「し、室長!KickしてもKickしても追いつきません!」
UNIXの前に座る奴隷ハッカーニンジャが悲鳴の声を上げる。
「落ち着きなさい」
ヴィジランスは高速タイピングしながら答える。
「所詮、ソウカイヤの電子戦ニンジャは一人。これは事前に調査済み。数の有利はこちらにある」
そう、トコロザワ・ピラーの電算室にて無数のLAN接続を行い、ザゼンするのはダイダロス一人。
対するキョート城には、ハッカーニンジャが十名、奴隷モータルハッカーは五十、直結クローンヤクザに至っては百はいる。
優位は揺るがない。
「イイイイイイヤヤヤヤヤヤヤーッ!」
無数のダイダロスが迫る!それを迎え撃つキョート電算室!
Kick!Kick!Kick!Kick!
増える!増える!増える!増える!
「アバーッ!」奴隷ハッカー無惨!ニューロンを焼ききられ、死亡!
それでもダイダロスの手が休まることは無い!
「ヴィジランス=サン!」
「焦るな、冷静にKickし続けろ」
Kick!Kick!Kick!Kick!
増える!増える!増える!増える!
「アバーッ!」奴隷ハッカー無惨!ニューロンを焼ききられ、死亡!
それでもダイダロスの手が休まることは無い!
「ヴィジランス=サン!」
「焦るな、冷静にKickし続けろ」
Kick!Kick!Kick!Kick!
増える!増える!増える!増える!
「アバーッ!」奴隷ハッカー無惨!ニューロンを焼ききられ、死亡!
それでもダイダロスの手が休まることは無い!
「ヴィジランス=サン!」
「焦るな、冷静にKickし続けろ」
おお、なんという猛攻か!すでに奴隷ハッカーが十、直結クローンヤクザが二十がニューロンを焼ききられ死亡、ハッカーニンジャも一人爆発四散している!
「他愛も無いことですねぇ」
ダイダロスはつまらなそうに言う。
キョート城のハッカーたちの防衛も虚しく、いよいよダイダロスがコアシステムの一部に手をかける!
しかし、キョート城の防衛シツテムが作動!ミサイルがいくつも発射され、地面からは無数の槍が立ち上がる!
「アバーッ!」
ダイダロスの偽装ログインが一人、また一人とやられていくが、お構いなしにコアシステムへまた殺到していく!
それを阻止せんと、また奴隷ハッカーやハッカーニンジャのアカウントが防衛に当たる!
「コトダマ空間認識者と、そうでない者の間には0と1ほどの差があるのですよ。イヤーッ!」
物理空間ではグランドマスターでも不可能なほどの恐るべき電子カラテ!ザイバツのハッカーたちは次々とニューロンを焼ききられていく!
「ドーモ、ダイダロス=サン。ストーカーです。来やっがったな、ソウカイヤの変態めェ!」
そこに立ちふさがったのは、口を頬の端まで開きギザギザの歯を覗かせる女性ニンジャ。
生体LAN端子を持つだけではなく、中々の腕前のようだ。
しかし、反応はダイダロスから見たらあくびが出るほどに遅い。
「コトダマ空間認識者ではありませんか。実際好みではありませんが……では、ファックします」
◆◆◆
KABOOOOOM!KABOOOOOM!!
邪魔するものがいなくなり、ヘルカイトとガーゴイルは息つく間もなくバクチクを連続投擲!
ザイバツのニンジャは、スリケンやカトンにて阻止しようとするが、高々度を飛ぶカイトニンジャはそれを容易く避けてしまう。
KABOOOOOM!「アバーッ!?」デジタルワスプは爆発四散!
おお、このままザイバツの後方支援のニンジャは全滅してしまうのか?
その時である!
「イィィィ……ヤアァァァーーー!!」
カラテシャウトと共に巨大な光弾が飛来する!
「グワーッ!?」
ヘルカイトの腹部に輝く光弾が炸裂!これは、カラテミサイルか!?
カラテミサイルは標的を追尾する性質がある。遠々距離から放たれても、カイトニンジャたちに当たるまで食らい付くのだ!
「イーヤヤヤヤヤヤヤヤ!」
カラテミサイルが発射!発射!発射!
なんという数、なんという体内カラテ粒子生成速度か!
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」
ヘルカイト、ガーゴイルはそれをかわしきれず、次々と被弾する!
「ハエめいてブンブンと目障りなことよの。ドーモ、パーガトリーです」
聞こえはしないだろうが、パーガトリー……烏帽子にキモノという時代錯誤めいた装束のニンジャは、一方的にアイサツする。
「お前たちは私を守れ。ソウカイヤの野犬じみた阿呆どもを近づかせるな」
パーガトリーは扇子をバシバシと神経質そうに叩く。
その周囲に従うは、コンジャラー、バードゥン、ノクターン、ガラハッドといった直属のマスター階位のニンジャたち。
「ヘルカイト=サン!これ以上は危険だ、ここは一旦退くぞ!」
ガーゴイルが退避の命令を飛ばす。
「ヌゥーッ!オノレ……オノレーーッ!」
ヘルカイトは全身をぶるぶると震わせ、奥歯を砕かんほど悔しさを滲ませる。
『ザイバツは後詰に貴族ニンジャどもをついに投入してきたようだ。第二波に備えよ』
ガーゴイルはIRCで全軍にそう通達を出し、ヘルカイトを伴い後方へ消えた。
「イーヤヤヤヤヤヤヤヤヤ!」
防ぐものが射なくなった今、カラテミサイルが雨のごとくイクサ場に降り注ぐ!
◆◆◆
「アバーッ!?サヨナラ!」
グラディエイターは爆発四散!
「アッハッハ、連携が乱れていますよ」
グラディエイターは先ほどのデスナイトの報復によりカラテを乱されており、連携の動きがギクシャクしてしまっていた。
ビホルダーにとって、そのような相手を手玉に取るのは難しくは無い。
「オノレ……」
ナイトメアは三日月斧を振りかざし、馬上カラテで迫る!しかし!
「アバッ!?」
ナイトメアの乗るサイバー馬が痙攣!なんと恐ろしきはビホルダーのカナシバリ・ジツ!
ビホルダーはこれほどのジツを常時展開しようと、血中カラテ不足やエテル不足に陥ることは無いのだ!
視線を合わせる必要があるとはいえ、破格の能力であると言えるだろう!
「ヒヒーン!」ナイトメアはサイバー馬から振り落とされる!
その隙を見逃すビホルダーではない、トドメにスリケンを投擲しようとする!
ザイバツの右翼陣はこのまま指揮官を失い、総崩れとなってしまうのか!?
「グワーッ!?」
その瞬間、飛来した光弾がビホルダーに炸裂!スリケン投擲を阻む!パーガトリーのカラテミサイルだ!
「おやおや、苦戦しているようだね」
そこに現れたのは、ザイバツの更なる援軍。
「イヤーッ!」
ナイトメアは連続側転し体勢を立て直す。
「スミマセン、この失態はイクサが終わり次第セプクして償う所存です」
「いいや、良いよ。君たちは頑張ってくれているようだからね」
そう物腰柔らかにナイトメアに告げると、新たなニンジャはアイサツする。
自らの直属のマスター階位のニンジャ数名を引き連れ、最も戦線が不利なこの右翼に現れたのは……!
「ドーモ、罪罰影業組合、グランドマスター。イグゾーションです」
◆◆◆
「イヤーッ!」
ジェイドソードとカラテを交えるインターラプターに、奇妙なシャボン玉が降り注ぐ。
シャボン玉は、ありえない速度でインターラプターまで到達すると、次々爆発を起こす!
「グワーッ?!」
「ドーモ、インターラプター=サン。ブルーオーブです」
「ドーモ、ジャバウォックです」
二人組の油断ならぬアトモスフィアを纏うニンジャがアイサツする。
そして。
「ドーモ、ザイバツグランドマスター。スローハンドです」
……貴族派閥グランドマスターの一角!
「ドーモ、スローハンド=サン、インターラプターです。……どうして貴様がここに」
「フン、あの忌々しい毒蛇どもは死んだか。平素は邪魔ばかりしおって、大事なときは役に立たず早々に死ぬとは。本当に忌々しい」
スローハンドは、インターラプターなど目にも入らないといった様子で毒づく。
「いいか、私は『時間が惜しい』のだ。くれぐれも私の手を煩わせるな」
「ハイヨロコンデー!」
スローハンドの下知を受け、ブルーオーブとジャバウォックがインターラプターに飛びかかる!
「イヤーッ!」ジャバウォックは鉄針を時間差をつけて次々とばら撒く!
「フンハーッ!」インターラプターは腕を回転させ、ブレーサーでそれを弾き飛ばす!
「イヤーッ!」ブラーオーブはカラテ・バブルを多数生成!カラダチを警戒し、二人は徹底的に遠距離戦に徹する!
「下手に近づくんじゃねぇぞオーブ!」
「分かってるってジャビー!」
彼ら二人は少数精鋭のスローハンド派閥所属のマスター階位のニンジャであり、油断ならない実力を誇る。
鉄針とカラテ・バブルの隙間ない連携に、スローハンドは割って入ることもなく満足そうに眺める。
スローハンドは、イクサに介入する気は薄い。彼には敵以上に懸念することがあるからだ。
「ハイーッ!」
インターラプターもカラダチだけの男ではない。シックスゲイツ最強は伊達ではないのだ。二対一の猛攻をしのいでいく!
だが、その時だ。
「グワーッ!」
遠距離から降り注いだカラテミサイルは、インターラプターの背中に炸裂!
「イヤーッ!」
その隙を突き、鉄針とカラテバブルが迫る!
「グワーッ!?グワーッ!?」
恐るべきカラテミサイルの雨!このままイクサ場は、この制圧攻撃に支配されてしまうのか!?
◆◆◆
「こっぴどくやられたようだな」
ソウカイヤ陣後方。そこでは、毒の治療を受けながらもIRCにて忙しなく指示を飛ばすアースクェイク。
「………貴様こそな」
そこに運ばれてきたのは、ボロボロとなり爆発四散寸前のダークニンジャだ。
「……で、どうする。このままではせっかく得た制空権も無く、イクサ場をあのカラテミサイルの飽和攻撃に支配され続けるぞ」
ダークニンジャは身体を癒すべく、アグラ・メディテーションを開始する。
「………」哲学する巨人、UNIXにも例えられる頭脳を持つアースクェイクは、しばし沈黙。
「……やはり、アレに頼らざるを得ないか」
ソウカイヤ陣営の司令部のすぐ前。
アースクェイクやダークニンジャが治療を受けるそこにいるのは、対パーガトリー用にアースクェイクが戦力を温存したニンジャ。
冬季限定ではあるが、『シックスゲイツの六人』に名を連ねる射撃戦の名手、フロストバイト。
スカウト部門筆頭。アンダーカードの中でもカラテ、働き共にラオモト・カンの覚えもメデタイ男、ソニックブーム。
「アバー……」
そして、布をかけられ、姿が見えない謎のニンジャ。
「アースクェイク=サンからIRCが入った。俺たちはこれから、ザイバツどもの前線を突っ切り、あの後方からカラテミサイルを飛ばしてくる臆病者のところまで一気に突破する」
「ケッ、命がけの任務ってワケだ。……まぁオニイサンの指示は逆らえないよなァ」
ソニックブームはひと息でタバコを灰にする。
「準備は出来たか、お前たち」
アースクェイクが陣営のテントから姿を現す。
「アースクェイク=サン。毒はもう大丈夫なんで?」
「ああ、問題ない」アースクェイクは、布を被ったニンジャをハーレーのサイドカーに乗せる。
「お前たちも乗れ」
「で……あのカラテミサイルの雨の中を、どうやって突破するつもりで?」
フロストバイトがハーレーの後方に乗りながら尋ねる。
「移動しながらあの数を迎撃するのは中々骨が折れるぜ」
「リー先生から届いた、こいつが頼りだ。……情けないことにな」
アースクェイクが布を外すと、そこにいたのは……おお、ナムアミダブツ……。
「アバー……」
皮膚の色は灰色に変色し、腐臭を放つセーラー服のズンビー。
ヤモト・コキであった。
【つづく】
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