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閑話休題

最近思っていることを簡単にまとめてみようかと思いましたのでちょっと雑談をします。ゆるりなのであんまり記事としてはよくないかもしれません。


音について

音っていうのはそもそも音波って書くくらいですから波なんですよね。でもこの波っていうのは周波数という成分を内包しています。つまり周波数が変わるごとに音の高低が変わるんですね。ではそれ以外に持つものは何でしょうか。それは指向性ですね。よーく聞いているとわかるのですが音には性格があります。まっすぐ前へ向かって歩くことのできる子と、ちょっと回り道も好きな子がいます。低周波というのは少し、一つの方向を見て歩くのは苦手なようです。でも、力強いのでどこにでも行くことができます。対して高周波というのは一つの方向へ向かうのが得意な半面で少し内気なところがあって体育系ではなくてどちらかというと読書波のようです。
エネルギー量でいえば周波数が上がるごとに弱くなります。低域はエネルギー量が多いので波の減衰があんまりなく聞こえることになります。これは大切なことで、例えば離れた場所で音を聞くと高域の減衰が強いので比較的周波数が低めになります。ちなみに超音波スピーカー、いわゆるパラメトリックスピーカーはこの性質を利用して超高周波で指向性の高い音を使って一定方向に音を放射することができます。半面で電気をたくさん使うので熱を持ちやすい性質もあります。光とは反比例のようです。

音の可能性

音というのはよくよく考えてみれば生活にはなくてはならないモノになります。音楽を聴いているときも、例えばキッチンで何か作業をしているときもはたまた電車に乗っているときも必ず音を聞いています。でも耳栓をしているときも音が聞こえている??なんてこともありますね。これは耳が音圧を認識しているわけではなくて、耳音響放射という現象で蝸牛は聞こえないことに危機感をもって感度を上げているのです。なのでなにも音を聞いていなくてもキーンという音が鳴るのはこういうことなんですね。時にして頭の中がうるさく感じる人もいると思います。ということで音は切っても切れないのが人になります。見えないようにはできるけど、聞こえないようにはできないんですね。(厳密には見えないも黒いと認識しているので違うのですが)さて音の可能性について考えてみましょう。ちょっとここでは私の専門の話をします。コンサートホールを例に挙げてみましょう。コンサートホールでは音楽を聴くために大空間を使って客席に向けて音を届けるために試行錯誤して設計をしています。天井が高いのはなんで?なんて思う方もたくさんいるでしょう。これはどこまでの距離の相手に届けるかを考えています。さらに言うとどこにいる人にでも同じ音が届くようにあえて空間をロバストにしています。小さい空間では特定の誰かに特化した音しか作れないんですね。イヤホンで聴いたときと、スピーカーで聴いたときのような違いといえば分かりやすいでしょうか。少々乱暴ですが。その中でも小さい空間になる場所は音が悪くなります。例えばホールのバルコニー下などがいい例になります。天井が低くなるので当然、前なのか後ろなのかによって音が変わってしまうことになります。なのでもし席をとることがあれば中央くらいの場所に通路がありますのでその辺をとるのがおすすめです。
とはいえ指をくわえて音響エンジニアが設計しているわけではありません。昔はバルコニー下は音が悪かったですが、昨今ではかなり改善されています。これはよい仕上げ材が出てきたのも要因の一つですが、それ以外にもホットな話題があります。それが電気音響の普及です。実は最近のホールにはスピーカーが仕込まれています。吹奏楽などではもちろん、クラシックな音楽でもこの仕組みを使われています。ヤマハが手掛けたホールに関してはAFCが採用されていることが多いので実は天井にマイクロフォンが仕組まれていて、得た音に残響音を組み合わせて、ホールのスピーカーから鳴らしています。これによってバルコニー下の悪かった音響を大幅に改善しています。当然、そもそものホールの音響がよくなければいい音を届けることができないのでホールの設計を適当にしていいというわけではありません。
と私はその考えでいるのですが、実際に電気音響の専門の方からみるととにかく音をデッドにして電気音響ですべて響きをつけるのがやりやすいという事情もあったりします。リバーブも進化していますね。コンボリューションリバーブも進化していて、プロセッサも昔とはくらべものにならないくらい性能がよくなっているのでより複雑な演算ができるようになってきています。音という意味で考えればこれもありかもしれないですね。時代の波だと思います。とはいえホールにいた時のあの解放感というか、音が降り注ぐ感じは別格ですね。さてどういう風に再現してみましょうか。

三次元音場

音というのは三次元なので間違いないのですが、この三次元空間を現実の世界ではないところで再現できないでしょうか。そう、それがVRです。ここで最近の音場の世界が出てくるわけですね。最近は立体音響なるものが流行っています。分野としても段々と成熟してきています。まだまだ可能性に秘めていますが。
様々な立体音響を耳にしていますが、最近私が取り組んでいるのはVRが多いです。割と、狭い環境で立体音響を再現します。いろいろな理論を2チャンネルに落とさなければならないのでやることは多岐にわたります。例えば音響理論を落とさなくてはなりません。ただ立体で遠くから聞こえるだけではいい音とは言えません。さて、エンジニアが目指す音とは何でしょうか。それはニアリアルです。リアルの音響にいかに近づくことができるのかを目指しています。今までは音の情報を基に映像を作ることが多かったのが今度は映像を基に音を構成していく作業を行います。なので変えていかなければならないのはサウンドになります。VR空間上には様々な要素が見え隠れしています。例えばスピーカーの位置に音源を置いてしまうと実は定位が取れないことがあります。ライブイベントの際には実際にアバターがある方向に定位するのですが、ワールドを作る際には定位するのは前提で嘘をつかないワールドづくりをしていきます。どんなに無茶苦茶にしてもある程度定位が出るので自由な空間を作ることができるのですが、そこを破綻させずに作っていくとかなりリアルのサウンドに近づけることができます。三次元空間なのにまるでライブハウスにいるかのような。時にアリーナにいるようなサウンドを聞くことができます。もちろんいろんなアセットがあるので作るのはかなり楽になりました。ただまだまだVR市場を攻めている人はいないのでどこか寂しい音場になりがちです。私は2チャンネルでも可能性を感じるので立体音響は極力2チャンネルで構成するようにしています。チャンネル数を多くすることで立体音響を作ることができます。ただ空間を作るという意味ではまだまだ2チャンネルで試せることが多すぎるので最小チャンネルで空間を構成する実験を行ってます。今後、もしかしたらいろんなアセットを使って様々な空間を作ることができるようになるかもしれませんね。

ここでおしまい

さて、様々な試みを先も考えています。もちろん音を提供し続けることは音界隈しては使命のようなものなので最高のパフォーマンスを出し続けることができるように今後も活動をしていくつもりです。さて、皆様とどこで会えるでしょうか。もしワールドサウンドに困っているようなら相談いただければ幸いです。


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