今回は「平成27年司法試験 民事訴訟法」(採点実感)を読んで、答案の書き方を確認してみましょう。
(採点実感)
https://www.moj.go.jp/content/001166215.pdf#page=24
○ 「基本的な原理・原則や概念」を正しく理解するとともに、「基礎的な知識」を習得する。
○ 「問われていること」が何かを的確に把握した上で、それに「正面から答える」。
○ 抽象論に終始せず、「事例に即して具体的に、かつ、掘り下げた考察」をする。
○ 問題文には、「論述上検討すべき事項」や「解答すべき事項」が一定程度、提示されている。
× 「題意」(=問われていること)を十分に理解せず、問題文中の検討すべき事項を単に書き写すにとどまっている答案
× 理由を述べることなく結論のみ記載している答案
○ 問題文において示されている「解答すべき事項」(=問われていること①)等を適切に吟味し、「含まれる論点」(=問われていること②)を「順序立て」た上で、その検討結果(=問われていること③)を「自らの言葉で表現」しようとする姿勢が極めて大切である。
○ 問題には、「具体的な事例」を提示した上で、「登場人物の発言」等において、論述上「検討すべき事項」(=問われていること①)等が提示されている。
○ 問題文で提示されている「検討すべき事項」(=問われていること①)等の検討を通じて、基本的な知識(=問われていること②)を問うとともに、「論理的な思考力や表現力」(=問われていること③)等を試している。
× 問題文に示された「最高裁判所の判決の内容や検討すべき事項」等(=問題文の指示)について、その吟味が不十分である答案
× 「自ら考えた結論」(=問題文の問い)に向けての論述のために「問題文の指示」の活用ができていない答案
× 典型的な論証パターンを書き連ねる答案
× 丸暗記した判例の内容を答案に記載するだけの答案
× 「題意」(=問われていること)に応えない答案
○ 「問題文の指示」をよく踏まえ、「問題文の問い」について、「必要な論述を構成」した上で、「自らの言葉」で書かれている答案
○ 「問われていること」(=論じるべき事柄)を的確に把握している答案
○ 「論じるべき事柄」について、設問の事例との関係で(=事例に即した考察)、「結論に至る過程」(=論理の積み重ね)を、「具体的に説明」(=説明の具体性)できている答案
× 「説明の具体性」(=事例に即した具体的な考察)が不十分な答案
× 「論理の積み重ね」(=事例に即して掘り下げた考察)が不十分な答案
× 「最低限押さえるべき論点」(=基礎的な知識)も押さえられていない答案
× 「最低限押さえるべき論点」(=問われていること)について、基礎的な知識に基づき自分の言葉で説明しようとする姿勢(=論理的な思考力や表現力)すら示さない答案
× 「教科書に記載された学説」(=論パ)や「判例に関する記憶の量」(=判例論パ)を試すような出題はしていない。
× 判例の丸暗記(=判例論パ)、パターン化された論証(=論パ)による答案
○ 「教科書に記載された基本的な事項」(判例知識を含む)を足掛かりにして、「自分のなすべき立論」を「考える」訓練をする。
○ 「判例の背景にある基礎的な考え方」を理解し、これを足掛かりにして、「具体的な事情等」(=問題文の事例)に照らして、「論理的に論述する能力」を養う。
○ 要件事実との関係も自覚的に意識する。
× 「既判力が作用する場面には、訴訟物の同一関係、先決関係及び矛盾関係の三つがある。」という帰結ありきで、その論拠(=本質論)からの説明しようとしない答案(=設問で問われていることを的確に把握できない答案)
○ 「既判力の生じた判断は、これを後訴で争うことができない。」という本質論(=基礎的な知識)からの説明をしようとする答案
○ 「甲の乙に対する土地Aについての所有権が存在すること」に既判力の生じた場合、これを後訴で争うことはできない。(=同一関係)
○ 甲の乙に対する土地Aについての所有権に基づく明渡請求(後訴)は、「甲の乙に対する土地Aについての所有権が存在すること」を前提とするものである。したがって、後訴ではこの前提が存在するものとして審判がなされる。(=先決関係)
○ 乙の甲に対する土地Aについての所有権確認請求(後訴)は、「甲の乙に対する土地Aについての所有権が存在しないこと」を前提とするものである。したがって、既判力の生じた判断を争うものとして、許されない。(=矛盾関係)
△ 乙の甲に対する不当利得返還請求(後訴)は、「甲が乙に対して100万円の給付請求権を有しないこと」を前提とするものであるから、既判力の生じた判断を争うものである。したがって、乙の甲に対する不当利得返還請求(後訴)は認められない。(=矛盾関係)
○ 乙が後訴でする「利得、損失、両者の因果関係及び利得に法律上の原因がない」という主張は、「甲が乙に対して100万円の給付請求権を有しないこと」を前提とするものである。したがって、既判力の生じた判断を争うものとして、許されない。(=矛盾関係)
○ 基礎的な法概念(解除条件など)をきちんと理解しておく。
× 極端に小さな字、潰れた字や書き殴った字の答案(=読み取れなければ、読み手は理解できない。)
× 各行の幅の半分にも満たないサイズの字
× 「けだし」、「思うに」など、一般に使われていない用語を用いる答案
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