言語聴覚士 国家試験 第14回問題53 統計の問題
ST14回問題53
統計について正しいのはどれか。
平均値は中央値のことである。
標準偏差は分布の範囲を表している。
「信頼性がある」とは測定に一貫性があるということである。
調べたい集団全体のことを標本という。
観察による評定が甘くなる傾向は天井効果と呼ばれる。
答え:3
注意:「信頼性」は分野により異なった意味で使われることがある用語です。
平均値は中央値のことである。
合計を個数で割った値が平均値(算術平均)です。中央値とは、測定値を小さい順に並べたときに真ん中の位置にある値のことです。
標準偏差は分布の範囲を表している。
データの散らばり具合を散布度と呼びます。標準偏差、範囲の両方とも散布度の一種ですが、計算方法が違います。標準偏差は偏差の二乗を平均することにより求められます。一方、範囲は最大値から最小値を引くことにより求められます。
「信頼性がある」とは測定に一貫性があるということである。
統計において「信頼性」という用語は、バラツキが小さい、再現性が高い、一貫性があるという意味で使われることが多いです。正しいか間違っているかは、信頼性とは関係がありません。例えば、正しいことも言うが間違ったことも言うAさんと、常に間違ったことを言うBさんがいたとします。統計では、Aさんよりも、Bさんの方が「信頼性がある」と判断します。Bさんは、一貫して間違っているからです。現実問題として、Bさんの話は役に立ちます。というのも、Bさんに反対しさえすれば、常に正しい結論が得られるからです。このように、間違っていたとしても「信頼性がある」場合は、何らかの補正することにより価値がある結果が得られることもあります。
調べたい集団全体のことを標本という。
調べたい集団全体は母集団です。母集団の一部が標本です。標本とは調べることが可能な集団です。母集団を直接調べることが困難な場合は、その一部である標本を調べます。
観察による評定が甘くなる傾向は天井効果と呼ばれる。
天井効果とは、例えば100点満点のテストが簡単すぎて、ほとんどの人が100点近くになってしまい、成績に差が付けられない、といった場合に使います。多くの人が「天井」近くの成績である、ということです。アンケートを例に言うと、5段階評価でほとんどの人が5と答えるような質問文には天井効果があります。天井効果があるかどうかの判断基準は次の通りです。「平均点+標準偏差」が満点より大きいとき、天井効果がある、と判断します。逆にテストが難しすぎてほとんどの人が0点になってしまい、成績に差が付けられない、という状況を床効果といいます。多くの人が成績の「床」近くの成績を取っている状態です。
「観察による評定が甘くなる傾向」が天井効果と呼べるかどうか考えてみましょう。
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