言語聴覚士 国家試験 第15回問題29 統計の問題
ST第15回問題29
正しいのはどれか。
名義尺度上の測定値は差をとることができる。
順序尺度上の測定値は大小関係を保存する単調変換を施すことができる。
5段階評定による測定値は比率尺度である。
順序尺度上の測定値は分散を求めることができる。
比率尺度上の測定値は原点を任意に変換することができる。
答え2
「~ができる」→「~をしてもよい」
「~ができない」→「~をしてはいけない」
と読みかえると分かりやすいでしょう。
差をとる、とは引き算をする、ということです。名義尺度上の測定値は数ではないので差を取ってはいけません。
例:性別は名義尺度ですが、男を1、女を2と置き換えて、2-1=1と差を取ってはいけません。これは、女-男=男 を意味しており、この計算に何の価値もないからです。
「大小関係を保存する単調変換」とは「順番を変えずに数を付け替える」という意味です。関係を保存する、とは関係が変わらない、ということです。
例:好みを5段階評価:測定値は「嫌い、少し嫌い、普通、少し好き、好き」
1 =嫌い、2 =少し嫌い、3 =普通、4 =少し好き、5 =好き、と数字で表すとします。この場合、「嫌い」と「少し嫌い」の大小関係は、1<2より、嫌いの方が小さい、という関係です。これを20倍すると 20 =嫌い、40 =少し嫌い、60 =普通、80 =少し好き、100 =好き、と、好みを100点満点で表せます。この場合でも「嫌い」と「少し嫌い」の大小関係は、20<40となり、嫌いの方が小さいという関係のままです。この「20倍する」という計算は大小関係を保存する変換の例の一つです。
5段階評定による測定値は、原則として、順序尺度です。
順序尺度上の測定値は、原則として、足し算や引き算をしてはいけません。よって、分散を求められません。
「比率尺度上の測定値は原点を任意に変換することができる」については出題者の意図を理解しなければなりません。ここで、ポイントとなる用語は「変換」です。ここでいう変換とは、測定値を別の数に変更する、ということです。例えば、成績の5段階評価の場合。測定値は1,2,3,4,5です。これを20倍すると、20、40 、60、80 、100の、100点満点で表せます。これが「変換」です。ところで、変換する目的を2つ考えてみましょう。この目的の違いにより、解答が変わってきます。
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